《改行表示》231.《ネタバレ》 映像・音響が刺激的で中身も痛快な高級エンターテインメントである。 何より主人公の元教員が一貫した姿勢を堅持していて安定感がある。心の葛藤が外に見える場面もあったが、これは主人公の行動が間違っていることを示唆していたわけではなく、本来この主人公がどこにでもいる普通の人間であって、決して特殊な性向の持ち主ではないことを示しただけと思われる。 またラストの一言には安堵した。直前の台詞がご立派すぎたのでそういう幕引きなのかと落胆しかけたが、ここまで来ておいて正しい教育映画のように終わるのでは到底納得できるものではない。これはいわば刑吏の温情のような形で一応まともな説明をしてみせてから、ただし自分は復讐者の立場であるから実はそのような観点はなく、あくまで非情なだけである、と突き放したと解される。 ところで、いわゆる綺麗事というのはそれ自体が間違いともいえないが現実妥当性の面で難があり、また一方では耳触りがよく反論されにくい、あるいは自己陶酔しやすいといった発言者に都合のよい性質を含むのが厄介である。劇中で最強の綺麗事は主人公の夫の教育論だろうが、そのほか“他人を疑うのはよくない”だとか、また劇中の少女が信じたがっていた“誰の命も重い”も含めて、この映画では綺麗事全般があっさり否定されて終わったようである。 しかし現実には綺麗事に含まれるもの全てを叩き潰していいわけでもなく、例えば少女の“私の命も重いと言ってほしい”という心情まで踏みつけにすることはできない。綺麗事を粉砕してしまった後に、改めて従うべき行動規範が残されるかどうかは別の問題であり、その点主人公は思慮深い人物なので自制していたと思われるが、それでも最後の爆発が事実であれば適正な復讐の範囲を逸脱していた恐れがある。 別に主人公が個人でここまでしなくとも、公権力が適切な刑罰とともに遺族感情の慰撫(公権力が復讐を代行したと感じさせる)をまともに行えればいいはずだが、綺麗事にまみれた社会では今さら何を期待しても仕方ないという諦めもある。まあ世の中などその程度のものであって、何かを期待することの方が間違っているのだろうが。 なお余談として、生徒役のうち別映画で見たことのある近藤真彩と三吉彩花と山谷花純は発見できたが、能年玲奈は最後までわからなかった(探す気がないわけだが)。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-30 23:49:01) |
230.僕は先に原作を読んでいました。各登場人物達のブログのような独善的で一方的な告白文で綴られただけの小説で、そのアイデア、文の内容に眠るのを忘れるほど一気に読み、衝撃を受けました。どの告白文も現代の人々が陥りがちな肥大化した自己の弁明を、これまた現代的な薄っぺらだけど引き込まれる文体で書かれ、誰かとわかりあえる事とはほど遠いその文脈に、今のネット時代によくある寒々とした一方通行の世界を感じて読後もあとを引くほどでした。これを映画化するにあたり、単なるドラマが展開される物語では、この小説の雰囲気は決して出せないと感じていました。「嫌われ松子の一生」の監督なら、この映画も、原作に近い、もしくは原作とはまた違ったインパクトのある映画だと思って観ました。結果は、小説の世界観が完全に出せてるとは感じませんでしたが、最後まで集中して映画の世界にはまれました。ただやはり原作を先に読んでしまった僕には、少々衝撃感は薄かったかな。 【なにわ君】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-05-29 15:16:14) |
229.わたしの娘はこのクラスの生徒に殺されたんです。入りはいいんだけどリアリティが無いので感情移入ができなかった。松たか子はたしかによかったです。 |
《改行表示》228.下衆さに吐き気が。 何だろうこれは。確かにかなり目を背けたくなったし、相当気分も悪くなった…これを製作している輩に。 ヤラセのTV番組のように、作った物、作ってる人の本気度等が非常に薄っぺらく、悪意すら感じる。こういうの見せておけば刺激的でウケるんだろ的な。誠実さの欠片も感じない。悪い意味で、凄く汚い物を見せられた感が。本当にこれが賞レースとかに出ちゃうヒット作?できればステマであって欲しい。映画観てる大人はもっとまともだと思いたい。 誰にも勧めないし、この輩達には1円たりとも落としたくない。 【団スバーン】さん [CS・衛星(邦画)] 0点(2014-11-22 15:49:03) (良:3票) |
227.《ネタバレ》 全編月灯りで撮られたような青白く冷たい、それでいてシャープな映像と主役の抑えた演技が、異世界を演出しているようだ。ファミレスから出て、子供にもらったアメをじっと見て号泣、その直後のセリフ・・・捨てたハズの人間らしさが一瞬戻ったのだが、あえて再びなぐり捨てた・・・鳥肌が立った。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-09-21 00:03:32) (良:2票) |
226.《ネタバレ》 松たか子ってこんなにいい役者だったっけ?というくらいぐいぐいと引き込まれる映画。おもしろい。 |
