224.スパイ・アクション大作の待望の続編としてその年の最大の話題作だった今作。
いつもは一人きりで映画館に足を運ぶのが常だが、今作は珍しく地元の友人と連れ立って観に行った。
が、結果は散々。多大な期待に対してあまりに酷い出来栄えに、鑑賞途中から辟易してしまった。
隣の友人も同様だったらしく、中盤辺りからから居眠りをする始末。友人の寝息が退屈感に拍車をかけて、殊更に集中できなかった。以来、映画を友達と観に行くことは殆どなくなった。
失敗の最大の要因は、「ミッション:インポッシブル」という作品と「監督」の食い合せの悪さだったと思う。
ジョン・ウー監督の独特なアクション演出が、この手のスパイ・アクションにはあまりにも合わなかったのだ。
「ブロークン・アロー」「フェイス/オフ」でのハリウッド進出が大成功したジョン・ウーは、当時最ももてはやされた監督の一人だったと思う。
僕自身、ジョン・ウー監督の映画は好きで、今作も勿論期待したけれど、まあものの見事に失敗している。
何よりも“手際の良さ”が重要視されるべきスパイ・アクションにおいて、スローモーションの多用や、大袈裟なアクションがモットーのジョン・ウーのアクション演出は、あまりに冗長で、ストーリー上の緊張感に即していなかった。
ヒロインが一刻を争う瀕死の状態の最中で、バイクを乗り回した挙句、ダラダラとタイマンを張ろうとするスパイがどこにいるんだという話だ。
またスパイ映画の王道的存在である今作において、それらしい描写が無かったことも致命的だったと思う。
スパイ映画らしい最新兵器やガジェットは皆無だったし、お決まりの“マスクネタ”も一辺倒に多用しすぎていて、工夫が乏しかった。
今回改めて観直してみて、やはりこの映画は「ミッション:インポッシブル」である必要がなかったなと思う。
トム・クルーズも、ジョン・ウーと組んでみたかったのは分かるが、きっと別の企画にすべきだったと後悔したことだろう。
思えば、ジョン・ウーの「迷走」もこの作品から始まっている。
監督、俳優、観客、誰にとってもあまり幸福な映画ではなかったと思う。