44.《ネタバレ》 「主人公のラリーが夜警を辞めて、社会的に成功してる」って設定、本当に必要だったの?
……って思っていたら、ちゃんとラストにて「必要だった」と納得させられる作りなのが良いですね。
本来、ラリーが夜警を辞めているなんて設定、前作のファンとしては到底納得出来ないはずなんです。
でも、作中にて息子のニッキーやジェデダイアが「どうして夜警を辞めちゃったのか」と文句を言ってくれるから、観客である自分としても「そうそう、その通り」と頷かされて、映画との一体感を味わえるし、最後まで観れば
(なるほど、博物館に寄付するオチの為に金持ちにしておいたのか)
と、大いに納得。
この「序盤にて抱かされた疑問と不満が徐々に薄まり、最後にはスッキリ消えて無くなる」って構成は、中々気持ち良かったです。
ただ、全体的に考えると……面白さって意味では、前作より見劣りしてしまうかな?
「ジェデダイアとオクタヴィウスの友情」とか「自らが作り物の人形であると悟る切なさ」とか、前作にあった長所はキチンと引き継がれてるんだけど「色々と説明不足なゆえに、観ていて戸惑うストーリー」っていう短所まで、しっかり引き継いじゃってるんですよね。
ヒロイン格であるアメリアとの恋物語は唐突過ぎて応援する気になれないし、ジェデダイアが敵の人質になる場面でも
(そもそも彼は人形なので、砂時計に閉じ込められても死ぬって事は無いのでは?)
と思えちゃって、緊迫感が湧かない。
終盤の展開もグダグダで、巨大なリンカーン像が援軍に来てくれて一件落着と思ったら、なんかアッサリ帰って再び窮地になるし……
場面場面は悪くないので「こういう場面をやりたかった」っていう作り手の考えは分かるんだけど、場面の繋げ方が雑なもんだから、不自然さが生じてるんですよね。
パソコンを駆使してサポート役を務めていたニッキーが、途中から全然出てこなくなる(博物館改装後に、ようやく再登場)ってのも構成として如何なものかと思うし……
この辺に関しては、あまり誉める気にはなれませんでした。
とはいえ「1には無くて、2で新たに生まれた良さ」も、ちゃんとあったりするので、決して嫌いではないんですけどね。
ダース・ベイダーが出てくる場面や「携帯電話を拾った水兵が、後のジョセフ・モトローラだと判明する」オチには、ニヤリとさせられましたし。
棒術ならぬ懐中電灯術を駆使して敵を倒すラリーの姿も、正に痛快無比って感じ。
何より前作のラスト同様、今作でも最後は「楽しい博物館」を描いて終わる形になってるのは、凄く良かったです。
前作は「夜の博物館」という、閉ざされた楽園の中で秘密の祭りを楽しんでる感じでしたが、今作はそこに客を呼び込み、より「博物館らしい魅力」を打ち出す終わり方になってましたからね。
(この博物館、行ってみたいな)
と感じさせてくれたんだから、やはり良い映画だと思います。