225.《ネタバレ》 『渇き。』が良かったので、久々に見直しましたが、こっちはやっぱりダメ。観客が松たか子に共感していくまでの、2人の少年の描き方が好きじゃないんです。どうです?ムカつくでしょー復讐されて当然でしょー?ってね…。もっとクソっぷりを表現する方法いくらでもあるんじゃないのか?クソさを点で表現するだけ、線になってない。一番むかつくのは爆破シーンのCGのショボさ。ダメダメ…。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 3点(2014-07-27 20:35:37) |
《改行表示》224.あまりに荒唐無稽。しょせんフィクションだ。中二病もここまで極めるとたいしたもんだな。 というのが見終わった私の正直な感想。あまりに重い内容に打ちのめされ観てる間十苦痛しかなかったわけで、やっと終わりかと安堵したのも束の間。ラストの松たか子の一言でさらに追い撃ちをかけてくるという、終始徹底して観るものに平穏を与えない演出が凄すぎた。疲れすぎてもう二度と観たいとは思えず、これは中島監督の力業に軍配が上がりました。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-06-30 11:50:43) |
《改行表示》223.非常に面白いと思います。 グロテスクなシーンもありますが、 分かり易く、それでいて起承転結もしっかりしているし、 登場人物が事件を通し見せる表情や感情表現全てが素晴らしいと思います。 2010年代の邦画の中でも傑作の一つです。 【功聖良】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-04-05 20:28:50) |
222.面白かったです。原作は文句のつけようなく面白いですが、本作はまずまずうまく映像化してくれたと思います。橋本愛が素晴らしいですね。彼女の好演で作品の質がうんと高められたと思います。 【ジャッカルの目】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-07-20 16:48:33) |
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《改行表示》221.《ネタバレ》 中島監督作品は「下妻~」「嫌われ~」と鑑賞。 両方とも大好きな作品である。 映像化は大概がっかりさせられるから…と避けてきたが ついに機を見て鑑賞することにした。 がっくし。なぜ原作を再現しないのか。 たしかに冒頭の、森口が独白を続けるシーンは 映画という映像コンテンツではとてもつらいシーンだろうが いくらなんでも、学級崩壊しすぎ。 これでは森口の教師性まで、視聴者には変わってしまう。 挙句安っぽい映像効果と、受け付けない子役の演技が 結末になってしまった。 ただ、さすが中島監督。1カット1カットの映像はとても美しかった。 【夜野比瑪】さん [DVD(邦画)] 3点(2013-06-11 00:59:26) |
《改行表示》220.《ネタバレ》 子供は純真だとか、人間は基本的に善良だみたいな綺麗ごとは嫌いなので、修哉みたいな人物像をきちんと作り上げ、なおかつ死ぬよりも苦しい復讐を成し遂げたラストは快感です。ただ、ラストの爆発は実際はなかったものであってほしい。なぜなら、実際のものなら、当然第三者も巻き込まれ、その時点で森口は修哉以下の人間に堕してしまうから。 橋本愛さんがあの若さであまりに顔立ちが整っているのにびっくりしました。 (ところで、実は能年さんはどこに出てたのでしょう。彼女目当てでこのDVD買ったんですが、どこに出てるかわかりませんでした。う~ん、まだまだ愛情がたりないんでしょうかw) 原作を読みました。どうも最後の爆破は「嘘」ではなくリアルのようで。無関係の第三者を巻き添えになんてことは、この物語世界じゃ考えちゃだめなことなんでしょうか。ストーリー評価のみ1点下げます 【rhforever】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-04-27 19:17:51) |
219.《ネタバレ》 前半全てが伏線でつながっている展開と、引き込まれる淡々とした告白が素晴らしかった。後半は過剰に色んなドラマを混ぜすぎた感があったのが残念だったが、同じ話を他者目線で繰り返すだけでなくちゃんと展開があって楽しめた。 【afoijw】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-04-19 00:47:06) |
218.《ネタバレ》 グロい映像が多かった…。だけど、テンポがとても良く、冒頭からすぐに引き込まれました。爆発は本当に起きたのか起きていないのか。とても気になります。 【くーちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-03-13 11:32:59) |
《改行表示》217.《ネタバレ》 命の重さなど強調したりしてヒューマンドラマなテーマも含んでると思いきや、元担任の最後の言葉でそんなものも吹っ飛んだ。 こういう裏切りは大歓迎。 復讐に偶然の要素がかなりあるのが少し残念だが、破綻はしてないと思う。 重い話ながらサクサクっと観れてラストで様々な思いが巡り脱力する、観る者にインパクトを与える映画だろう。 【たんたかたん】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-03-02 00:38:52) (良:1票) |
