4.過去への負い目、ともなう現在の無関心。
なぜ彼が不器用といえるほどに人との関わりに消極的なのかが、
過去のシーンとして、一コマ、一コマ、描かれていく、まるで現在と直結しているかのように。
言うなれば泣きっ面に蜂で、自身の辛い過去に、
身内の死が追い打ちをかけてしまうことで、
義務的な甥の保護という立場にたたされ、
徐々に使命感をもって行動するような変化がみてとれる。
それを見た元妻が「あなたの責任ではない」「あなたを愛している」というが、
伝えるタイミングがあまりにも違った。
大切なものを、些細なミス(犯罪ではない、と警察はいっている)で失った後、
自身、そして周囲(自身にとっての周囲)に一番の選択肢を選ぼうとする。
そして、そんな振り回される主人公の甥は、
振り回されるにはまだあまりにも若い。
静かなる映画だが、シーンすべてにくっきりとした色がついている。
そんな作品。