2.《ネタバレ》 監督の前作は未見のまま、授賞式直前に観賞。
巧みなストーリーテリングやメッセージや感動を求める映画ではない。
原色の万華鏡に彩られた'50年代のロマンティック・ミュージカルに
オマージュを捧げた"ザ・エンタメ"にひたすら徹した姿勢に好感が持てる。
冒頭のハイウェイの長回しは圧巻で期待が膨らむが、中盤あたりから雲行きが怪しくなり、
もう少し短くできたのでは?と思ってしまった。
ワクワクするような鳥肌ミュージカル演出が次第に減っていったのが原因か。
エマ・ストーンの"夢追い人の歌"にしんみりしつつも、ラストで一気に挽回するかと思えば、
期待したほどの爆発力もなく、あっけなく終わった感じ。
それは主役の男女が夢を叶えた"大人"になってしまったのも大きいかもしれない。
お互いの夢は叶えたが理想の恋を成就することができなかったほろ苦さの残る甘い夢。
現実を忘れさせてくれる往年のハリウッド映画に捧げるラブレターだと思えば納得できる。
業界人ならむせび泣くほど絶賛するかもしれないが、ド素人の自分にはどうも醒めて見てしまった。
全体のメリハリのなさがこの映画の弱点。
至福感でも『シカゴ』や『アーティスト』にも劣る。
これで作品賞含む歴代最多11部門受賞タイはいくのか・・・と思いきや、まさかの作品賞落選。
納得なのか可哀想なのか、甘い夢から覚めるような結末そのものだった。