23.なんてパワフルな映画なんだ。本作の作り手たちの、スクリーンからはみ出すほどの気迫に興奮せずにはいられなかった。 制作陣の「面白い映画を撮りたい」という気概が、劇中の世界にいる官僚や自衛隊員たちの「ゴジラから日本を守りたい」という意思にそのまま昇華されているように感じた。 むしろ、「もし、今の日本にゴジラが上陸した場合、政府は、自衛隊は、日本は、一体何ができるのか」を徹底的にリサーチ・取材し、その結果を基に作り上げた映画なのだから、本作に登場する人間たちは、この映画の制作スタッフたちそのものだと言って良いだろう。 人間であることを誇りに思えるというわけでもないけど、人間って凄いなと思った。 地球上のありとあらゆる資源を搾取し、それが枯渇したら新たな資源を自ら作り出す。それによって自然環境のバランスが崩れ、我々は異常気象や自然災害に見舞われる。 しかし、多くの仲間や物資を失ってもなお、我々は立ち上がり、これを乗り越えて、元通りの生活に戻していき、更に資源の搾取を続けていく。 そんな人間の我儘さと気丈さをも描いている(と僕は思ってる)映像作品が、人間に観てもらうためだけに産み出されていること。それを観て心を躍らせている人間(=僕)がいること・・・それらがとにかく異様であるような気がしてくるのだ。人間の歩んでいる歴史の凄まじさに今更ながら驚いてしまった。この気持ち、自分の文章力ではどうも上手く表現できないのだが・・・。 【Y-300】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-08-18 20:43:38) |
22.《ネタバレ》 オリジナル第一作は未見だが、現代日本がつくる新たな「新・ゴジラ」、オリジナルの真意に迫る「真・ゴジラ」、そして世界を震撼させる「震・ゴジラ」を改めて世に問おうとした製作陣の意欲は伝わってきた。 まさに「現実」対「虚構」を描いているのだが、「虚構」は言い換えれば「想定外」ということでもあり、類似する事態が未来永劫に発生しないとは言い切れない。まさに福島原発がそれであり、日本の引いては世界の危機管理こそが本作のテーマであり、そのシミュレーション映画と言っても過言ではない。 深刻かつ危急な事態にあって、人間(及びその組織)はいかなる行動をとりうるのか、世界はどう動くのか…… その意味では、本作はあの「3.11」があったからこそ生まれた、原点回帰ゴジラ映画とも言える。したがって「ゴジラ」との発音、フォルム、そしてあの音楽も必須だったと思える。 終盤の血液凝固剤経口投入作戦は「ウルトラマン」の実相寺作品に見られるような荒唐無稽な作戦ではあるのだが、福島原発でのポンプ車出動とリンクさせているように思えてならない。「想定外」の事態には、正確な情報と速やかな判断、そして何より「行動力」が問われるわけだが、これは国家でも人間でも変わらない。本作が日本(日本人)の危機管理向上に有益であることを願ってやまない。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-08-17 11:02:03) |
21.《ネタバレ》 「ゴジラ」映画を見たことはないが評判がよいので観てみた次第。佳作。特撮はよかったが(とくに序盤)、ここまで高評価なのはちょっとわからない。【ネタバレ注意】石原さとみはミスキャストとしか思えない。そういう演出なんだろうけど、とても“大統領を狙う才女”に見えない。というかウザい。余貴美子はよかった。政治と危機管理を描いたドラマみたいに言われているけど、そこも薄っぺらい。ゴジラ自身が放射線出して街を破壊し続けているのに(半減期が短いという“都合のいい設定”がわかったのは後の話)、核爆弾による汚染をそこまでためらうのはなぜだろう。いや、逆に核エネルギーで動く生物に核攻撃して効果があると確信できる理由があるだろうか。というか、安保理も攻撃するなら都市部から離れたときにやることにすればいいのに。終盤の凝固剤の投入も第一陣が無残に殲滅されたら、第二陣がビビる、くらいの演出がほしかった。どれだけ命知らずの隊員なんだ。リアル(福島原発事故のとき)では、30mSvの放射線というだけで隊長泣いてたぞ。というか(核攻撃以外の)選択肢がはじめて開発する凝固剤一択とか、ちょっとリスク高すぎないか?しかも凍結成功して安心してたけど、それこそ切り刻んで処分するまで安心できないんじゃないだろうか。