20.《ネタバレ》 有り得ない設定なんだけど、それが現実における「舶来信仰の日本人」と重なり合って、シニカルな笑いへと昇華されていましたね。
英語が書かれた服、現地の品とは別物に変貌している料理。
異国の人々から見たら、日本人だって間抜けな姿になっているかも知れないよ、という「視点の転換」を提示してくれるのが面白かったです。
そういった寓意が込められている事を思うと、主題歌が「YOUNG MAN」というのも、実に心憎いチョイス。
金子修介監督って、コメディ映画を撮っても上手いんだなぁ……と思う一方で、どこか既視感を憶える作風だった為、スタッフをチェックしてみたら「彼女が水着にきがえたら」(1989年)「七人のおたく」(1992年)と同じ脚本家さんだったのですね。
大いに納得したし、上記二作品が好きな身としては、何だか嬉しいものがありました。
登場人物が、思った事をそのまま口にしてしまうなど、少々「分かり易過ぎる」点は気になりましたが、それも慣れてしまえば「愛嬌」と感じられてくるのだから、不思議なもの。
最後は絶対ヒロインと一緒に日本に帰るエンディングだろうなと思っていただけに、スターであり続ける事を選ぶ結末には、吃驚させられましたね。
主人公が子供時代からの夢を叶えた形でもあるし、孤児達に「頑張れよ、僕も頑張るから」と約束した言葉を、守ってみせたんだな……と思うと、不覚にも感動。
織田裕二が歌う「YOUNG MAN」が、作中で二度続けて中断される形となっており
(どうせなら、最後まで聴いてみたかったなぁ)
と思っていたところで、クライマックスにて見事に歌い切ってくれるという演出も、凄く良かったです。
そして極めつけは、ラストシーンにて表示される「つづく」のテロップ。
自分もスターになろうとしていた「一発次郎」の伏線もある事ですし「卒業旅行2 チトワンから来ました」に期待なのですが……はてさて、公開は何時になる事か。
異国旅行で体験した、夢のような出来事。
それを一時の幻で終わらせずに、夢の続きを歩む事を決意した主人公と、彼に呆れながらも付き添ってくれるヒロイン。
実に気持ちの良い映画でした。