269.だから、コーエン兄弟に撮らせば良かったんだってば。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 6点(2003-12-01 11:27:52) |
268.主人公の行動は、普通の人間が日常の欲望に対して邁進するということでなんら異常な行動ではない。しかしながらそこには微妙でありながらに明らかな「常識」との差異がある。その絶妙な差異であり異常さを巧みに演じたケビン・スペイシーが素晴らしい。彼をとりまく環境も至極一般的なものであるはずである。それを主人公の精神の破錠ぶりを中心に異世界のように描き出したサム・メンデス監督の世界観にもただならぬものを感じる。アカデミー作品としては異質であるが、その名誉にふさわしい作品だった。 【鉄腕麗人】さん 9点(2003-11-30 13:36:52) |
【ガッツ】さん 5点(2003-11-28 23:16:54) |
《改行表示》266.《ネタバレ》 この映画が見せてくれるのは、世界はいつだって内側にあるものだということ。人々が共有している外側の世界には、いまや壊れた世界とそれを取り繕っている人々しかない。家庭崩壊や性倒錯やドラッグなどは、いまさら深刻に語ってみても驚きなんかない、もはや当たり前のことだ、と軽く笑いとばしてしまう。 娘の友達に恋をして、彼女の気を引くためにエクササイズを始めてしまうケビン・スペイシー。アホなオヤジと笑うのもいいけど、物事は全てこの通り。なにかの目的をモチベーションにして、夢中に励む。世界は結局そうやって回っているんだから。主人公の中の世界では、そのこと自体がすでに幸せなんだ。外の世界にある彼女という存在自体とは関係なく幸せになれる。だからいざ彼女と一線を越えようとしたとき「初めてなの」という告白で、内世界と外世界のギャップを再確認し、すっかり醒めてしまう。 その後の彼女との会話は素敵なシーン。彼女との関係はすっかり娘の友達に接する父親のそれになっている。さっきまでニャンニャンしようと目を血走らせていたケビンが、ここでは思い出したように娘の心配をしちゃったりする。それは外世界で父親でいるための処世術であり、その実、父親としての本音でもある。内外の世界が一瞬だけ重なるその瞬間が美しいです。ここで死んでしまうところがまた、彼にとってこれ以上ない幸せなのかもしれません。彼の内世界では、温かい家庭が彼を包み込んでいただろうから。 主人公と対比した影として描かれる隣人、元海兵大佐役のクリス・クーパーの人生もまた観客にとって身に覚えがあると思う。棺桶まで持っていく秘密を抱えて、保身のために嘘を塗り重ねて生きている。主人公のことも、大佐のことも、あまりに私(達)に似すぎていてコメディだけど、同時にとてもシニカルだ。 しかし、登場キャラクターに付随するファクターを、自分の手札に変換して考えられない人にとっては、まったく共感を得ることが出来ない映画なのかも。 【337】さん 10点(2003-11-28 19:52:35) (良:6票) |
265.論評を長々書くほどの映画じゃないと思いますよ。アメリカの今をリアルに書いてるんでしょ。でも、これは枠の中のアメリカであって全てではない、だからこれをもってアメリカがどうのこうのいえないんじゃないでしょうか?一人の女の子は、「あーあのエロ親父の映画ね」って言ってたし、もう一人の子は「何でこんなのがアカデミーとったかわからん」って言ってました。これに尽きるのでは?観てハッピーになるわけじゃないし、観ないから損するほどの映画じゃないと思います。男児の私にはうれしいシーンはありましたけど。 【たかちゃん】さん 4点(2003-11-28 17:08:36) (良:1票) |
264.《ネタバレ》 家族とは、家庭とは、父親とは、母親とは、子供とは、男とは、女とは、人生とは、『こうあるべきだ』という様々な規範、暗黙の了解に縛られて仮面を被らされている現代人。個性の前に性別、仕事、子供の有無、年齢、社会的地位、見た目で判断されてしまう現状に怯えて、私たちは「男とはこうあるべきだ」「女とはこうしてはならない」という社会的な規範に逸脱しないように本当の自分を捨て、本音を隠して、流行というものに置いていかれないようになんとかして『表向きの自分』を取り繕おうとしています。そんな私たちが共通して抱えている普遍的な問題を浮き彫りにした作品だと思います。「私は素のままで生きていて不自由を感じた事がありません。」と言えてしまう人には理解できない映画かもしれません。 |
