23.筋は分かりやすい。古き良き日本人の良さと悪さがどちらもよく表現されていて、情緒もある。 しかし、近親的なタブー恋愛、義理の親戚との軋轢といった、割とドロッとした題材があまり自分の趣味ではなかった。 迷いなく義姉にアタックし続ける加山雄三にもあまり感情移入はできない。あんな嫁さん欲しいとは思うが。 【ポン酢太郎】さん [DVD(邦画)] 4点(2014-12-01 20:52:46) |
22.《ネタバレ》 この映画は「君と別れて」を思い出す。あの映画の水窪澄子のような眼差し、表情をする高峰秀子。二人の男女の距離と目的地への距離を縮めながら進む列車、それを支え道となる橋。 特に終盤、列車で徐々に距離を縮めていくシークエンスはドキドキさせられる。列車は絶えず動き続けるし、止まる駅でも乗客の乗り降りで運動は続く。 最初は他の客がいて弟が立ち続け、次第に背中越しに、やがて向かい合う。姉の横で転寝中のオジサンにヤキモチめいた気持ちを覗かせるのが面白い。 物語は軽トラックがスーパーの宣伝を高らかにする場面から始まる。新しい時代を象徴するスーパーの波、戦後のバラックから店を守り過去の亡霊に魂を繋がれたかのような人間たち。特に義姉のヒロインを演じる高峰秀子は。 義弟の加山雄三も出前のソバを食べても帰れば姉の手料理を食べたくなる。本当に食べたいもの、欲しいものはそれなのだから。 この頃からパチンコや麻雀だけで生計たてちゃう奴がいるのね。それすら出来なくなった人間は家族を残して簡単に首をくくってしまう。 冒頭で何かを心配そうに見つめていた義姉は、そんな義弟が無事に帰って来るのを毎日待ち続けているのだ。ちょっとくたびれた表情も見せる義姉。 義弟はそんな彼女を尻目に毎晩遊んだり警察の世話になっている。 後の若大将も劇中では筋金入りのニートな馬鹿大将。そんな男が、いつしか愛する義姉のため自分なりに働き始める。義弟を動かすのは家族を想う愛だけでなく、元々血の繋がらない“異性”に対する愛も強い。義姉も弟としてでなく、いつしか異性の“男”として心を許すべきかと悩みはじめる。前の夫の面影が、そんな彼女に中々ふんぎりを付けさせてくれない。 わざわざ寺に呼んでおいて「明日」などと言って焦らす。それを言うためだけに待ちつ待たせての寺での会話。 あれだけ焦らしておいて二人きりの旅館では「ああやっぱり」的な。霧の中を走る列車から、あえて時間のかかるバスや宿での宿泊を選んでおいてだ。 でも、その理由は弟が姉の本名ではなく最後まで“姉さん”と呼び続けたからでもあるのだろう。もし弟が姉を名前で呼び、彼女を本当に“女”として受け入れていたのなら・・・そんな事も考えてしまう。 諦める心、最後の電話、失って初めて“愛していた”と思い知らされる後悔。女はようやく愛しはじめた男を探しに駆けていく。身も心も、髪も乱して。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-10-11 01:52:11) |
21.《ネタバレ》 一途であるとか、けなげとか。身を引きますとか、忖度するとか。慎ましやかであるとか、私は大丈夫とか。最悪のシナリオはそんな良かれと思っているようなものの上に描かれているという映画。だから見終わった後、しんどい気持ちになります。こわい女だよ。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-02-02 19:46:01) |
20.《ネタバレ》 高峰秀子を筆頭に、演者達が皆素晴らしく演出も秀でていると思う。 能天気だけど一途な義弟・幸司(加山雄三)、感じの悪い義妹ぶりの久子(草笛光子)&孝子(白川由美)、そんな娘、息子、義娘に囲まれた母(三益愛子)等。 タイトルが示すように、義弟に告白された礼子だけじゃなく、幸司、義母、義妹、スーパーマーケットが出来ての商店街の店主等、皆心乱れました。 ついでに観ている私も心乱れました・・・特に、ルリ子(浜美枝)のチャラチャラ女っぷりの場面では・・・ ラストは唐突に終わったようにも思えるが、髪を乱した艶めかしい高峰のアップは映画史に残るワンシーンだと思う。 【ぐうたらパパ】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-08-11 07:02:33) |
19.《ネタバレ》 長男が戦争から帰らず、長男に嫁いだ妻がそのまま家に尽くす。 高峰秀子演じるこの未亡人は、次男がひたむきな愛を抱くのもよくわかるほどできた女性。 古き良き日本人女性の理想像といった感じで、今の時代では想像できない。 酒屋を切り盛りしてきた義姉なのに、店をスーパーにするのに邪魔者扱いする家族に抵抗する次男。 このあたり、母や長女らのいやらしさが実に巧みに表現されていた。 日本人の情緒にぴったり合うような成瀬監督の描写が目を引く。 ただ、設定やキャラも含めてちょっと古い感じがして、どっぷり感情移入するまでには至らず。 乱れる女心ということだろうけど、あれでは次男が生殺しのようで気の毒。 加山雄三は中年以降の歌っている若大将のイメージしかなかったけど、ずいぶん印象が違って最初はわからなかった。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-07-31 00:12:52) |
