1.2022年9月13日、91歳の生涯を閉じたゴダールの遺作。
彼の初期作品を数本見た程度であるが、本作を見れば初期作品が如何に映画としての原型も、
エンタメ性も残っているのかよく分かる。
商業映画から決別し、映画の新たな可能性を模索しているのは確かだろう。
新撮が含まれているとはいえ、既存の記録映画と劇映画のコラージュに難解で哲学的なナレーションが重なる。
映画という概念を解体して、再構築した結果、仙人にならないと理解できない代物になってしまった。
普通の人が見たら映画ではなく、ただの睡眠導入剤だ。
10回見ようが、100回見ようが、きっとゴダールが見た真理には辿り着けないし、
この時間を別のことに使った方が有意義だろう。
哲学的に考え抜いた先にあるのが厭世であり、病苦による尊厳死だとしたら虚しい。
ただ、それも彼の選択である。