12.登場人物は3人のみ。1組のセレブ夫妻と、誘われるままに一緒にヨットに乗り込む1人の若い男。
ヨットで港を出て以降はほとんどの時間が狭いヨットの中のみで展開されるサスペンス。
最終盤まではほとんど何も起こらず、身動きするスペースもほとんど無い狭いヨットの3人をとらえ続ける。
妻を前に、男2人の些細な意地の張り合いが延々と展開されるのみですが、
全くだれる時間帯がない。かと言ってそれ程張り詰めた緊張感が漂っている訳でもない。
風と波に揺られて漂うヨットの如く、何とも言えない不安定な空気とそこに流れるジャズがたまらない。
ルイ・マルの代表作「死刑台のエレベーター」を思い起こさせるテイストがあります。
これがポランスキーの長編デビュー作とのことですが、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされており、
この新人監督、ただ者ではないぞと思わせる雰囲気をたたえた作品です。