15.《ネタバレ》 すべての事実を知っている僕らから見ると、「何やってんだ!」と言えるかもしれないが、飛行機をのっとってビルにぶつけるというのはあまりにも非現実的なことだというのがそれまでの考えだろう。そういう意味で、「ビルにぶつかった?こんな晴天なのに?」とかのセリフは考えさせられる。2機目がビルに突っ込むのは、「あ、あ!」という思いでいっぱい。最後の草原が見えるとき、誰もが「あそこか・・・」と思ったはず。 【θ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-19 09:39:30) |
14.《ネタバレ》 綿密に取材をし、遺族の了解を取り、制作者の意志、演出を極力排した特異なつくり。これは映画と言うよりセミドキュメンタリーといった方がしっくりくるだろう。驚いたのは管制センター、軍司令センターの出演者の多くが、911当日に実際に現場に勤務していた当事者であり、俳優としては勿論素人であるということだ。1時間以上もカメラをを長回しして、事前に予告せずに911報告書に基づいた情報を彼らにぶつける方法で、事件当日を追体験させるという方法をとったという。これが見事に成功しており、監督のコメンタリーを聞くまで彼らが俳優でないとはまったくわからなかった。それはあまりに真に迫った「演技」であるため、まさか素人が、映画撮影という管理された状況下でこのような表情、動きが出来るとは思わなかったからだ。監督は「ボーン・スプレマシー」もそうだが彼独特のスタイルで、手持ちカメラを振り回すことで観客をスクリーンの向こう側に叩き込もうとする。これは賛否があるようで、映画館の大スクリーンで観ると、生理的に酔ってしまう観客もいるかもしれない。今回DVDで鑑賞したが、特典に93便の乗客役の俳優達が遺族の元を訪ねるというドキュメンタリーが収録されている。これはとてもシンプルな番組だが、ある意味本編よりも重みがあり、心に刻まれる内容だった。劇場で見た人もこのドキュメンタリーも是非観ることをお勧めする。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-07 19:08:08) |
13.4200機もの旅客機をさばく航空管制塔のシステムの脆弱さ、国家の危機管理体制の連携の不徹底さ、危険物を持ち込まなくてもハイジャックできる恐ろしさ、いろいろな教訓をこの悲劇はもたらしたと思う。この事件がきっかけでイラク戦争に発展しました、という筋書きは一切なく、淡々と犠牲となった93便の中での出来事だけを伝えているところが(褒めていいのか分からないけど、)素晴らしい出来でした。テロリストの言語も忠実で、それだけでも緊迫してしまう。あのテロリストたちも強い想いがあって決死の突入をしたのだろう。乗客たちも恐怖におののく人、覚悟を決めた人、様々な想いがあって、最後あの行動をしたのだろう。しかし新聞記事は、93便は目標からそれましたとだけしか伝えられていない。僕らの知らない所でこのような葛藤があったというだけでも驚きと悲しみを拭えないと思います。とりあえず、機内の通路はもっと広くしたほうがいいと思います。 |
12.「再現ドラマのお手本」あるいは「再現ドラマの極致」。本作をひと言で形容すると、こう言ったところだろうか。秀作の多い今年、そんな中でも本作は特筆すべき作品と言っていいだろう。9・11における無差別テロ攻撃で、標的としてのホワイトハウスへ向けられていたと伝えられているのが、本作に登場するユナイテッド93便。唯一、テロ攻撃が回避されたとされる旅客機であるが、それは単にホワイトハウスへ突っ込まなかったと言うだけの事で、結末は周知の通りである。本作はその顛末を、当時の関係者からの証言などに基づく膨大な資料を微に入り細にわたり分析し、出来得る限りの想像力を働かした結果、“彼ら”しか知り得ない出来事を忠実に再現し、最も真実に近付けたものである。ハイジャックされた機内と管制塔だけの密閉された空間だけのドラマだが、ポリティカル・サスペンスとしての驚くべき迫真性は、映画を観ていると言う事を暫し忘れてしまうほどである。それは純粋な映画でありながら、著名な俳優を一切起用しない事でドキュメンタリー性がより強調され、ノンフィクション・ドラマとしての一貫性を齎せているからに他ならないからである。また、結末云々の映画ではない事は観客の誰しもが認識しているが、それだけに興味を繋いでいく演出力が殊更要求されるものはなく、そういう意味に於いてもP・グリーングラスの緻密な計算に裏打ちされた演出手腕は並外れたものであり、高く評価されるべきである。