《改行表示》263.ここに出てくる対照的な二組の家族は極端に描かれてはいましたけど、もはやアメリカだけの問題ではないですね。人間にとって基本となる基盤となる最小組織である家族が機能していない、すでに崩壊してしまっているのですね。表向きは両親と子、住みごこ地のよさそうな小ぎれいなマイ・ホーム。しかしそこに住む人間たちは無気力な夫と見栄っ張りな妻。国粋かぶれの暴君の夫と自己主張できない妻。そしてその娘と息子はこの夫婦の子ならこうなるだろうなあと、妙に納得してしまいました。その現状に疑問を持っているのがレスターとクリス・クーパーの妻。知らず知らず「こうすることが普通、幸福」と信じきっているより、何か違うと疑問を持つことの方が正常のような気がする。登場人物の中でいちばん屈託無く、表と裏を感じることなく、自然体で幸福そうなのはゲイのカップルだった。このあたりがかなり皮肉ですね。何かに目覚めたようにレスターがトレーニングを開始するあたり、それまでとうって変わってギラギラしてくるのが可笑しくもあり、突き刺さってくるものがある。忘れていた情熱ですかね、ファンタジーといってもいい。けれど現実に気づき一気に我にかえる。もうね、リアル過ぎて辛くなってくるの。 クーパーの妻は息子を父親から離すことを選ぶ。けれどあの娘と息子はラスト、レスターのあの姿を見ても悲鳴ひとつあげず、淡々と珍しいものを見るような態度である。この子らもかなりの重症だ。この感覚が子孫へ受け継がれていくかもしれないと思うと恐ろしい。20世紀はひたすら物質欲を追求した時代だったように感じる。21世紀は精神性を追求する時代になることを望む。 タイトルの「アメリカン・ビューティー」これはアメリカ作出のバラの名前です。一般的にバラといって思い浮かぶものは改良に改良を重ねた品種でしょう、美しいけれど本来の姿ではないのです。見せかけの美しさ、美しさのために無理をしていると言ってもいいかもしれません、そんな意味がこのタイトルにはあると私は勝手に解釈しています、自分でも気づかない闇、病んでいる部分をリアルに描いたシニカルコメディ、人ごとじゃありませんね。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2003-11-24 00:03:25) (良:2票) |
【STYX21】さん 6点(2003-11-23 22:46:12) |
261.《ネタバレ》 家族として機能していない家族、これは現代のアメリカが抱える最大のテーマなんだろうと思います。なんだかヤケに元気な奥さんと、魂を抜かれたサエない中年男、全ての迷える中年男性にとってレスター・バーナムこそ等身大のヒーローなのでしょう。ケビン・スペイシーはソーラ・バーチやウェス・ベントレーのみずみずしい存在感に圧倒され気味で、「なんだ、この程度だっけ?」と観ている時にはちょっと落胆したんだけど、よくよく考えてみたらこれこそレスター・バーナムという男だったわけで、そういう意味でケビン・スペイシーって本当に上手い、わきまえた役者なんだなあと納得。若手を食ってしまうこともやろうと思えば出来ただろうけど、レスターという男はそういう男じゃないんですよね。私自身は、冴えない中年のアメリカ人男性だったことは今まで一度もないんですけど、彼の痛さはとってもよくわかる気がした。映画は時代を映す鏡だ、という言葉があるけど、この映画はたった3人の非常にミニマムな世界を通して、少なくともこの映画が作られた時点でのアメリカという国を徹底的に描き切っていると思う。国際紛争でも政治でもなく、ホームドラマという形でこういうことも描けるんだということを伝えてくれたという意味でも、評価したい作品だと思います。 【anemone】さん 9点(2003-11-22 20:13:22) (良:1票) |
