41.ものすごく時間をムダにした気分になります。老いてなお若い人に慕われたいというのは、老人の儚い夢なのでしょう。それを具現化したような作品ですが、時代の変化もあり、今さら見る価値はほぼゼロかと。 だいたい松村達雄の演技はいいのですが、古い教え子が寄り付くほどの魅力があるとは思えない。それに何より気持ち悪いのは、中盤にダラダラ続く「摩阿陀会」とかいうシーン。たいして面白くもないジョークで全員が大笑いし、いつの間にか合唱が始まり、隊列を組んで行進し。新興宗教の集会かよと。 後半のネコ騒動も「おいマジか」という感じ。気持ちはわからなくもないですが、この程度のことしか話題がなかったということでもあり、ご隠居暮らしはラクそうですねという感想しかありません。終盤に「お酌マシーン」と化した香川京子も哀れ。時代が違うといえばそれまでですが、でも平成の作品なんですよね。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2024-08-30 23:05:32) |
40. 過剰でベタついた湿り気の師弟関係。そしてここにもある黒澤映画の説教臭さ。摩阿陀会の群像描写も心に響かず。「戦に負けて終戦なり・・・オイチニ」等の批判精神はいいが。 先生のお祝い話と猫の捜索話で2時間超は深みに乏しく話が広がらない。 一風変わった人格を松村達雄はうまく演じたが、恩師礼賛の嵐には辟易。 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-08-20 13:20:58) |
39.黒澤作品、山田監督推薦100ということで期待して見ましたが、私には退屈な映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2014-08-06 20:41:57) |
38.2012.01/12 鑑賞。黒澤明監督の最後の作品。でも好みでない。先生を囲んでの同窓会と猫騒動のみの話で着想は面白いが感情移入が全く出来ず違和感のみ。内田百聞(寡聞にして知らず)の一人舞台の感じだが、唯唯変わった人物としか思えない。今までの黒澤明監督作品の中でも好きでない作品の一つ。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-12 23:32:02) |
37.黒澤が最後にまた師弟関係を描いた。そしてそれは成功したのかというと、その判断は下しづらい。私はいままで黒澤映画を観てきて驚くほど世代の違いを感じなかった。優れた古典が同時代性を持つ証明として観ていられた。それが今回初めて、明治生まれの人の映画を感じたのだ。正直に言うと、ここで描かれる師弟関係があんまり麗しく感じられないのだ。先生が何か言うごとに「こりゃまいったなあ」とか「先生にはかなわないや」などと言うのが、お世辞や追従笑いにしか見えない。『椿三十郎』の三船敏郎と金魚の糞たちに一番近く見えてしまう。でも監督はそれを麗しいと示している。こちらは微笑ましさを強制されているようでたまらなかったし、摩阿陀会のはしゃぎぶりはほとんど恐怖であった。肯定とか否定とか言う以前の「わからない」というのが正直な私の反応である。純粋な先生を保護したくなる気持ちがポイントのようなのだけど、小さな集団の中に閉じてただ先生が上機嫌であるように動き回る人々、先生をお神輿のように担ぎ上げるのが敬愛ってもんじゃない、と思った。といってきっぱり否定も出来ないのだ。何かそれなりの倫理がありそうなのだが、実感として納得できない中途半端な気持ち。これは映画の出来不出来と言うことではなく、世代のギャップなのかもしれない。監督自身はこれに似た師を持つことが出来たのだろう。その麗しい関係をフィルムに残したかったのに違いない。しかしそれを麗しいと感じられる文化そのものが変質してしまった。監督がこういう師弟関係を麗しいと思っているその熱気だけは伝わってくるのだけれど、それは空回りを続け、ただ明治に生まれた人の遥けさだけが心に残ってくるのだ。黒澤は終戦直後の時代をリアルタイムで記録していってくれた。この時代を過去として描いたのは本作だけである。先生と弟子たちが野良猫を探し回っていたころ、町の反対側では志村喬と三船敏郎が、刑事の先輩後輩として野良犬を探し回っていた。時代の理想を探し回っていた。そして今その時代へ向けて逆の方向から、監督は明治の理想を振り返りに戻ってきた。そう思うと、この和気あいあいとした作品に、明治の人の伝達不可能になってしまった社会への幻滅が感じられなくもない。なぜか複数の鬼に対して一人でかくれんぼをしている少年の心象風景、友だちに発見される期待から目をそらし、夢の夕焼けに溶け込んでいく孤独な少年…。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-08-15 10:00:00) |
