1.《ネタバレ》 あの名作の邦画リメイクと知った時には『バカなの?』と率直に思いました。
しかしいざ観ましたら主要役者陣の重厚な存在感と演技はもちろん
蝦夷の風景の美しさとセットと小道具諸々の作りこみも徹底していて見事でした。
オリジナルからの諸々の改変も上手く行ってると思いました。
堂々たる仕上がりです(オリジナルはイートウッドの演じてきたキャラ達の流れも踏まえ、表情と雰囲気の重みですべてが分かる説得力。それと謙さんを比べるのはさすがに酷か・・)
ただ・・どうしても気になった事があります。
遊女の顔を傷付けられる事件が物語、キャラクターの行動、すべての発端な訳です。
しかし顔が傷ついた遊女役の忽那汐里の傷メイクは映画上ではあまり目立たず、
非常に可愛いまま・・オリジナル版では娼婦の傷はしっかり凄惨さと痛ましさがあり、
主人公達が行動する理由に足り得るように表現されています。
しかし今作は確かに顔の傷は何箇所かありますが女優の顔を醜く見せるのを微妙に避けた及び腰メイク、
傷自体が『線』にしか見えない問題・・顔を見ても『あんた可愛いままじゃん』と思えて、
物語を動かす主軸の『傷』がこのザマなので物語の推進力が減退してしまったのは否めません。
そのせいか他の遊女達も何か物語の中で埋没してしまってる気すらしました。
あと後半から終わりに向けてはオリジナルと比べると、何か冗長な印象もあって気になりました。
色々と惜しい部分もありますが、あの名作のリメイクという高いハードルをしっかりクリアーしたと思える出来であったのは素直に嬉しかったです。