260.アメリカに潜む病理に鋭くメスを入れたブラックコメディ。故に確かに日本人の俺には実感がわかないところも多々ある。しかし、スペイシー演じる主人公にはなぜか親近感を感じるのも事実。やっぱり現実って厳しいからさ。いくら今日休みだからってずっとレビューしてる俺も人生を考え直さなければいけないかも。どこかに人生を狂わせるような女の子はいないかな・・・(違) 【恭人】さん 6点(2003-11-21 13:34:48) |
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《改行表示》259.ファミリーの崩壊を描いたこの作品は、アメリカ文化の行き末というか、限界線を生々しく綴るメッセージが込められている。ドラマ的にはアメリカ人では無いので感情移入し難い面も多々有るが、家族という身近な題材ということで大衆に対して身にしみる題材となっている。 「こんな突飛な家族は存在しないよ!」というような言葉が出そうになるが、問題定義を強く全面の押し出す為の演出として見るべきなのかも知れない。 |
258.自由になれば誰かが叩くってことか・・・隣の家の息子に影響を受けて仕事を辞めてからの主人公はイキイキしてたと思うし、そう言うの好きだから良かった。これってアメリカに限ったことじゃないと思うんだが。 【taron】さん 6点(2003-11-17 15:28:10) |
257.期待した分損した感じでした。よく分からんかったなー 【ピニョン】さん 4点(2003-11-17 09:07:24) |
256.キレ方が爽快。ラスト・シーンを考えるとダークな作品という印象があるが,ストーリー展開を思い出してみると,ある種「健全」なものに感じる。当時は自分自身が,ストレス生活の真っ只中に居たからかも知れないけれど。バラバラな個人… 今は日本の病理にもなっているってね。浮遊する白い袋は,一体どこへ行ったのでしょう。 【ロウル】さん 8点(2003-11-16 21:01:06) |
《改行表示》255.すごい映画。すごいタイトル。よくこんな映画つくれたなぁ。 レスターにようやく芽生えた健全さはあっけなく病理的社会に埋もれてしまったが、自分らしく生きた数日間は彼自身の人生と呼ぶことができる。庭にバラを咲かせても、家庭内は崩壊。ホモカップルは蔑視されているが幸福だろう。社会的自己実現とは何なのか?家庭とは?個人の幸福とは一体何なのか?とても考えさせられる。 とうとうアメリカ的スウィートホームがスクリーン上で暴かれたのだった。マーサ・スチュワートが逮捕されたように。 でもどうしてアカデミー賞なのかわからない。いい映画なのに。 【あっしゅ】さん 10点(2003-11-03 15:42:47) |
254.ラストの結末に至るまでの動機が今ひとつ緻密に描かれていなくて、何故あのような結末になってしまったのかが理解出来ませんでした。それ以外の部分では面白かっただけに、余計に残念に感じます。特に登場人物たちは個性的で、言動も非常にエキセントリック。現代アメリカの病的な部分というか恥部を曝したような作品ですが、ある意味真に迫ってるんでしょうね。色々な意味で身近に感じられました。それにしても、結末の理由が分からん…です。もう一度見なきゃいけないな。 |
253.何がいいのかさっぱり。わたくし日本人なのでアメリカの社会病理なんてこれっぽっちもわからんです。ひたすらにキモいだけ。 【えいざっく】さん [ビデオ(字幕)] 1点(2003-10-30 12:24:40) (良:1票) |
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251.期待していたのでちょっと残念。ただ見た時は「こんなもんか」と思ったが時間が経つと忘れられない。点数は低いけどまた観たい珍しい映画。不通の映画はリピートだと点数落ちるけど、この映画は見れば観るほどおもしろそう。 【かまるひ】さん 6点(2003-10-25 22:48:56) |
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