18.《ネタバレ》 「高校三年生」がスーパーの1周年記念セールの音楽となって流れる60年代、世の中は大型店の進出によって小売店が立ち行かなくなっていく。戦後のバラックから女手ひとつで作り上げた酒屋にも、取り壊してスーパーに改造という話が持ち上がる。 前半はそうした深刻な社会派ドラマの様相も見せるが、義弟幸司の告白によって一転して純愛映画へと変身。 義姉さんへの思いや甘え、一緒にいたいという願望から、わざと心配をかけさせる気持ちがよくわかる。また18年間も家を守ってきたとはいえ、女心の揺れる気持ち、乱れる心、これまたよくわかる。状況打開のため礼子は亡き夫の写真をトランクにつめ、身を引こうと決心する。しかしそれでも追いかける幸司。 幕切れは意外とあっけなかったが、自殺か事故死か、あの後どうなるのだろうか。乱れた心は・・・。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-07-05 21:42:31) |
17.《ネタバレ》 「乱れる」感情を、画面構成、カット割り、演技でこれほど見事に表現できるのは見事としか言いようがない。しかも、乱れ方が現在の価値観では、何もそこまで深刻にならなくても、とも思えるレベルなのに、その心理を、目で、仕草で、後ろ姿できっちり表現してしまう高峰秀子の演技力には脱帽。しかし、衝撃的なラストは、もっといろんな展開が有りうるのに、突然天災のように寸断された感じで消化不良である。当時の価値観では、禁断の愛はこの程度の乱れ方でも死で締めくくるしかなかったのだろうか? それとも、敢えて意図的に消化不良感を与えようとしたのだろうか? このラストを外してもう少し尺を伸ばしても、いい映画になりそうだ。ただ、なんだかんだ言っても、高峰秀子の魅力、演技力、それを活かしきる成瀬監督の力はハンパないと感じたことは確か。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-15 17:22:39) |
16.未亡人となった女性と11歳年下の義弟との愛の行方を描いたドラマ。 ヒロインの現在置かれている状況や立場をしっかりと描きつつ、店の経営が逼迫という サブストーリーが絡んでくるので、ガチガチのメロドラマという印象はない。 そういった設定に無理がないせいなのか、丁寧に描かれているせいなのか、 ヒロインの胸の内の苦しみがよく伝わってきて、男性が観ても感情移入がしやすい。 義弟を演じる加山雄三は好きな役者さんではないが、それほど違和感は覚えなかった。 高峰秀子は文句なしの好演で、ヒロインのキャラには適役だし、その描写も見事のひと言。 終盤の展開も悪くはなく、気持ちは引っ張られたのだが、オチはこれがベストだとは思わなかった。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-19 18:48:49) |
15.ハッピーエンドを最後の最後まで期待してた。 死体を運んでいるシーンが出てきても、まだ生き返るのではないかと期待した。 そしたら突然すぎる「終」が・・・ そんなぁ~~~堪忍して~~~ 【アキラ】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-03-16 23:35:16) |
14.繊細な心情描写と光と影の演出は、ただただ引き込まれます。 ただ、平均点並みに感動したかと問われれば、ちょっと微妙です。 主人公のもやもやとした「ダメ男」っぷりが、観ていて必要以上に共感してしまったからではないか、と、考えますが、コレ如何に。 まぁ、しかし。高峰秀子のソツない演技、若かりし頃の草笛光子、箸の持ち方が私と一緒の間違え方をしている加山雄三を、十分に堪能させていただきました。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-02-14 16:41:54) |
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13.《ネタバレ》 最後に思いもかけない展開となり、日頃冷静でしっかり者の彼女が我を失う表情で終わるラストカットがとても印象深いです。 高峰秀子の成瀬作品での特徴は、ツンとすました感じの雰囲気とあのちょっとひねたような独特の語り口調ではないかと思います。戦後的な新しい、女性的な芯の強さが彼女の個性でした。『稲妻』とか『流れる』とか、まさにそんな感じですね。『乱れる』は、彼女が40歳の頃の作品ですので、もうそういった新しさはありませんが、それでも彼女らしい女性的な強さを持ち、一人で酒屋を切り盛りするしっかり者で貞淑な未亡人として作品に登場します。しかし、義弟役の加山雄三のアプローチを受け、彼女は「乱れる」のです。それも徐々に徐々に心が揺らいでいき、気持ちが彼に傾いで、最後にはどうしようもなく心乱れてしまう、、、その様子がこれまでの彼女の役柄にはない分、とても新鮮だったのだと思います。この作品は、成瀬巳喜男の傑作であるとともに高峰秀子後期の代表作でしょう。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-01 14:29:58) |
