4.《ネタバレ》 アンジェリーナ・ジョリーというハリウッド女優の魅力は、その美貌であり、その体躯の曲線美である。
それは彼女が、「17歳のカルテ」でアカデミー助演女優賞を受賞したれっきとしたアカデミー女優だということを踏まえても、揺るがない。
どんなにシリアスな映画に出演しようとも、そこで好演しようとも、彼女は“演技派”などではなく、唯一無二の“セクシー女優”だ。間違いない。
そんな女優が、コスチュームを目まぐるしく替えつつ、ハードアクションを繰り広げる女スパイを演じた時点で、この映画に致命的な失敗は生じるわけがない。
事実、面白い映画だったと思う。
年始早々からこの作品のトレーラーを見続けてきた限りでは、二重スパイ容疑をかけられた主人公が自身の疑いを晴らすために奔走するというような「北北西に進路を取れ」的な展開が繰り広げられるのだろうと想像していたのだが、結構序盤から”想定外”な展開に突入し、驚くというよりも面食らってしまった。
正直なところ、ストーリー的には粗は目立つし、整合性には欠けている。少しネタばれになってしまうが、キーマンとなるキャラクターの隠された存在性も容易に想像がついてしまう。
ストーリー的にも、映像的にも期待に対して凡庸という印象は拭えない。
ただし、繰り返しになるが、これがアンジェリーナ・ジョリーの映画である時点でハズレはない。
当初この映画はトム・クルーズ主演で企画が進行していたらしい。金銭面で折り合いがつかず、アンジーへと脚本共々キャラクターの性転換を行ったそうだ。
たらればになるが、そのままトム・クルーズで映画が完成していたなら、「ミッション:インポッシブルの二番煎じ」と酷評されていたことは、恐らく間違いない。
たぶんシリーズ化は既定路線だろう。次回作は主演女優のパフォーマンスだけに頼らなくて済むようなクオリーティーの高いスパイ映画を期待したい。
(水面下ではトム・クルーズ&ベン・アフレック出演による“イヴリン・ソルト×イーサン・ハント×ジャック・ライアン”という企画もあるとかないとか……実現するのであれば、それぞれこれ以上歳を食う前にやったほうが良いと、一映画ファンとして思う……)