231.【過剰演出の極み】この監督の下では全ての題材が表層的な刺激にしかならないと思います。「これだから現代の若者は…」「だからゆとり世代は…」の精神を補強し育む映画。 鑑賞直後、凄い映画を見たと高揚感に包まれていました。しかし冷静になると、刺激的な画・ファンタジックな演出・音楽などの強い刺激により、考える隙もなくただ圧倒されていただけ、と気付きました。私はただ映像に洗脳されていただけだったのです。 どれだけ掘り下げて解釈するかは観客次第だと思います。さまざまな人間の醜さが表層的に過剰に強調されています。考えるきっかけとしてはとても分かり易く。そこから人間の本質や命とは何なのか掘り下げようと思えばいくらでも掘れそうな題材です。 しかし、この映画が描いている事象は非常に浅い。キャラ設定をした程度で終わっていると思います。その刺激的なキャラを娯楽として利用しているようにしか見えません。 そしてテーマを掘り下げたい観客は、側面のみを過剰に強調されたキャラを見て、観客それぞれの人生経験から想像された人物像を当てはめ、レッテル貼りをし、それぞれの人物についての批評を始めるのです。この流れ不健康だと思います。 監督はなぜこの題材を映画にしようと思ったのか本音を聞いてみたい。監督の不純な動機を想像してしまいとても不愉快です。 【エウロパ】さん [映画館(邦画)] 5点(2012-12-12 00:31:39) (良:1票) |
230.《ネタバレ》 「すげえ原作」を「すげえ映画」にするのって難しいコトなワケですが(日本映画じゃなおさら)これは見事な「ものすげえ映画」でした。まるでモノクロ映画のような陰鬱な画面も、神経を逆なでするような音楽も(ちょっと『自殺サークル』を思い出しました)、役者陣の(主に静かなる)狂気も良かったのですが、やはり、スローモーションと逆回しを使いまくりの爆破シーンが、鳥肌&脱帽モノでした。(原作を読んだ時には、あの場面ではあくまでも部屋が爆発するビジョンしかイメージしてなかったので、あの“泣きながら砕け散る○○”には完全にヤラレました…) …なーんてね♪ 【幻覚@蛇プニョ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-06-25 20:16:24) (良:1票) |
229.倫理観やトレンド的なものに対して一切の配慮もなく、氏の構想するエンタメに対して真っ直ぐに撮りきった監督の心意気が清々しい。映像と脚本の破綻しない寄り添い方も、見事としか言いようがない。 松たか子、木村佳乃という「別に何の期待もしていない」役者陣でしたが、個々の実力以上としか思えない演技にも、驚かされました。 初見ですが、中島哲也。恐るべし。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-06-04 23:14:36) (良:1票) |
228.《ネタバレ》 ストーリーの展開に無理が目立ち(とりわけ後半グズグズ)、また口当たりのいい映像の流れには飽きが来て、正直観ている間は低評価。でもラストの松たか子の「なーんてね」のセリフで、これはこれで今の時代の嫌な一面を突いてるな、とは思った。映画に蔓延してるのは「とりあえず小馬鹿にする態度」。いじめの本質かどうかは分からないけど「小馬鹿にする」ってのは重要な要素だろう。茶化す、ってことでもある。真剣なもの(それはときに暑苦しくもある)を避けて、クールであろうとする。クールに見えようとする。そのためには他人にとって切実なものまでを、小馬鹿にする。それは生々しいものから逃げたい臆病の変形なんだけど、現代はその必死に冷笑する気分が過飽和状態になっていて、それがあちこちで「いじめ」として結晶してるんじゃないか、そんなことを思った。そして娘の死への復讐という真剣な思いを完成させるためには、最後に「なーんてね」という小馬鹿にする言葉がトドメになる。しょせんエンタテイメント作品ではあるが、でもだからこそ、これが決めゼリフとしてぴたりハマったのが、現代の状況を射抜いていた(かつて「なんちゃってオジサン」という都市伝説があったけど、あれはまだ愛嬌があったな)。登場する全員が救いようなく壊れていく。暗い雲だけが動いていく。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-03 10:04:12) (良:1票) |
