1.《ネタバレ》 ストーリー、演出、役者、アクション、カーアクションどれを取っても素晴らしい。
バートン版ももちろん好きだし、叩かれまくっているシューマッカー版も好きな自分だが、これこそ完璧なバットマンではないだろうか。
ストーリーとしては、正義と復讐の違いを丁寧に描いていると思う。単に銃で撃ち殺すこととバットマンとしての行動との違いが充分に理解できる。
また「闇の軍団」自体が単なる悪党集団ではないところも面白い。彼らにも彼らなりの正義がある。バットマンの正義と「闇の軍団」の正義の違いを考えてみても面白い。
演出としては、蝙蝠に襲われても立ち尽くすウェインには鳥肌モノだった。あのシーンで彼が完全に恐れを克服したと一目で理解できる良い演出だろう。
ラストの聴診器を拾い上げるところも良いと思う。ストーリーの原点に振りかえることで、父母を自分が死なせてしまったという負い目、怒り、恐れも消えうせ、父母に対して自分が誇れるほどの自信をつけたウェインの成長を感じられる良いシーンである。
役者については、クリスチャンベールを見たのが始めてであったが、今までのマイケルキートン他バットマンを演じたどの役者よりも良かった気がする。繊細でかつ、自分の本当の姿をレイチェルには知って欲しいという人間的な部分を感じられた。
他では、マイケルケインとゲイリーオールドマンの役どころとしての比重も厚かったが、存在感も充分厚かった。
アクションについては、多少スピードは速いと感じたが、眼で追えないスピードではない。「ボーンスプレマシー」とは異なり、限界ギリギリのところを見せてくれたと思う。
カーアクションについても好きなところ。クルマがクルマだけに、他の映画のどのカーアクションよりも迫力があった。
ただ、無抵抗の悪人一人殺せないのに「闇の軍団」の真の意図を知ったとたん皆殺しにしてしまうところや、人体に影響のないマイクロ波というのが少し気になる程度だろう。
個人的にはバートン版「バットマン」との繋がりは大切にして欲しいと思っていたが、両親を殺したのがジョーカーでない(注:本作の扱いがオリジナル通り)などはストーリー上、やむを得ないところがあるのだろう。最後には一応繋いでくれたので良しとしたい。