国家やイデオロギーが違うという理由で、立場を異にする人間たちを描いた本作は、民間人とテロ集団という対立軸の構図をとりながら、どちらに比重を置く事もなく、一つの運命共同体として、そして双方をあくまでも一人一人の人間として描いている点が最大の特徴だと言える。緊張・動揺・躊躇・不安・恐怖・覚悟。行動を起こす方も、被る方も、極限状況で究極の選択を迫られたとき、人間は人間としての当然あるべき感情を露わにする。最悪のシナリオを未然に防ぐ為、勇気を振り絞って闘った人々の白熱のドラマの面白さと、現実の結末とのギャップに虚しさを覚えずにはいられない。何が正義で何が悪であるかは、映画ではついに語られる事はない。それ自体むしろ意味のない事なのかも知れないからだ。しかし、本作は“人間の真価”を問うた秀作である事だけは間違いない。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-10-28 18:16:51) (良:3票) |
11.《ネタバレ》 5年前にあの映像を見ている者にとって、どうしても目をそむける事のできない2時間弱。何と書いてよいか・・・言葉が見つからない。ただ、「as himself」として出演した勇気ある方々に、拍手を送りたい。 【wood】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-18 11:52:25) |
10.《ネタバレ》 凄いな、と思う作品。 実際に機内で起きた事が完全に同一ではないかもしれないが、遺族、当時の管制官、軍関係者、ボイスレコーダー、フライトレコーダーの情報を徹底的に調べて作ったのが良く判る。それが事実と違うかもしれないのは承知の上だがその上でもなお、この映画の迫力に圧倒される。 秀逸なのは、前半の機内の緊迫感の無さだ。慌てふためく管制室や国防施設とは裏腹にのんびりと電話をしたり、朝食を摂っている機内の様子のギャップの激しさにあたしは戦慄を覚えた。実際にハイジャックが起きるというのはこういう事なんだろうというのが否応無しに見ている側に示された気がするからだ。 それと、エンドロールを見れば良くわかるhimselfs、herselfsの多さ。自らこの手の映画に出ると言うのは心境的に複雑なものもあった筈だ。映画に出演協力するという事で、記憶を風化させない、あるいは心のけじめを付けたのかもしれない。 ドキュメンタリータッチで描かれているが、ドキュメント映画では無い、かといってエンターテイメントでもないこの映画のもうひとつの良さは若干偏りが見られるものの、かなりハイジャック犯と乗客を公平に描いている事だ。一歩間違えば、ブラックホーク・ダウンの様に恰好の政治宣伝のネタにされかねかねない映画であるが、それを上手く回避するように描かれている。 かといって、全面的にこの映画を推すには少々無理がある。先に書いた若干の偏りの事である。この辺は観客のフラストレーションを解放する為に作られたのかな、と思うシーンが何箇所かあって、その部分がどうしても残念でならない。 様々な憶測が飛び交うユナイテッド航空93便の墜落であるが、現状で知る限りの情報を集めて作られた再現映画として、評価したい。 【奥州亭三景】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-16 11:25:50) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 ブラックホーク・ダウンとカブる。主観排除で徹底してリアリティを追及し、臨場感と勢いだけで観客をグイグイ引っ張っていく。これは並の監督ではできない演出力です。生存者ゼロ(といわれてる)の機内のことはハナから期待していなかったのですが、演出力で完敗状態でした。ただ、やっぱりケータイが上空でかかるというのはやっぱり白ける。遺族が主張してるから入れざるを得なかったのかな?個人的にはハイジャックされて“から”ではなく、ハイジャックされる“前”の管制塔のやりとりだけで満点を上げたいと思った。管制塔のモニターと名もなき俳優たち(その場にいた人たちも演じていたとか)が見せる、“あのとき”は何物にも代えがたきドキュメンタリーシーンであっただろうから。もう一回観にいったら、もしかしたら満点になるかも。今年ナンバー1候補の良作。 ※画面酔いしやすい人はご用心。後半の機内シーンはブレまくりです。 【ダブルエイチ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-01 00:36:28) |