「ゴジラ」映画は、そういうことを考えちゃいけないならしかたないけど。なお、膨大なセリフを尺に収めるための策、なのかもしれないが、会議で多数の登場人物が“順番にしゃべる”というのも舞台劇を見ているようだった。新幹線爆弾に続いて在来線爆弾というのは笑った。エヴァ(Decisive Battle)っぽい曲もなかなかよかった。「ヤシオリ作戦」って「ヤシマ作戦」へのセルフオマージュかと思ったけど違うのかな。 【mohno】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-08-15 23:48:43) |
20.《ネタバレ》 ゴジラを見たいのに、踊る大捜査線みたいなドラマを延々と見させられて不満です。 序盤のゴジラ(ツチノコみたいなやつ)はグロかっこよかったのに… 進化したらガンダムシードディスティニーみたいになってしまって… まあ、序盤よかった!序盤! 【わんたん】さん [映画館(邦画)] 5点(2016-08-15 03:10:12) |
19.《ネタバレ》 シン・ゴジラを見て来ました。 ナイトショーでしたがその割にはお客さんは入っていた様です。 映画の感想ですが、ちょっと会話劇の部分が長かった感じがします。 ゴジラは最初出てきた時(第一段階)は拍子抜けしましたが、最終的にはかなり怖くなります。 ゴジラが上陸する場所が家の近くで、見慣れた場所だったのでビックリ。 自衛隊との交戦シーンや、米軍の爆弾攻撃を受けた後の熱線発射シーンは凄まじい迫力でした。 最後の作戦はちょっと漫画チックで笑えるけど、重機が出動するシーンはちょっと萌えました。 船や車が流される場面、放射線量のニュース、最後の作戦で薬を投入するシーン等、3.11を意識させました。 マニアックな所では、伊福部先生の音楽がエンディング迄沢山聞けたので嬉しかったです。 しかし、全体的に、日本発のゴジラ映画として、必要なメッセージがしっかり込められた良い映画だと思いました。 以下追加 アマプラでGWにオルソを視聴。 同時に-1.0と白黒版も視聴した。 白黒版はオルソの方が合っている感じ。 白黒になると、岡本喜八版の「日本の一番長い日」を彷彿とさせる様な感じになる。 二回目の上陸の、鎌倉上陸から東京蹂躙辺り、白黒版の方が印象が強い。 特に光線放射する、シンゴジラの不気味なイメージが初代を彷彿とさせる。 白黒だと石原さとみの演技が余計に浮きますけどね。 (以上、2024年5月7日追記) 【ahiru3】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-08-15 00:58:51) |
18.面白いというより圧倒された。やってほしい事を全部やってくれたので大満足です。人間もゴジラもお疲れ様でした。 【Yoshi】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-08-14 23:44:56) |
17.《ネタバレ》 ★ゴジラの絶望的な恐ろしさ、テーマは反核ではないと思うが、核の恐ろしさは充分伝わる(ほんとはオリジナルのように明確に反核をテーマにすべきかもしれないが、それをやると最近は上から下まで右に左に喧しいので・・・ほんとウザイ)。そしてそれに対してなんだかよくわからん超兵器ではなく、生物学的アプローチ・要は「人類の知恵」で立ち向かうアイデアはとてもいい。★邦画が必ず陥る、愚にもつかん「人間ドラマ」や「お涙頂戴」「恋愛ドラマ」をすっぱり切り捨て、政治(の中枢)官僚組織(自衛隊も含む)の中の奮闘劇にドラマを絞ったのもいい(へんな日本語英語を話すあのオネーチャンには笑ってしまったが)。★余計なシーンは感じられなかったので、それらの要素を入れたらさらに2時間半~3時間コースになるだろうし。ハリウッドのやたら無駄描写の多い「大作」には辟易だ。★あとこの監督にはつきもののオタク要素も適度でいやみがない。★法や縦割り行政、他国とのしがらみ、保身などでいざというとき後手後手になってしまう政治家、それを振り切って「下」や「異端」の方が積極的に一致団結して困難に立ち向かっていく、それに「上」の政治家も動かされる、っていう展開はシンプルだが、リーダー(エリート)はこうあってほしいという「庶民」の願いを上手く具現化してる。★クライマックスでゴジラを倒す一連の描写はちょとそんなばかなと思ったが、あれは動きが鈍った隙に通常兵器の効かない硬い皮膚を避けて、直接注射、ってことでOKなのだろうか。細かく覚えてないので。ちょと上手くいきすぎだと思うがまあいい。★音楽も、伊福部先生のオリジナル曲をきちんと使ってくれたのはよかった。バカみたいなタイアップ曲なんか要らん。★まあ後は、エヴァの続きがどうなるのかは知らないが、まあ何というか・・・ 【wagasi】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-08-14 22:36:04) |