227.叩かれるリスクを踏まえて敢えて。 評判が高いので見てみましたが、ミーハーな若者を喜ばせるだけの薄っぺらい映画だと思いました。 こんな作品に、「命の重さ」なんかわざとらしく語ってほしくない。 命も殺しも全てが記号的にそれっぽく並べられているだけで、好演している木村佳乃意外誰にも感情移入できませんでした。 映画を観てこんなにムカムカしたのは久しぶりです。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-06-23 02:14:41) (良:1票) |
226.つまらなかった。2時間にも満たないのに長く感じた。しかも見ていてイライラして胸糞が悪かった。どういつもこいつもエゴを振りかざしているだけで、誰一人として共感できる人物がいない。復讐ものの作品は映画やTVドラマ、アニメ等で多々あるが、大体の作品には一時的にでも爽快感があったり、何か考えさせられる事や、観終わった後に余韻があるが、この作品にはそう言ったものがなかった。この作品からは心の闇だけが見えて、何の光明も見えず、救いようがないし、後に何も残らない。演技は皆、上手いと言っていいのかもしれないが、大げさすぎるように見えて、演劇のようだった。個人的にはそれがいまいちだった。高評価が並んでいるが、個人的には合わなかったようだ。もう一度見ようとは思わない作品となったし、誰かに勧めたいと思う作品でもない。 【スワローマン】さん [DVD(邦画)] 1点(2011-03-06 11:31:47) (良:1票) |
225.原作の世界観を損なわず、テンポよく映像も美しい。大人が子供に100%の全力で復讐をする。爽快です。 【ぷりとさね】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-01-24 23:55:28) (良:1票) |
224.《ネタバレ》 映画というより、もの凄く長いPVを見ているような感じでしたね。劇中でもなにかのバンドやら、犯罪者やらに倒錯したり携帯メールでの残酷なやりとりをする子供達の姿が描かれていたけれど、このPVみたいな作りというのは、要するにこういう電子的な世界、仮想の世界にのみ生き甲斐を見いだしていることの希薄さや空虚さというものを、こういう描き方によって表現しているわけですよね。だから、人間を描いていないという意見もわからないでもないけれど、これは全く違うやり口によって、今の子供特有の感覚を表現しているといっていいんじゃないかな。人間の残酷な部分や恐ろしい面にスポットを当てているから見ていてずっと不快な気持ちを持っていたけれど、この不快感がこうやって観る者に伝わるのはまさに作り手として成功していることの証だと思うんです。だから、好き嫌いは別として、僕は一定の評価をしたいと思う。ラストでの、先生の物理的な行使による鮮烈な爆破のシーンは実に印象的。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-24 21:26:05) (良:1票) |
223.《ネタバレ》 キネマ旬報ベストテンは最早その役目を終えたのかも知れない。 受持ちの生徒に娘を殺された中学校女教師の復讐譚。まるでマンガの様な、ゲームの様な、荒唐無稽な、現実味の無い、痛みも涙も憎しみも悲しみも下手にカリカチュアライズされ、まるで蝋人形のように血の通わない、したがって観る者が作中の登場人物に感情移入が出来ない、いかにも作り物といった作品に仕上がってしまっている。 結局人間の感情、心の揺れが表現できていない為に、叫びや血や涙や炎が飾りとしてしか機能しない。 面白いでしょう、怖いでしょう、可哀相でしょう、今の中学生ぽいでしょうはい二時間経ちました、映画です。そんな印象である。 只「なーんてね」は、非行の矯正など不要で、罪には罰を! という製作者の意思が見えて良かった。 しかしこれがキネ旬の二位とは邦画の(洋画も似た様な状況だが)現況に暗澹となる。 ベスト作品を一本を選ぶことさえ儘ならない時代に、ベストテンはいかにもつらいのではないか。 【高畑カムバックプリーズ】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-01-22 01:08:59) (良:1票) |
