14.《ネタバレ》 自分の「体験」と妙にクロスするので、感想を書いてみる。
私は昭和35年の大阪市の東の下町生まれ。このような船宿(売春船ではないが)は見たことがある。
となりに住んでいる駄菓子屋のおばちゃんに、ある日長い手紙が来た。
小学校に上がる前あたりだろうか、ウチの親父や祖母が遅くまで隣の家で何やら相談をしていた。
戦死したと思っていた旦那が別の所に暮らしているという手紙が来たらしい。ですぐ、夜中に電報が届き、
その方が亡くなったとの知らせだった。朝にはおばちゃんは飛び出て、駄菓子屋はしばらく閉まっていた。
別の女性と結ばれ、中学生くらいの子供がいるという。知らせは旦那の弟からだった。
そう、のぶちゃんの父母のような夫婦が実際に居たのだ
馬車。パンを売り歩いているのはロバ(ポニー)だったけど、信号待ちでトラックやバスのクラクションに驚いてバックするのが怖かった。馬車での事故も割にあった時代。
酒を飲んだら軍歌しか謳わないおっさん 友人の父がそうで、歌うと小遣いをくれるので一生懸命覚えたという。
そういう「年代感」 日本が貧しく庶民が片寄せあって暮らしていた時代。
「高度経済成長」と言う歴史のワードだけでは、決して知られることのない人々の生活。
懐かしがる必要はないが、記憶や記録は、入れておいた方が良いと思う。
あ、ズボンのポケットに穴が開いて、夏祭りの夜店で、貰った小遣い全部落とした記憶もありました。
親父は怒るし、祖母は母親をなじるし、母親は泣くし、数日ブルーでした。
そういう「体験」が映画見ながらくるくるめぐるので、まあ、加賀まりこさんの美しさ、きっちゃんの素直さ、晋平父さんの毅然さ、貞子母さんの優しさ
あかんがな、もう涙で見られん と、数回に分けてみることになって、それがもう4順目
あのころ、こんな人たちがいたんだ 本当に近くにいたんだ そう思い起こす映画でした。私事ですいませんが、それが感想です。