16.《ネタバレ》 全体的に、真面目に作っており、ゴジラの恐怖感も出て、よい映画ではあるが、バランスが悪い、政治色が強すぎる。もう少し、市民の勇気を示すドラマがほしい。大統領候補を目指す石原さとみは無理がある。最後のエンドロールのゴジラ交響曲はずばらしかったので、ゴジラが迫る場面で、心底、震える恐ろしさを曲を利用して、描いてほしい気がした。初めに出たゴジラの姿はデザインが幼稚すぎる。科学説明も中学生位にも判るくらい簡単化が必要。後半から最後にかけて、エヴァンゲリオン風となって本来のゴジラの本道(人類の軽率な行動に対する警鐘)から、外れていってないか。 ◆ ◆ ◆「ゴジラ映画」の真の本質を描くなら、【原発】を襲うゴジラ(真の恐怖:人間側の攻撃が限定)を描くこと。 ◆日本の最大の弱点【原発】への攻撃、その対応を次のゴジラ映画に期待したい。 ◆ ◆ 【cogito】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-08-14 18:39:49) |
15. 過去のゴジラをふまえた上で、もう一度日本のゴジラを作り直そうという気概を感じました。 【海牛大夫】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-08-13 18:23:45) |
14.《ネタバレ》 鳴き声やミサイルが着弾した時の音など、懐かしいなぁって感じで良かったです。 この手の舞台設定や進行は、日本のアニメの中でこれまでさんざんやられてきているので、そちらが好きな人間にとっては、もっとマニアックでもっとハラハラドキドキさせられる話をいくつも知っているけど。。。といったレベルなのかも知れません。でも実写としては「よくぞここまでやり切った」といっていい力作だと思いました。もちろん監督の才能・手腕によるところも大きいと思いますが。(つまらない映画の声優なんかやっている場合ではないですね) 個人的には、最後は口ではく、「唯一の装甲の弱点を突いたお注射」ということにして、そこに当たるかどうか、みたいな超ベタな展開でも良かったんじゃないかなぁと思ったのですが、今回の場合は「あの時」の放水車を意識したんでしょうね。 2006年の「フラガール」(頑張る少女達と先生)、2007年の「キサラギ」(脚本勝負の密室会話劇)が、莫大な予算をつぎ込んでCGと火薬の量で勝負してくるハリウッドに対する、邦画の目指すべき姿の代表例ではないかと考えているのですが、そこにもう一つ加えてもいいかなと思いました。 【マー君】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-08-13 16:42:10) |
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13.《ネタバレ》 この映画はゴジラをなのった、政治映画である。と思えた。だから、海外ではうけないと思う。私は、政治映画はすきだが、今の政府は評価していないので、そこを鋭くえがいて欲しかった。自衛隊だって、ゴジラと戦うのは平気だろうが、ISと戦うことになったら気が引けるだろう。しかし、今の安保法案でいずれそうなる。ただし、アメリカの傀儡政治はよく描けていた。昔のゴジラファンとしては怪獣ゴジラの愛が感じられなかったのは残念である。尻尾に何人もの死体をまきつけていては、そうもいかないだろう。しかし、本当のゴジラは、人間の身勝手さを嘆いていた。いや怒っていたのだ。だから、地球に危機が来ると立ち上がる。しかしこの映画のゴジラは立ち上がらないだろう。政治映画ならまあまあ。しかし、ゴジラ映画なら落第点である。 【matan】さん [試写会(吹替)] 7点(2016-08-11 21:54:43) |