222.観て何も残らない。 良いですね、こんなに美男・美女の学校があるなんて。 【ナラタージュ】さん [DVD(邦画)] 1点(2011-01-15 14:56:26) (良:1票) |
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221.中島監督の前作『パコと魔法の絵本』と前々作『嫌われ松子の一生』に私が1点という低い点をつけているのは何もかもを映像では語らずに言葉で語っているからなんだけど、深田恭子の独り言のようなナレーションで進んでゆく『下妻物語』が6点なのは何故か。例えば『パコ~』で絵本の物語が言葉で紡がれてゆくのも『嫌われ~』で言葉が歌となってストーリーを語ってゆくのも全然かまわないのだ。大事なところ、伝えたいところまで全てを言葉にしちゃうからダメなんだ。『下妻物語』には伝えるべきメッセージなんてなく、ひたすらエンターテイメントギャグ映画だったから良かったのだ(人物の行動をちゃんと映画的に処理していたし)。そしてこの『告白』もまた登場人物それぞれの独白という言葉で進んでゆくが『下妻物語』同様にメッセージなんてものはなく、ひたすらマンガ的エンターテイメントであるから「重要なところを言葉で語っちゃう」ことを回避し、結果その部分での私の大幅減点も免れることになる。独白が必ずしも真実ではなく、イコール・ストーリとならないのもいい。が、そのことを訂正してゆくのも他の者による独白でしかないわけで、例えば少年と少女の関係が少年側からと少女側からでは全く違うということだって一つの画で現せることは出来るのだ。もちろんそれぞれの独白が違う事実を語ることに面白さがある作品なのはわかる。でもその一つの画を「伏線」として出すくらいしてくれないと、私の中での高得点はあり得ない。あしからず。 でも5点は合格点ですから。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 5点(2010-10-28 13:49:13) (良:1票) |
220.《ネタバレ》 現代社会の問題をきちんと取り上げよう、という意識はないのでしょう。HIVや爆弾や少年Aの母親の描き方を見るに、理系の学問や学者を適当に扱いすぎ、あるいは知らなさ過ぎです。エンターテイメントとして楽しむべきものだと思いますが、映像手法やストーリーは決して目新しいわけではないと思います。暗い世界観がひたすらに提示された印象が強いです。 【鈴木】さん [映画館(邦画)] 3点(2010-08-08 20:08:09) (良:1票) |
219.《ネタバレ》 大変話題になっているこの状況であり、ずっと気になっていた作品だったのですが、そろそろ上映館も少なくなってくる頃かもしれないと思い、劇場で見るなら今しかないと思い定めて、この前見てみました。ちなみに原作未読、中島監督の作品を見るのもこれが初めてです。 結論から言うと、最終的にはそれなりに楽しめたと思います。ただし個人的には、「かなり無茶苦茶なフィルターを通して」という感じでないと(これは映画が無茶苦茶だから再構成しなければならない、という意味ではなく、あくまで自分自身の感じ方の事を言いたいのですが)この作品を受け入れられなかった、といった所です。 例えば少年Aの言ってることが「旧作エヴァンゲリオンのエピゴーネン」と言うか、旧作エヴァの「トラウマに支配される少年少女」といった構図を無批判に受け売りしているようにしか見えず、あまり良い印象を持ちませんでした。 しかし見ている途中から、不思議なことにだんだん映画で展開されている陰惨な出来事から、現実味が薄れていくように感じられてきました。これは決して批判的に言っているのではなく、作中の出来事を「映画の中だけの特殊な現象」という形で幻想的に封じ込めている、という印象を持ちました。その結果、少年少女の「悪意」やあの先生の「復讐心」は(その純度の高さゆえに)現実離れした非常に抽象的な物のように感じられ、劇中の事件は前述のような「動機(と映像表現)のエキセントリック度合い」により、たとえて言うなら『スターウォーズ』の空戦シーンやライトセイバーの決闘シーンといったもののように感じられました。