1.『大人は判ってくれない』『二十歳の恋/アントワーヌとコレット』『夜霧の恋人たち』『家庭』と続いたアントワーヌ・ドワネルの物語がこの『逃げ去る恋』で終わります。オープニングから既にニコニコしている自分に気づきます。感動的な話でもかわいそうな話でもないのにエンディングの歌で少し涙が出そうになりました。例えるなら子供の卒業式を見守る親の心境です(私に卒業式を迎えた子供はいませんが)。そう、この映画はアントワーヌの卒業式で我々は親、もしくは彼を小さいときからずっと見てきた親代わりの近所のおじさんおばさん。なので当然、正常な判断で評価するなんてことは難しく、単品で楽しめるかどうかもわかりません。この作品を観るうえでひとつ言えることは、必ず上記に記した順で全部見てからにしてほしいということ。そうすれば、あなたもきっとオープニングでニコニコしている自分に気づくはず。そしてエンディングの歌を聴きながら涙目でこう思うに違いない、「大きなったなあ、よーがんばった、ありがとう」と。