3.冒頭、主人公がボソボソと湿っぽい独白が続いて、一体コレはどういうオハナシなんだよ、ちっともラチがあかんわい、と思おうかとした矢先、唐突に主人公の乗った飛行機が事故を起こし、雪山でのサバイバルに突入。埒が明かないどころか、むしろ性急過ぎる印象。もうちょっと前フリがあってもよろしいかと。
で、外は猛吹雪。よくこんな撮影したな、と思わせるものはありますが、よほど撮影が大変だったのかどうなのか(?)、意外に見栄えがしないのが残念。この後、物語は襲ってくる狼との戦いとなるのですが、この辺りの描写も画面をゴチャゴチャさせて、いかにもゴマカしました、という風に見えてしまうのがますます残念です。そういうゴマカシっぽい描写はその後もあちこちに見られ、さらには、主人公の人となりがあまり描かれていない分、物語にも厚みが生まれず、どうにも淡泊な感じがしてしまいます。
ただ、その路線を最後まで貫いたおかげ、といってよいのかどうかわかりませんが、終盤が近づくにつれて独特の詩情のようなものが生まれてきて、「この物語、最後はどうなってしまうんだろう」というのとは違った着地点にもってきたのは、何だかウマイことやったな、と。