1.冒頭、この物語は宇垣中将とは無関係です、みたいな但し書きが出てきて、すでに何だか煮え切らない印象。
誰のことも悪くは描きたくない、という気持ちはわからんでもないけど、全編にわたって、いい人ばかり登場し過ぎ、キレイごとを言い過ぎかと。もちろん自由な発言が許される状況ではないのだけど、それならそれで、無念を滲ませるような描写がもう少しあってもよさそうなもの。
「建もの探訪」氏に関わるエピソードには多少、そういう要素も織り込まれてはいますが(特に母との関係)、結局、自己犠牲の美談で丸め込んでしまう。
優等生顔の梅宮辰夫、これはさすがに喋りすぎでしょう。
このテーマを映画の題材に選んだ以上、やはり腹をくくって作品を作るべきだったのでは。
戦争を題材にした作品には、もっとむせ返るようなエネルギーと怒りを感じさせるものがあって、そういう作品と比べてしまうと、やはり無難さが目立ってしまいます。
ただ、空中戦におけるミニチュア撮影のクオリティの高さは、特筆モノだと思います。