2.オリバー・ストーンによる伝記映画(トラボルタも候補だったが、キルマーが主演となった)はあっても、意外にもドアーズにとって初のドキュメンタリー映画。 ジョニー・デップがナレーションをつとめ、「ビートニク」(99)にも出演していた彼にはカウンター・カルチャーへの関心が今でも根強いのだろう。 この時期夭折したミュージシャンは数多く、ヴォーカルのジム・モリソンもその一人。 10代の頃多くの詩人に耽溺した彼の書く詞はポエティックで、グループ名もウィリアム・ブレイクの詩から彼が名付けた、「知覚の扉」。 レイ・マンザレクとコンビを組んで才能を花開かせた彼の心のよりどころだった恋人パメラ・カーソン(映画ではメグ・ライアンが演じた)の映像はわずかで、プライバシー保護には厳格だったのかもしれない。 時代を映した彼らの曲は映画でもしばしば使われるが、一番有名なのは「地獄の黙示録」の「ジ・エンド」。 コンラッドの「闇の奥」をコッポラが映画化した作品世界に幻想的な彩りを添え、「これで終わりだ、美しき友よ これで終わりだ、たった一人の友よ」とモリソンが憑かれたように歌う曲がなかったら、あの映画の印象も変わっていただろうと思う。 「ハートに火をつけて」でラッキーなスタートを切った彼らの活動は平坦ではなかったが時代に刻みつけられ、時の彼方の彼らを垣間見ることができる。