36.この映画のイメージは半身浴ですね。熱くはないが冷たくもない温度を持つ映画。ちょっと汗ばむ。あがった後はビールを一杯やりたくなりますね。 【寺 梅斗】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-04-28 10:39:19) |
35.クロサワ節炸裂。これは映画なのか。もはや、演劇の中継を観ている気分というか、いやそれこそ、カブキ中継でも観ている気分になるのですが。冒頭のカットなどは、「先生」の登場を、扉に固定したカメラと、画面外から聞こえる喧騒で表現するあたり、“映画の企み”と言えなくもないかも知れませんが、これとて、舞台演劇でもとりそうな手法。そしてあとはもう、演劇中継よろしく、一歩も二歩も引いたカメラが視線を適宜入れ替えつつ、俳優たちの演じる世界を捉え続ける、という趣向。しかしその中に時々、映画ならではの切り返しがあったり(壁だったハズの場所にカメラが置かれる)、時間や空間を超えてシーンが繋ぎ合わされたり。映画の内容は、いくつかの独立したエピソードからなり、(『夢』で見せたように)オムニバスに近く、その点では構成に弱さがあるかもしれませんが、もうそんなことどうでもいいくらい、おおらかな気持ちになる映画、でもあります。ジジイがビールを一気飲みするという、ただそれだけの手に汗を握るサスペンス。ラストシーンはほとんど『2001年宇宙の旅』。所ジョージは大役を見事にこなしてさすがだけど、坂東英二は変だ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-03-01 22:29:20) |
【ホットチョコレート】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-06-27 11:36:33) |
33.黒澤監督が、自分の遺作になると自覚して作っていたことは明らかでしょうね。 何だか、監督が「先生」に自分を重ね合わせている気がします。 作品としては、少し大袈裟過ぎる台詞がどうも馴染めませんでした。 黒澤映画は、映像だけで充分過ぎるほどの力がある(本作では個人的に、掘っ立て小屋で四季が巡るシーン、猫が怒りを表すシーンが印象的でした)ので、教訓じみた過剰に美しい台詞が多くて、感情移入を妨げられた気がします。 所ジョージ、井川比佐志などは凄く良かったと思います。 しかし、先生の酒豪っぷりは圧巻ですね(笑) 【おーる】さん [DVD(邦画)] 4点(2010-03-14 06:33:56) |
32.う~ん..凡作.. 古き良き時代を描きたかったのか?監督は..今となっては、理解しがたい内容..もっと、描きようがあったろうに..師弟関係は良いとしても、肝心の先生の良さがまったく伝わってこない、分からない..エピソードは陳腐..笑いどころは??..監督の才能は、枯れてしまったのか..そう言わざるを得ません...世界の黒澤の遺作が、こんな作品とは..悲し過ぎる... 【コナンが一番】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-01-12 12:47:05) |
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31.内田百閒自身を含め、出てくるのはとびきりの善人ばかりのおとぎ話です。要するに全編ウソばかりなんですが、全山紅葉の中でぬるい温泉につかっているように、「ま、いっか・・・」なんて思えてもきます。ここまでリアルに「心地よいウソ」を作り出す力はやはりただ者ではありませんね。 【きのう来た人】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-22 06:17:56) |
30.退屈だという人も多いが、僕にはエピソードの一つ一つが楽しくて、退屈する場面は一つもなかった。凡人にない感性を持つ人をみんなが大事に守ろうとする気持ちプラス「師」に対する敬愛の念が一緒になってこの作品を支えている。その分、先生自身は「天然」な存在に仕立て上げられていて、それはそれで物語としては成立しているように思う。内田百閒は未読だが、彼自身が自分をどのように語っているのか、この映画を見て読んでみたくなった。映画で気になったのは第一回まあだ会で、スピーチの代わりに延々と釧路から鹿児島まで鉄道の駅の名前を暗誦していた人。宮崎映画だったら、あのあたりみんな一山まるごとひとくくりという描写で済ませそうなものだけれど、一人一人あんなふうに話しをさせて、しかもかつお話のメインの流れの外においてしまうというのが、物語の物語を犠牲にしながら現実とのリンクを保とうという意識を感じた。 【小原一馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-03-10 22:52:49) |
