9.実に美しく整えられた構図で、いくらでも眺めていられそう。京都の町家、風に揺らぐ簾、大小並べられた丸桶、開け放たれた襖越しの景色など等堪りません。造り酒屋の大旦那、女好きで競輪好きのデタラメ親父であっても一家をそれなりにまとめて束ねていたのはこの親父であり、彼の死と共に一家はそれぞれの方向へと進んでいく。その前途をなんとも重厚で重苦しい音楽が現している。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2004-10-17 16:43:05) |
8.中村雁治郎氏が出演されていると、小津映画でも軽快さが加わってなかなかとっつきやすい。雁治郎氏は歩くだけで、どこかユーモラスで味わい深い。笠さんはどこに出演しているのだろうと思っていたらラストの方にしっかり出演されていた。ほんのちょっとの農夫の役だったが、素晴らしかった。 【柴田洋子】さん 9点(2004-02-07 09:21:30) |
7.役者陣の絶妙な演技、各場面の鮮やかな色彩、人間臭さの感じられるストーリー…。登場人物が多く、複雑な人間関係を理解するのに少し手間取りましたが、実に見事に作られていると感じました。小津映画はともするとその平淡さが退屈に感じる作品も多々ありますが、この作品はビギナー向けというか、分かりやすく楽しめると思います。 【プミポン】さん 6点(2004-01-16 00:57:06) |
6.尾行を見つけられた藤木悠が、中村雁治郎に問い詰められるシーンで、後ろでかすかにかかっているラジオの高校野球中継では、ちょうどランナーが三本間に挟まれていた(笑)。風鈴の音が、ホントに綺麗。死とは、永遠のかくれんぼ、か・・・。 |
5.小津作品は(当然だが)若い頃はあんまり好きじゃなかった。淡々としてうねるようなドラマティックな展開もカタルシスも皆無。コレで一体何を楽しめと?てな感じw。中年になって改めて観ると実に味わい深い逸品であることに気付かされる。本作の場合、松竹蒲田の撮影所を出て珍しく東宝で製作されたことで数ある小津作品の中でも極めて特異な位置を占める。特に森繁がイイ。50~60年代の彼は全くもって上手過ぎる。特に加東大介との飲み屋での遣り取りはケッサク!あ、鴈治郎(二代目)の上手さは勿論云うまでも無いけどね。浪花千栄子の愛人も杉村春子の娘も各々溜め息が出る上手さ。こんな名脇役にも二度と出会えまい。ところで本作を通して小津が描きたかったモノ、実のところは彼のみぞ知る…なんだろうけど、個人的には戦後米軍占領下で根こそぎ否定された戦前の家父長(戸主)制へのオマージュではないかと思う。戦後民主主義によって次々と失われつつある戦前の日本の風習、コレを完全に消滅する前にフィルムに込めて残したい。そういう屈折したエコロジカルな視点が散見される。その意味で小津は(右翼などとは違った)真性の保守派であると言えよう。※因みに本作の読みは「こはやがわけのあき」であって「こばやかわ」ではないので、お間違えなきように…。 【へちょちょ】さん 9点(2004-01-07 14:42:08) (良:2票) |
4.中村雁治郎氏の息子さんがお父さんそっくりなんです。この間息子さんの写真を見て、中村雁治郎さん、いまだご健在かと一瞬思ってしまいました。 【ロイ・ニアリー】さん 9点(2003-12-12 12:19:23) |
3.とにかく絵の綺麗さに唸った。家の中や路地や自然のなんと美しいことか。鴈治郎の旦那振りもいいね。あの雰囲気はやろうと思ってできるもんじゃないス。 【黒猫クロマティ】さん 7点(2003-12-10 15:44:55) |
2.人生の無常こそ小津のテーマでしょうがこれにも現われています。人間の生死をさらっと描いているところなんか小津の人生観が集約されているんじゃないでしょうか。 【たましろ】さん 8点(2003-11-27 22:33:16) |
《改行表示》1.《ネタバレ》 今見ると名優・スター俳優がぞろぞろ出ていて、さながら俳優博物館のような感じ。中村鴈次郎、浪速千栄子、杉村春子、森繁久弥などなど・・大旦那の鴈次郎と小早川家の人々、その他多くの関係者たちの人間関係や日常生活を軽いタッチで描いていく。軽快な話がラストは主人公の死で終わるが、墓石にからすのシーン、葬列のラストシーンなど音楽も不気味な感じ。この作品完成の翌年に母の死、2年後には監督自身の死がある。そんなことを予感させるような感じがもする。農民で第三者のちょい役の笠智衆と妻の望月優子が火葬場の煙を見て言う。「若い人でなければいいが」「死んでも死んでもまた生まれてくる」「うまいことできてますなぁ」とつぶやいて、繰り返される人の生や無情をストレートにセリフにしている。 【キリコ】さん 7点(2003-11-03 14:30:13) |