1.この映画もまた、作り手の思い入れ過剰な役者のアップがくどい。
何故にそこまで、というくらい寄りまくって気色悪くなるほどだ。
物語の支障ですらある。
一方で見晴らしの良い川沿いの情景や、鉄道の走る橋のロングショットなどが所々で
織り込まれるのでなんとか釣り合いがとれている。
西原原作作品では馴染みの海辺も、例によって死を暗示する場として印象的だ。
その中、北乃きいが良く寝、良く食べ、良く歩く。
とりわけ苛立ちを持て余しながらひたすら街中を前進していく歩調がいい。
または、池松壮亮の出ていった暗がりの部屋で、一人おにぎりをほおばる北乃の表情。
案の定、涙が一粒流れ落ちてというのが陳腐ではあるが、いい表情を見せる。
連載打ち切りを伝える編集者になりふりかまわず必死に食ってかかる姿もグッとくる。
要は、反グラビア的な表情、不格好なアクションこそ感動的なのだ。