「個人的に無茶苦茶なフィルターを通している」と言いたかったのはこの部分です。 言ってみれば「エキセントリックに徹して妙な現実味をそぎ落とすことによって、『復讐心や悪意』を娯楽映画の素材として上手く使用している」という風に見えたのです。そして個人的にはその点に、中島監督の「バランス感覚」と言うか「大人の感覚」といったものを感じます。 個人的には作中人物たちの心情に寄り添った上で捉えたこれ見よがしの「悪意」や「復讐心」、それと主に少年AおよびBの「悪意」の幼さに本気で付き合うような事をしたくないのですが、その「映画的表現によって純化された形でのそれらの感情の発露」に関しては、変な言い方ですが大変爽快な気持ちで見ていたような気がします。 【マーチェンカ】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-08-02 23:39:59) (良:1票) |
218.本日一緒に見に行った友人(60代、成人した子供は3人いるけど孫はいない)のそのまた友人(68歳とか。私は面識なし)が世間のあまりの評判に期待して、同世代のお友達数人を誘って見に行き激しく後悔し、同行の人たちに謝りまくった、のだそうな。いや別に謝らなくたっていいでしょうよ、と私たちは語り合ったけど、この映画の子たちと同じ年頃の孫とかいそうな70歳前後の人たちにはかなりムリなのかもしれませんねえ。/私は原作未読ですが、そもそも原作受賞の際にかなり賛否両論が起きたと聞いていたから、友人から誘われなかったらパスしていたかも。/「下妻物語」と中島監督は大好きですしキャストも悪くないと思うしこういう映画があってもいいとは思うし、小説を誤読する人がいたっていいように、映画なんて自分の見方をすればいいじゃん、と思うからこれを評価する人がいても全然いいと思うんですけど、でも私は好きじゃないです。/但し「ハハンこれは現代の『罪と罰』ということか・・」と思っていたらすぐにセリフとして『罪と罰』が出てきたから、意外とわかりやすい構成ね、という気はしました。現代版『青春の殺人者』とも見えるか。しかし、私は今後『罪と罰』を読み返したり『青春の殺人者』を見直したりしたくはなっても、この映画を見直したくなることは、今んとこはないだろうと思っています。<追記:そうそう、もう一つ思い出したのは、今ハタチの姪が10年くらい前に学校で孤立したときのこと。心配した母親がもっと友達と話したりすればいいのに、というようなことを言ったら、ビックリしたような顔をして「だって誰もほんとのことなんか言わないよ」と言ったのだそうな。そういう意味では、この映画はちっとも新しくなんかないなあと思ったり、現実のほうがもっとゾッとするなあと思ってみたり・・。> 【おばちゃん】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-07-28 21:11:14) (良:1票) |
217.すげーおもしろかった。超娯楽作品! 観賞中、ずっと笑いっぱなしでした。 松っさんすげかった。。 いい顔し過ぎ。芸能の奥深さ。素敵です! 超爽快。 【Pecco】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-12 20:30:10) (良:1票) |
216.いくらなんでもリアリティなさ過ぎ。全てがワザとらしく、ちょっとこれは有り得ない。 よくハリウッドのお気楽な娯楽作が「リアリティがなさ過ぎる」という理由から低評価されるけど、これも大概! 【J.J.フォーラム】さん [映画館(邦画)] 0点(2010-07-12 01:47:20) (良:1票) |