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8.《ネタバレ》 WTCに2機めがつっこむ瞬間をリアルタイムで見ていただけに胸がつまりました。冒頭の犯人、クルー、乗客が集まっていくシーンで「この全員が死んじゃうんだ」ってわかってるわけですから。真実は知りませんが、ストーリーに子供出さなかったのは正解。もし機内にいたとしたらこんな抑えたトーンは不可能ですね。ドキュメンタリー・ドラマとして、日常の延長にある狂気と阿鼻叫喚と勇気、そして職務を全うする姿を見事に描いた作品だと思います。ただ、反撃プランの相談開始以降、機内のシーンだけになったのは演出効果をねらってるんでしょうけど、それまで各管制、軍、機内をまんべんなくなぞってたのに惜しい気もします。多くの管制官が本人出演だったのとスポンサーなしにはビックリ(エンドロール参照)。高所&閉所恐怖症でジェットコースターまったくダメなんですが、不思議と気持ち悪くならなかった、たぶん映画世界に入り込んでたんでしょう。でも、もう一度観たい映画ではありませんね、重すぎて… 【shintax】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-24 17:43:35) |
7.《ネタバレ》 重要施設に墜落させないように後方についていた戦闘機が撃墜した、という話が浮上していると後で知り、鑑賞中の違和感を改めて思い出した。ハイジャックした直後、50分後に目的地に着くと犯人は言っているが、だとしたら、一面識も無い乗客同士が、現状を把握して、一致団結し、行動に移るまでに40分前後しかかからなかったことになる。犯人に脅されている間は、余計なことを考える余裕はないだろうし、事が起こるまで飲み物を飲んだり、居眠りをしたり、すっかりくつろいでいた乗客たちが、機敏に生死の覚悟などつけられるだろうか。現状を把握するまで半時間ぐらい、あっという間に経つのでは。安々と鵜呑みにはできない作品と思いつつ、非常事態に陥ったときは、現状を把握する冷静沈着な姿勢が何よりも大事なのだと痛感させられた。 【tony】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-21 14:06:57) |
6.私達はユナイテッド93と乗客乗員の辿った運命を知っているので、冒頭部分から泣いてしまいそうな緊張感で心拍数が上がりっぱなしでした。機内の様子は推測が多いと思われますが、各管制塔の場面が非常にリアルなので、あの映像が「本当に現場にいるような」臨場感を与えてくれます。俳優も有名どころを使っていないので「顔」で惑わされずに済むのでイイですね。犯行グループも乗客達も、未来に希望を託した点では同じなのだと思わせてくれる、こういう作品にありがちな偏った作りでは無いことに、なんと表現したらいいのか分からないけど「感謝」したいと思います(自分の語彙の貧弱さに参りますね…)。この後公開される「WTC」が偏っていないことを願いつつ9点献上。 【椿庵】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-18 00:37:11) |
5.映画が始まってから終わるまで、すっと緊張しっぱなし。あっという間に見終わった感じです。 テロに対する憤りと切なさで涙が出てきました。 【たもつ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-16 09:31:37) |
4.《ネタバレ》 「9・11」ではなく,「9・11以前」を描こう,監督はそう思ったのではないか。よく考えれば,「9・11」という呼び方が定着したのは,あの事件がひと段落して全貌がある程度解明されてからであって,事件が発生したあの朝は,何が起こっているのか誰にもわからなかったはずだ。当初あった「悲劇を商業化するものだ」という,この映画に対する批判は,その後一転して絶賛の嵐に変わったそうだが,当然だろう。この映画は,悲劇たる「9・11」を描いたものではないからだ。「乗客を英雄視するプロバガンダだ」という向きもあるが,この映画を正面からみたのだったら,そんなことは塵とも感じないはずだ。当然だろう。この映画は,英雄譚たる「9・11」を描いたものではないからだ。「9・11以前を描く」というウルトラCで,「9・11」のうさん臭さから逃れ,異常な混乱と暴力に飲み込まれた大量の日常と人生,という普遍的なテーマを描くことに成功した。この監督の手腕は相当なものだと思う。 |
