2.現代イタリアの巨匠トルナトーレの最新作は意外なほどにロマンティックな、大人のおとぎ話のようなドラマ。
先にあの世に旅立ったパートナーから届くメッセージ。「P.Sアイラヴユー」を思わせるような設定のドラマですが、
ファンタジーというよりはメールやビデオメッセージといった現代的アイテムを駆使しあたかもまだこの世に存在しているかのようでもある。
ジェレミー・アイアンズ演じる知的で紳士的な老教授。
考えてみればこの世に存在する彼は冒頭の数分のみで、あとは全て過去から届く彼のメッセージが軸になっています。
遠い過去に放たれた星からの光というメッセージを受け取り続けた天文学者らしい、愛する女性へのメッセージの発信。
その過去からのメッセージの送受信が繰り返される2時間は少々長くも感じられる。
トルナトーレは過酷な結末を用意することも少なくないので、恋人だった女性が首を吊るくだりにはドキッとさせられましたが・・・。
最後のメッセージ。饒舌に語りかけていたそれまでのメッセージとは異なり、
メッセージを見る恋人に背を向け顔を見せず背中で演じるアイアンズの姿が印象的。
気が付けばトルナトーレも日本流にいえば還暦を過ぎ、彼のその年齢を感じさせるドラマでもありました。