12.《ネタバレ》 普段はほぼ邦画は観ないが、武蔵小杉の我が家が踏み潰される映像を見たくて鑑賞。期待が大きすぎたからか正直ちょっとガッカリ。政府関係者のセリフが多すぎだし音楽がショボかった。我が家は映ったのかは不明。DVDになったらコマ送りで見よう。 【kaaaz】さん [試写会(邦画)] 6点(2016-08-07 22:18:36) |
11.《ネタバレ》 最初の上陸シーンからある意味「サプライズ」でした。 しかも悪い方向でのサプライズ・・・見るからにB級映画臭が漂い一気に先行き不安になりました。 結論をいえば、そんな不安は見終えるころにはほぼ吹き飛ばされていました。 とりわけ、夜間シーンではなく、真昼間の映像で真っ向勝負を挑んだことは基礎点が高いといえるのではないでしょうか? 全体として、いま災害や国際情勢などの脅威にさらされている日本の状況が凝縮されていたと思います。 危機に対する日本の無防備さは、あまりにもリアリティがありまったく笑えません。 そして怒られるのではないかというくらいの無能な内閣の描写についても、リアリテイがありすぎて笑えませんでした。 こうした日本の短所を皮肉りつつ、打ちのめされても黙々と立ち上がる日本の長所も忘れてはいません。 最後の作戦に挑む際の長谷川のシーンには、ID4の大統領演説のような派手さはないものの、日本らしい高揚感を覚えました。 ゴジラ自体は単なる脅威として描かれ、その感情すらもよくわかりません。 "敵か?味方か?”という生ぬるい要素は一切排除し、単に人間にとっての脅威という王道を行きつつも、かなり斬新な印象を受けました。 終盤の退治作戦の大雑把さは大きなマイナスポイントに思えましたが、核兵器に頼らず働く車で解決するところがこれまた日本らしい。 荒削りな部分は多々あります。 しかしながら、ハリウッドように莫大な予算を使えない邦画が懸命に挑んだ力作といえます。 ゴジラ続編やハリウッドに常につきまとった「これじゃない」という感覚はなかった、、、拍手を送りたいと思います。 【午の若丸】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-08-07 16:50:24) |
10.《ネタバレ》 人間ドラマよりもゴジラ目当てで足を運びました。そして、そのゴジラの場面の出来がすこぶる良い出来で大満足でした。ゴジラが街を蹂躙する様を足元から見上げているところはもちろん、俯瞰で捉えたシーンも巨大さがよく出ていたと思います。最初のゴジラにもありましたが、遠く地平線が火の海でそこに浮かぶゴジラの影のシーンも印象的でした。架空の超兵器が出てこなかったのもよし。 普通の会話から専門用語が飛び交う会議まで全編に渡って舞台がかった演技や早口でまくしたてるセリフと編集に、鑑賞していて疲れました。政治家や官僚、戦後日本を風刺する時によく聞かれる「この国」という言葉に良いイメージがないんですが、まぁ何回言うんだっていうくらいに登場人物たちが「この国」しか言いません。「我が国」や「日本」なんて本当に4,5回しかなかったですね。みんな日本を守る当事者として奮闘しているのに「この国」なんていうかな?と残念に思いました。 【リン】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-08-05 22:01:16) |
9.《ネタバレ》 「芸術とは積み重ねたコインを真上から見るようなもの」とある芸大学長の講演でそのような話を聴きました。 シンゴジラはまさに日本映画芸術の現時点であり、高く高く積み重ねられたコインの中にはこれまでのゴジラ(東宝特撮)シリーズ、ウルトラマンやパトレイバーは勿論、邦画(アニメ含む)の名作・傑作の数々が含まれていて、更には 鳥坂先輩や空想科学読本にはじまる「シニカルでリアルっぽいファンタジー」の終着地になっています。そして「さぁ、次は君の番だ!」とバトンを渡すがごときメッセージが感じられ、「神」「芯」「進」 TV特番でキャストの皆さんが示した「シン」に込められた想いにも 日本語=日本人 の奥深さや可能性が込められていて感慨深いものがありました。蛇足になりますが田んぼアート「シンゴジラ」の「なるほど!」と唸らされる見事さがまた嬉しかったりする 日本だからできた、日本人に見て欲しい 日本らしい映画です。 【0707usagi】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-31 01:28:33) |
