134.20年前のこのスパイ・アクション映画は、もはやオールディー的な味わいを醸し出し始めている。
公開当時は、最新のアクション映画として、主演俳優の格好良さを含めてそれなりに満足はしたものの、スパイ映画としてのストーリーテリングにやや物足りなさを感じた。
ただ今回シリーズ最新作の公開を前に改めて観直してみると、娯楽映画としての味わい深さを随所に感じることが出来た。
それは、20年という時を経ても色褪せない普遍的な“巧さ”によるところが大きく、それは即ち今作の監督であるブライアン・デ・パルマの流石の手腕によるものであることを、今更ながらに思い知った。
初見時は、僕自身の映画に対する知識量が少なかったこともあり、キャスティングの巧さを今ひとつ感じられていなかったが、映画冒頭から登場する主人公チームの面々が豪華だ。
そしてのその豪華チームがいきなり初っ端から全滅するわけだから、ストーリーテリング的にもやはり巧い。その後の展開も、このキャスティングの妙を生かしつつ、スパイ映画としての王道的展開をしっかりと踏んでいる。
デ・パルマ監督らしく、カメラワークも当然安定しており、アクションシーンの見せ場もただ派手さだけを追求するわけではなく、緊張感と新鮮味を併せ持っている。
名匠による映画づくりの“確かさ”が、全編にわたって反映されている。
そして、この映画が成功し今なお人気シリーズとして続編が作り続けられている最たる要因は、やはりトム・クルーズの主演俳優として、またプロデューサーとしての存在感の大きさに尽きる。
この第一作時の彼はもちろん若く格好良い。ただそれよりも、20年の月日を経ても主人公としての立ち位置を揺るがすこと無く、格好良くあり続けていることは尊敬に値する。プロデューサーとしてシリーズの商品価値を上げ続けていることも、素晴らしいことだと思える。
シリーズ最新作の鑑賞が益々楽しみになった。