12.ストーリーはただのメロドラマなのに、この作品にはとても惹きつけられる何かがある。それが何なのかは自分でもよくわからない。強いて言えば、幸司の一途な気持ちと、礼子の揺れ動く女心が痛いほど伝わってくるからなのかもしれません。フランス映画を思わせるようなラストが印象的。 【きーとん】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-07-17 11:08:51) |
11.なんというラスト。印象に残ることは間違いないが、好きか嫌いかと言われれば正直どっちとも…。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-04-27 18:44:05) |
10.《ネタバレ》 成瀬巳喜男監督作品、51本目の鑑賞。 成瀬監督作品で、未見の作品としては最も巷の評価が高い作品だけに、観る前は俄然、期待が高まった。 成瀬監督の最高傑作は、加山雄三が本作と同じく主演した『乱れ雲』だと個人的に思っているが、メロドラマという部分で、多分に共通点が感じられ、更に期待が高まり、観る前の緊張感は、最近にはないものがあった。 さて内容だが、加山雄三と、その義姉である高峰秀子との禁断の愛を描いている。 100分にも満たない作品ながら、成瀬監督にしかできないような丁寧な描写で描かれ、濃密な内容となっている。 特にラストシーンは、情感極まる凄まじいまでの完成度である。 ただ、『乱れ雲』に劣る点は、加山雄三の演技にどうも真実味を感じないことだ。 18年間も一つ屋根の下に暮らし、その間ずっと高峰秀子に対する愛を隠していたという設定にしては、熱意が足りない気がした。 又、最後の諦めの早さにも違和感を感じた。 特に成瀬映画なら、もっとパワー漲るしつこさを期待してしまう。 『浮雲』を観た時に感じた、あの観る者のパワーを奪う様なネチっこさが欠けているのだ。 ただし、名作・佳作揃いの成瀬映画の中にあっても、なるほど評判が高いだけあって、上位にくる作品ではある。 そして又、高峰秀子の演技は、加山雄三の熱意が足りない演技を圧倒するかの様に凄まじく、殊に乱れた髪で立ち尽くすラストショットは、強く瞼の裏に焼きついた。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-12-14 01:47:55) |
9.数多い成瀬作品の中でもトップクラス。当時大ブレイクの加山雄三を起用して義理姉に恋焦がれる青年を好演。お相手は勿論この人高峰秀子さん、しっとりと揺れる女心を演じれば天下一品!名演でした。 【白い男】さん [地上波(邦画)] 9点(2009-11-08 10:56:53) |
8.《ネタバレ》 途中まで見ていて「これは今まで見た成瀬作品の中でも最高傑作では?」と思ってみていたが、やはり問題はラスト。このラストを受け入れるかで映画の評価が大きく変わるのでは?決して結ばれない恋愛というテーマの映画は数限りなくあるが、この映画では高峰秀子の態度はあやふやで疑問が残る。途中下車時点で心を決めたかと思ったが、実際は抱擁はされても唇はだめよ!では納得出来ません。ここまできて加山雄三に「あなたは未来がある人だから」などといって拒絶しておいて、結局加山はやけ酒のすえ死んでしまう。高峰秀子の優柔不断な態度が、加山雄三の若い未来を奪ってしまったわけである。これでは悲劇というより単に「ふわふわしてるんじゃないよーー」と突っ込みも入れたくなります。それを差っぴいても演出、画像は全編素晴らしく、色々文句を書いてもこの高得点です。 【仏向】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-05-20 16:25:22) |
7.《ネタバレ》 高峰秀子演じる礼子の感情の移り変わりの描かれ方にまいってしまいました。それは主に幸司に気持ちを伝えられてからの礼子の感情の変化、例えば「今どこにいるの?」という幸司に対する電話のやりとりの際の物憂げな表情など、一つ一つに細かく込められているように思います。これらの表現から求めてはいけない存在である幸司に対して、女としての複雑な心情との葛藤が、そして最後旅館で礼子が自分の気持ちの変化を幸司に告白するシーンでその重みを感じずにはいられませんでした。 【ぺろぽねそす】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-07-22 17:55:09) |
6.これは凄い映画。これぞ純文学というような世界観もいいし、ラストも最高。 やばい。なにこの映画。やばいでしょ。やばすぎるでしょ。 【norainu】さん [DVD(邦画)] 10点(2008-03-29 22:13:58) |
5. 高峰秀子が見たくて借りてきました。高度成長を迎えようとする日本の風景や心情なども昭和30年代ファンの私としては見ていてたまりません。平凡にまじめに生きてきた戦争未亡人と彼女に思いを寄せる義理の弟の話という、一歩間違えば陳腐なメロドラマになりそうな話なんですが、日本の恋愛映画でもかなり傑作といえるのではないでしょうか? 最後のシーンは雪が降るのを想定してロケをしていたらしいですね。ラストの凸ちゃんが忘れられません。 【パオ吉】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-07-31 15:58:22) |
【fuji】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-07-24 03:35:00) |