8.《ネタバレ》 ドラマパートと特撮パートの比率、構成は確かに第一作を踏襲している感じで塩梅がいい。 官房や防衛省など、相当のリサーチが行われたのだろう。そうしたいわゆるリアリズムの対価として、しがらみや忖度が付随するのはこうした作品の宿命だが、 制約の中で軽やかかつ真摯に風刺を混ぜ込んだシナリオには唸る部分が多い。 当然批判は覚悟しているだろう会議シーンの多さもいわゆる喜八カッティング&アングルと怒涛のダイアログによって活劇化しようという試みか。 実際、颯爽とした石原さとみや市川実日子の台詞廻しなどは内容以上に語りのリズムでシーンを動態化している。 とは云うものの、肝心の凝固剤注入シーンまで台詞で全解説というのは残念だし、長谷川博己が檄を飛ばすスピーチシーンも冗長に感じる。 (語る長谷川は特権的なクロースアップ、聴く側の民間協力企業隊員らは背中か手元だけで表情を一切映さないあたり、徹底して意地が悪い。) 特撮シーンは快晴の昼間、夕暮れ、夜景とバランスよく、庵野的な工場群や電線越しにゴジラを捉えた仰角ショットがよく決まっている。 やはりこういう部分で作り手のフェティシズムがものをいう。 怪獣の歩みによって屋根瓦が細かく振動するなど前半の純日本特撮的な数ショットに心躍るが、後半のビル倒壊アクションなどはハリウッド大作に 先行されている分、分が悪い。 それでも旧作に囚われすぎることなく、火の海を背景に陽炎に滲む「巨神」のイメージを象ったセルフオマージュ等も盛り込んでしっかり己の映画に仕上げているのだから天晴れである。 第一作同様、海のショットで始まるこの最新作。ラストは海へ還すことなく、日本を睥睨させる。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-07-30 22:55:06) |
7.《ネタバレ》 (初見時以降適宜修正)ゴジラファンという自覚が全くないにもかかわらず、なぜか必ず見に行くはずだと周囲の人々に思われていて圧力を感じたために仕方なく見たが、公開初日を含めて結局3回見た。何度見ても退屈を感じる暇のない映画だが、それは早口のせいもあると思われる。真面目なだけでなく微妙に笑えるネタも仕込んであり、個人的には冒頭の映倫マークで足音一つというところから可笑しい。特に巨大不明生物が初めて全貌を見せた場面はかなり衝撃的(笑)で、これは見事に意表をつかれた感があった。終盤の在来線爆弾も悪ふざけのようで、やりやがったなと苦笑させられた。 ストーリーとしては、要は前例のない大災害への日本国の対応を描いている。野次馬的な国民も被災者も、各種勢力の蠢動も登場人物の家庭環境も全てチラ見せした上で、政治・行政・防衛と対外関係に絞った形になっている。 政治家に関しては、世俗にまみれた人々が状況に急かされて覚悟を固めていく様子が描写され、総理も最後は惜しい人を亡くしたという気にさせられる。とても人格高潔そうには見えない人物が骨のある発言を聞かせるとか、いかにも優柔不断な責任者が、その場になれば自分のやれる方法で最善を尽くそうとするのもいい。官僚組織や学者にも、現実的かつ発想力と対応力のある人材はいるはずだということが表現されている。 対外関係としてはあくまで対米関係を主軸にし、対馬沖で騒いでいたのは何かなど名前すら出ない。米軍機が東京を爆撃したのはさすがに反感を覚えたが(2機撃墜!)、最後は自国の才覚で何とかする形になっていたのは安堵した。最終的には期待と懸念を両方含む不透明な未来に向けて、友達とも限らない大国と付き合いながら国の舵取りをしていこうとするラストはリアルともいえる。ハッピーエンドともバッドエンドともいえない状態でどこまでも続いていくのが現実ということだ。 自分の若い頃は現実に即した自由な考えが許されない息苦しい時代だったので、今になってこういう真っすぐな映画が製作されて普通に受け入れられたのは感慨深い。ちなみに劇中には自衛隊に関わる格好いい台詞が複数あって少々やりすぎかとも思ったが、その中でも「仕事ですから」くらいなら、何らかの社会的使命をもつ人は官民問わずに誰でも言える。 そのほか女優の出演が少ないという意味では映像的に華がない。