6.三島由紀夫はかなり好きだ。
春の雪はスゴい作品だ。
月並みな言い方だが、いつも彼の描写力には圧倒されてしまう。
圧倒されながら、心地よく酔うのだ。
「午後の曳航」の最後の一行など、息を呑む。
高校生の時にの時に衝撃を受けた。
幼少からじわじわ作り上げられた主人公の複雑な内面。
相手が誰であれ、彼の真意が言葉や表情で語られるという事は少ない。
駆け引き、とも違う、あの微妙な距離感。
それを映像に表現する。
よほどの芸達者であっても、まあ無理というものだ。
できたとしたら、美しい奇跡である。
そしてここには、その奇跡は、無い。
テレビスポットの段階で、ある程度想像はついており、
その上で鑑賞。
この穿った態度を覆すものもまた、ここには、無い。
メリットはある。
原作が以前よりも読まれるでしょう。
四冊買う人も多いかも。
そこで酔って下さい。
是非。