10.何気ない家族の会話の中で、言葉の一つ一つがとても大切にされていることが伺えて、日本人として幸せさえ感じる映画。言葉の持つ綺麗さ、温かみ、深みが、とても心地よく、テンポよくドラマを奏でていく。物語には抑揚がないようにも思えるが、題材は思いテーマを扱っている。それを時に楽しく、時にもの悲しげに、淡々とシーンは展開していくが、抑揚を自分の中で創造できるほど、最後まで飽きることはない。最後の最後の語りの部分も、非日常ではない光景を丹念に綴ってきたことによって、強大なメッセージ性につながってると思う。しかしながら、樹木希林の「田舎の母親役」はどうしてこうもきっちりハマるのか。絶対的な安心感とともに、とてもユーモラスであり、チャーミングである。脚本はもちろん、配役の成功も、後味の良さの何よりの証拠である。とてもいい映画。 【Andrej】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-03-12 16:38:45) |
9.特になにも起こらないけれど、凄い映画だと思いました。登場人物たちの会話に、それぞれの関係性と距離感を示す記号を含ませる。無駄になっている台詞がひとつも無いくらいの、一種の緊張感がある。その会話が、誰の立場に自らを置き換えても思い当たるような微妙な既視感を呼び覚まし、静かな共感が起こる。何気ない言葉の端々に垣間見える生活感は、各人の人生という領域までを想像させる。たとえ家族であろうとも、完全には分かり合えない心の壁を深刻ぶらずに見せられる。会話の中に宇宙が見えました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-14 12:54:32) (良:1票) |
8.起伏のない平坦な2時間ながら、まったく飽きさせることないその理由は練りに練られた脚本、演出と役者陣の強烈な演技力。中でも樹木希林、YOU、原田芳雄の演技は秀逸で、特に樹木希林の演技は、日本の女優でもこんなに凄い人がいたのか、と思わせてくれた。この演技を見るだけでもその2時間は価値あるものになるはず。 【成迩】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-30 22:59:55) |
7.《ネタバレ》 本当に何も起こらない離れて暮らす家族が久々に顔を揃えた実家での一日。そんな家族それぞれの抑えた好演が印象に残るキャストも、日本中のどこにでもあるような家族が揃う夏の帰省の一日を実に味わい深くしてくれた脚本も素晴らしい映画でした。どの家族の中にもあるであろう微妙な間。この映画の中の家族に流れる間は自分の家族と似ているようでもありますがやはり違う。しかしよく分かるのです。そして息子と父の微妙な関係は映画の中で劇的に変わることは無く、結局「いつか一緒に行こう」と言った野球にも行かなかった。しかし、この映画はこれでいいのだろう。観る者それぞれが自分の親や家族と本作の家族をだぶらせながら、家族を見つめ直すきっかけとなったりする映画ではないでしょうか。 【とらや】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-14 20:47:01) (良:3票) |
6.「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」。小津監督系の良作でした。良くも悪くも家族は家族なんだよなあ。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-09 17:39:00) |
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5.《ネタバレ》 よかったです。42才になり妻も子供もいながら、めったに実家に寄り付かない私には 色んな意味で共感できました。ラスト前の原田芳雄の「次は正月か・・・」がココロに刺さりました。 【Z'】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-05 14:40:00) |
4.《ネタバレ》 ラストの、阿部寛が言う「いつもこうなんだよな。ちょっと間に合わないんだ」って想いが…分かる。去り際の、あの絶妙なタイミングがすばらしいですね。現在の私の環境、実家との距離感が見事に重なって、痛く共感した。是枝監督が作るスクリーンの一枚一枚、これがらが醸す空気感ってすごい。茶の間だったり、隣人を迎えた玄関、台所、そこで生まれる他愛の無い会話も。そして演者が活きている。過去の作品然りで、youが特に。30代におすすめの名作です。 【乳時雨】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-09 14:54:54) |
3.最近家族のことでいろいろ悩みがあったりしたもので、そんな状況でこの映画を見るとなんだか身につまされることもあった。盆に子供たちが帰省してきたその一日を描いただけで、大きな事件があったわけでもないのにいろいろな感情が渦巻いているさまがよく描かれているなと感じた。 【HK】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-02-17 23:05:11) |
2.《ネタバレ》 事故で亡くなった長男への両親の思いと次男の立場。次男と子連れ再婚した妻と姑。母と娘。父と次男。一家と長男から助けられた男性。一つ一つの関係が日常の中でこんなことよくあるなあ、似てる・・う~~んん・・としか言いようがなく流れていく映画。身につまされます・・・;; 「流れる」でも「誰も知らない」でも描かれたように是枝監督は家族の交流、行き違い交差し重なり合い・・描くのがうまい!!心憎いばかり; その中でも最も心に残っている場面は・・夏川結衣演ずる次男の妻が「お母さんはあなたにだけ新しいパジャマを用意して・・私にだって・・」(この通りのセリフではなかったかも?)と夫にグチりながら衣類をたたんでいるところ。何てことないやりとりなんだけど妙に心に残ってます。 【AKO】さん [試写会(邦画)] 8点(2008-11-26 16:42:29) |
1.実に怖い映画でした。他の是枝作品同様、どこまでが素でどこからが演出なのか分からないごく「普通」のシーンの連続だからこそ、突然ポロっと出てくる家族の「闇」の部分が何とも恐ろしい(特に終盤の、樹木希林の衝撃の告白など)。でも所詮家族だって人間。楽しいことばかりじゃないし、腹にイチモツのひとつやふたつぐらい誰でも抱えてて当然。そんな当たり前のことを劇映画というフィクションの中で限りなくリアルに違和感なく描いたところにこの映画の凄さがあると思います。個人的には、是枝作品の中では『ワンダフルライフ』以来のヒットでした。 【とかげ12号】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-10-26 17:36:12) |