《改行表示》216.《ネタバレ》 音楽とかが仰々しくて気に障ったのと、爆破のシーンのCGとかは、盛り上げようとしすぎでサムいですね。というかあのやりすぎ演出は僕の肌に合わなかった。もっと淡々と冷酷に追い詰めていく方が怖さが際立つと思うんだけどなあ。しかも爆破のシーン長すぎだって!!その後修哉を生徒がみんなで丸く囲むのも…。現実じゃありえないでしょ。 ていうか全体的に演出が過剰。いわゆる「悪」の書き方がデフォルメしすぎでクドい。 あとは少年Bの告白のところだけ、いきなりコメディタッチな描き方(ボヨ~ンみたいな効果音とか)にしたの何あれ? 完全にここだけ浮いてますよ。はっきし言って製作側のセンスを疑います笑。 悪い事ばかり並べちゃいましたが、ドキドキしながら見進めていき、最後にピークがあったので見終わった後は素直におーすげー!!と思いました。僕はテンションのピークを最後に持ってきてほしいタイプの人間なので。 ラストの「なーんてね」の一言、シビれますよね。見てよかったです。 P.S.てか松たか子、やっぱ演技うますぎ!!! |
215.《ネタバレ》 原作は、長文の一人称の交錯と裏返しというところにトリックの基本があったので、映像化は難しいんじゃないだろうかと思っていたのだが、何とか原作の空気を壊すことなく上手くまとめていると思う。ウェルテルは原作ではもっとウザそうな描写だったのだが、ここではもっとあっさり風味で、作品の流れを止めないようにしているのは感心した。あと、ラストの爆発のしつこさと、先生と少年Aの直接の対峙は余計だったなあ。あそこは電話の会話で容赦なく終わるところに風味があったはずで、そんなに無理矢理盛り上げようとせんでも。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-02-05 03:30:31) |
214.《ネタバレ》 原作のイメージぴったりの無表情がはまり役でした 【osamurai】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-01-27 21:55:37) |
《改行表示》213.《ネタバレ》 子供を殺された女教師の復讐譚。 少年法の下で庇護されて自己中心的な論理で他者を平気で抹殺するクソガキたち。 そうした奴らへの徹底的な制裁を加える妄想に浸らせるような内容でもある。 中学生が森口先生の行為を外に漏らさないなど現実にはありえない箇所が幾つかあるが、ある意味妄想的な物語なので、その辺りのリアリティは気にしていないのだろう。 人間の醜い部分が詰まっているので陰鬱極まりない内容で、好みの映画ではない。 復讐のためには手段を選ばない女教師にも、共感して好感を持つまでには至らない。 それでも、制裁されるべき者に痛烈な制裁が下されたラストに、いい気味だとの軽いカタルシスは感じさせる。 的外れな熱血教師や偏執的な母親など、ステレオタイプではあるものの、嫌悪感を感じさせる描写はうまい。 原作の小説を読んでから映画を観たが、小説のほうが章によって語られる視点がより鮮明に違っているので面白い。 ただ、映画も原作の世界観は壊していないので、映像作品としての良さはある。 ------------------- 久々にネトフリにあったので見てみたら、オチは覚えていたものの詳細はすっかり忘れていたので見入ってしまった。 ヘドが出るようなクソガキへの復讐に、手段を選ばない女教師の強烈な怨念。 その女教師にいいように操られる的外れの熱血教師など、今の学校へのアイロニーが効いているのは面白い。 復讐潭は今も昔も物語の王道の一つなんだな。 復讐相手がムカつく相手であるほどに最後まで引っ張られる。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-12-30 00:25:18) |
212.《ネタバレ》 この監督の映画は背景がやたらとゴチャゴチャしてたり、わざとらしい演技が多かったりしてかなり苦手だったのだが、本作はいつもの調子を抑えてかなりシリアスなトーンになっていて、こういうテンションの映画も撮れる人なんだと感心した。ただし、内容の方はパク・チャヌクの復讐三部作あたりの良さげな部分だけサンプリングして上手くまとめました、という感じ。松たか子の演じるキャラクターなんてほとんどクムジャさんそのまんまだったりする。でも分かり易くてタイトにまとまってるので、ラストの展開とかも含めて非常に完成度は高いと思う。人物の描き方が表層的(記号的)とか必要以上に露悪的とかいった批判も、そもそもこの映画自体がガキをガキ扱いし続ける社会に対するネガキャンCMなのだと考えれば大して気にならない。敢えてひとつケチをつければ、終盤に出てくる爆破の(イメージ)シーンが無駄に長くて仰々しい点。あそこはもっと淡々としていた方がより突き放した感じになって良かったと思う。あんなクソガキに自己憐憫めいたカタルシスなど与えてやる必要はまったく無い。何が「復讐なんかしたって被害者は浮かばれない」だ?復讐と銘打つからには本作のラストの様にすべからく加害者をフルボッコにして終わるべきなのだ。今後はおちゃらけ映画は止めてずっとこの路線でやって欲しい。 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-27 18:33:23) |