ヒロイン風に出る日本人顔のアメリカ女は目障りでしかないが、少なくとも前半ではこの人物が、外国からの介入の煩わしさを思い切り体現していたのだろうから嫌われて当然である。この映画としては、最終的にこの人物への好感度を回復させるよう狙っていたのではと思うが、少なくとも自分に関してはそうならないまま終わってしまった。まあこのキャラクター自体がマンガと思えば突っ込むまでもないということはある。 一方で、化粧気のない環境省自然環境局野生生物課の課長補佐は変人風で付き合いにくそうだったが、必要なことを真っすぐに言う人物は正直好きだ。この人が劇中初めて破顔した場面は泣かせどころだった。 [2024/5/25追記] 「-1.0」を見た機会に再見。映画の伝えたいメッセージは「この国はまだまだやれる」だった気がする。「戦後は続くよどこまでも」というのは当時も今と同じだろうが、それでも持てる潜在力を発揮して、日本国の意思と主体性を確立してもらいたいという願いが感じられる。2024年の現在になってみれば「まだまだやれる」などとは全く思えない有様だが、逆にこの映画の時点で共感できたということは、当時は本当に「まだまだやれる」可能性があると思える時代だったということだ。1954年の原典版と同様に、公開時点の世相をちゃんと捉えたゴジラ映画に思われる。 【かっぱ堰】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-30 21:40:56) |
6.《ネタバレ》 駄作オンパレードの平成シリーズ全作を束にして葬りさるくらいのクォリティの高い作品でした。 作家性と娯楽性が見事なバランスで結実していました。 カメラワーク、フレーム内レイアウトなど絵作りが味深く重厚。 きをてらわない、地に足の付いた演出力は特筆すべきものでした。 そして、新しいもんをつくるというから、 あのテーマ曲はゆめゆめ期待していませんでしたが、伊福部御大の旋律が炸裂の巻でした。 若干スマートなアレンジが施されているものの、アドレナリン出まくりでした。 こうこなくちゃと、がぜん盛り上がりましたよ、もう。 そして、エンドクレジットで皆さんご存知のマーチをメドレーでフルコーラス聴けた幸福! 「時計じかけのオレンジ」のエンドクレジットで劇中で主人公が歌ったスタンダードナンバーのオリジナルを たっぷり聞かせたように、そのセンスにやられたと思いながら、至福の時間を過ごしました。 ほんまに大満足やわあ、うちら! 文句なしに10点満点を安野モヨコさんのご主人に献上させていただきます。 |
5.《ネタバレ》 まさに庵野版ゴジラ、ヤシマ作戦や組織物するのなら、いっそゴジラfeatエヴァにした方がよかったかも。 ヤシマ作戦が最後の最後に失敗して、ラストでやっと動いたエヴァ初号機が登場してゴジラの口の中に冷凍爆弾つめこんで、2体とも 行動停止で・・・というふうな。 決まらない会議劇は日本政府の象徴だが、現実はあそこまでひどくないと想いたい。もっと迅速に対応すると想います。 まず迅速さと調査能力で世界最強の日本のマスコミが黙ってない、政府を煽ります。最初にゴジラの幼児体で上陸して海へ帰った段階で、 潜水艦、哨戒機等を使って徹底した対策を練るはずです。 点数は最初は斬新だったので甘めの7点。悲劇性なさとカタルシスのなさ高揚感のなさ、作戦のショボさが減点です。 【SHOGO】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-07-30 17:34:42) |
4.エヴァは投げっ放し、実写の評判が著しく悪い庵野監督をなぜ起用したのかと殆ど期待していなかった事もありましたが、全く裏切られました。興奮、感動の一言です。見終わった後も議論の余地を残す傑作に仕上がっています。監督らしくエヴァ色は濃かったです。グロテスクなクリーチャーが変態を繰り返す、ゴジラと言うより使徒を想起させましたが核や震災等現代に見合った新しいゴジラ像が見事に表現されています。旧来からのゴジラファンですが、十二分に満足出来ました。語りたい事が多過ぎますが、それは聡明なる評論家にお任せしたいと思います。 多くの日本人に観て貰いたい。この国はまだやれる、天晴れ。 【Kの紅茶】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-30 17:04:01) |