29.どうも、松村達雄がワタシ的にはまずかった。渋い演技達者というよりテレビの「ちょっと頑固ないいお爺さん役」って印象が強すぎるんだよね。(例えばキョンキョンの「少女に何がおこったか」の学園長先生役とか)。というわけで、どうして教え子たちがあんなに先生を慕うのか皆目理解できずただただ退屈するだけでした。 ・・・しかし、いくら自分が大の黒澤ファンだからってかつての初デートにこの映画を選んだ夫にゃ驚かされましたな。相手(=ワタシ)の好みなんてどうでも良かったってことかね?その程度の女だったってことかい? 【ぞふぃ】さん [映画館(邦画)] 3点(2007-10-17 17:09:16) |
28.最後のほう、家の窓から木が見えるシーンがあります。 ここまで見てきて、この木が写ったとき、ものすごくその木が美しく見えました。 【ほ~り~ぐれいる】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-10-13 02:12:24) |
27.でたでた月が丸い丸い真ん丸いお月様♪~ まさに角が取れて丸くなりすぎた 黒沢監督の映画でした。 【月読】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-02-10 21:31:28) (笑:1票) |
26.黒澤明の遺作は教師と教え子たちの触れ合いにとても感動できるいい映画だ。監督は当初、主役の百閒に笠智衆を考えていたが、病気療養中であったため、松村達雄になったと聞く。ラストの同窓会で先生が教え子たちの孫たちに言った言葉がものすごく印象に残っている。教師と教え子はいつまでもこういう関係でありたいと思う、そんな映画だった。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-08 01:01:57) ★《更新》★ |
25.雰囲気としては嫌いではないのだが、やはり全体的に退屈ではある。猫に絡んだ人情話の部分は素直に見入ってしまったが、その後の盛り上がりに欠ける印象。ストーリーにもう一工夫必要なんだと思える。 【もとや】さん 4点(2004-05-25 06:11:54) |
24.英文字幕付のDVDで見ました。こういった作品は劇場で見るのではなくて家庭でお茶でもすすりながら見るのが合っていると私は思いますが、黒澤映画独特の美しい画面はもちろん健在です。師弟間の情感がたっぷりと描かれているのはもちろんのこと、師弟の間で交わされる会話に方丈記あり、ファウストあり、李白ありと知的に豊かで、また別棟の書斎を「禁客寺(キンカクジ)」と名付けるなどの言葉遊びが豊富だったのでその都度DVDを戻して「英語はどうなっているのかな・・・。」と詮索してしまいました。終わり近くのシーンの「このくそ坊主!」「まだ、俺の出番じゃない・・・。」なんて英語、覚えて使うきっかけあるのでしょうか・・・? 【かわまり】さん 7点(2004-02-25 03:28:14) |
23.昔、教師と生徒はこんなに信頼しあっていた。たぶんそうだと思う。名物教師の話、どこにでもあったんじゃないかなぁ。ただ、猫がいなくなったエピソードがやたらくどくて、彼があそこまで落ち込む理由が描かれていないので理解不能。夫婦には子供がいなくて子供のように可愛がっていたとしても、彼の妻よりも愛していたはずもなく。しっかりせいよおじさん、と言いたい。まわりの奮闘ぶりもややマンガチックではないか。そう「サザエさん」のようである。主人公は波平といったところか。誰もが歳をとる。現実はこんなに甘くはないだろうが、歳をとるのもそう悪くないものだ、そう思わせる作品でしょう。 【wish】さん 8点(2004-02-22 18:55:15) |
22.黒澤映画にはいつもどっしりした「核」のようなものがあって、それを中心にさまざまな粒子がうずまいたり反発しあったりするのが魅力なのだが、この作品についてはそれに該当するものは「内田百閒」そのものと思われるが、それ自身の主体性というものがほとんど見て取れない。少年時代を思い出すことと、そこまで2時間で見せたエピソードが必然性を持って結びついているとは思えない。故人を偲ぶ、ゆかりの人間達のインタビュー映画のようだ。しかも、ドキュメンタリーならまだしも、演じている周りの俳優が、黒澤組の中でもへたくそ、または手垢にまみれた人ばかりがチョイスされているために、とてもウソ臭い。寺尾明、油井昌由樹、井川比佐志が、根津甚八など別の俳優だったら、もっと違う百閒のあぶり出しかたも出来たのではなかろうか。周りがこれだから所ジョージも個性を出すには荷が重く、周りに同調した面白みのないキャラになってしまった。「オイチニの薬」のとても地味なスペクタクルシーンに、映画人としての意地を感じたのでプラス1点。 【神谷玄次郎】さん 6点(2004-02-16 01:05:19) |