3.涙が自然と出た。 感動したとかそういうんじゃない。 必死に生きようとする人の姿を見た気がした。 そしてテロの恐ろしさ。 テロの現場で被害者が味わったであろう恐怖,絶望など 色々なものを自分で想像した。 想像を喚起する映像やストーリーだった。 実際に働いてた人を使ったりエピソードは殆ど真実らしい。 リアリティを追求し,そして圧倒的なスピード感でもって最後まで持っていった。 見るに値する映画だと思う。 少なくともテロがあったという事実をただの過去のことにしないためにも。 テロの犠牲になって死んだ人がいることを忘れてはいけない。 また,この映画の良いところはテロリストの方もしっかりと描いていたこと。 偏った視点からではなく公平な立場で描いていたのではないか。 それって簡単そうに見えて実は物凄い難しいことだと思う。 【wataruBEC】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-14 02:03:56) |
2.何の思想も感じられない無機的な再現ドキュメンタリー。しかし不謹慎を承知で書けば、とてつもなく面白く、且つ、とてつもなく良く出来た再現ドキュメンタリーです。この映画にはテーマなど不要。我々は2001年9月11日に何が起きたのかを充分すぎるほど知った上で鑑賞することになるので、作品の持つ緊張感はファースト・カットからダイレクトに伝わってくる筈です。「何かとんでもないことが起きようとしている不安」が、「未曾有の事件」に移行し、否応なしにあの時の「混沌」の中へと再び放り込まれる。私はラストのフェード・アウトまで食い入る様にスクリーンを見つめ続け、気がついたら111分が経過してました。本作を観るという行為は映画鑑賞と言うよりも、9.11の追体験に近いです。鑑賞中は何度か鳥肌が立ってしまいました。これを「今」作ったことの是非と「映画」としての良し悪しは置いといて、もの凄い力を持った作品であることは間違いありません、9点献上。 【sayzin】さん [試写会(字幕)] 9点(2006-08-07 00:27:59) |
1.R指定(日本での18禁)の映画は避けるのですが、事実に基づいている作品なので見ました。冒頭、アラブ人の過激派が凶行に赴く前にメッカに向かって土下座しているシーンはご真影を祀った祭壇か何かに同じようなことをして出て行った第二次世界大戦中の神風特攻隊を彷彿とさせます。その後、どの空港でも見られるような出立の際の乗客と乗員の慌ただしい様子や航空管制官たちの様子が長々と描写されるうちに誰でも知っている結末になっていくのですが、結論から言うと、日本では18禁にする必要はないものの、アメリカやフランスのようにアラブ人が数万人単位の少数派として住んでいる国ではR指定のほうがいいと思います。犯人役の俳優が全員いかにも「アラブ人」といった風貌で、社会経験の乏しい人はこの映画を作品を見たらアラブ人恐怖症になるかもしれません。アメリカでR指定解除を要請している製作者と犠牲者の遺族にはもちろんアラブ人差別の意図はないと思いますが、あの同時多発テロの後しばらくの間、多くのアラブ系の人が短絡志向人間から嫌がらせを受け、ニューヨーク近辺ではまともな人でも自分が乗ったバスの運転手がアラブ系だったら長いトンネルや橋を通る時に緊張したことは事実なのです。空の安全を守る人々のひたむきな姿や「おとなしく座っていろ!」とわめく犯人の眼をかすめて座席の隙間から情報を伝言したり、武器になりそうなものを有志に手渡しした乗客たちの沈着冷静な姿勢によって地上での新たな惨劇が避けられたことなど、学ぶべきことが多い作品なので、当時アメリカ連邦政府の運輸省長官だった日系人のノーマン・ミネタ氏が言った「人種や宗教によって人を絶対に差別してはならない。」という言葉を肝に銘じながら多くの人に鑑賞してほしいと思います。管制の責任者の後ろで終始ボサットつっ立っていた中国人らしい管制官が気に入らなかったのでー1点とします。 【かわまり】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-06-01 11:56:35) |