215.《ネタバレ》 元気が出る映画というわけでもないし、ためになる映画というわけでもない。カップルで盛り上がるわけでもないし、家族で見るのにも適してないだろう。だけど、この映画に価値がないかというと、決してそんなことはない。なぜなら、「面白い」からである。この映画の本質はエンタテインメントだ。ともすればこのストーリーに文学性を見出す人もいるかもしれないが、たぶんそれは考えすぎだ。この映画の面白さは、文学性を無視したことによって尖鋭化されたストーリーと映像にある。我々は、2時間、映画の匠による、心を動かすための技術を延々見させられることになる。原作者も監督も確信的にエンタテインメントをつくっている。主張も、テーマも、いかにもありそうに見えるが、本当はないと思う。そして、だからこそ面白いのだ。よけいな荷物を背負っていないから、その面白さは、猛スピードで我々の脳内をかけめぐる。冒頭の長セリフから、もうずっとのめりこみまくる。そして観終わった後は、何も残っていない。ただただ感嘆するだけである。それでいい。こんな良質なエンタテインメントはなかなかない。 【コダマ】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-11 01:10:39) (良:1票) |
214.《ネタバレ》 個人的には2010年上半期№1の衝撃作。原作は未読。エンドロールが終わっても、しばらくの間だれも席を立つ客はいなかった。教育、家族、恋愛、友情、命といった、これまで世間で「是なるもの」として築き上げられてきた価値観が完全に崩れ去っている中学校。表層の一体感に終始し、人間関係はすでにその根幹を失っている。自分一人で世界観を築き上げる危険性や、集団になった途端に一種の思考が停止する脆弱性の中で、各人が有する愛情はその対外的なバランスを失い、対象を(ときに偏執的なまでに)特化していく。主人公の森口をとってもそれは例外ではない。彼女は教師でありながらその愛情は娘に集中的に注がれ、娘を殺した生徒に徹底的なまでの復讐を仕掛けていく。(個人的にはラストの「な~んてね。」も狂言とは思えなかった。彼女に少しでも教育者としての自覚が残っているのならば、辞職までして復讐に集中する事は無いように思える。)ただ一人、自らの二面性に気づき、悩み、また恋愛し、人間の「善」なる部分を信じようとした美月が無残に殺されるストーリーが何とも救いがない。現代社会が抱える問題を潜在的に映し出す物語にradioheadの音楽が絶妙に重なり、作品としての力をいっそう増しているように感じられた。 【wood】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-09 18:49:08) (良:1票) |
213.ベストセラー作品の映像化に見事成功した稀有な作品。 【tonao】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-04 11:15:09) (良:1票) |
212.《ネタバレ》 いやあ、面白かった、もう一度見たい、とか言うと人間性疑われそうな内容ですけど、でも正直、映画館にわざわざ見に行って良かったと思いました(たぶん地上波テレビでは放送されないでしょうから)。この映画の予想外のヒット(日経MJによれば、邦画ヒットの3大要素:①テレビ局とのコラボ、②ハッピーエンド、③イケメン男子が全くないのにヒットするのは驚きだそうです)は、現在の日本の世相を反映しているのではないでしょうか。高度経済成長時代なら、単なる悪趣味な映画で終わっていたかも。上辺だけの優しさや偽善、馬鹿丁寧さ(客を様付けで呼ぶ、お世話していないのに“いつもお世話になっております”等)、本音を隠して表面的には取り繕った明るさなどが氾濫する昨今の世の中で、主人公たちがかくも自己中心的、自己正当化的行動を繰り返すのをあからさまに、あっけらかんと見せつけられると、なんかむしろ爽快感すら感じてしまいます。こんなに自分本位に行動して人を殺しても後悔すらしなかったら人生さぞかし楽でいいだろうなあ、なーんてね。あの終わり方に異論はあると思いますが、それは森口先生に善性を期待するからではないでしょうか。そして私たちをその期待にミスリードするものは、松たか子が優秀な女優であるばかりではなく、個人的にも明るく聡明で育ちの良いことに起因しているのではないでしょうか。中島監督はこの役をできるのは彼女しかいないと切望したそうですが、役者さんは演技力ばかりではなく、その人の持つ個人的なイメージも大事なことだと感じました。このお話の中の森口先生は決して優秀な先生ではなく(クラスは崩壊状態)、子供たちに愛情を感じ熱心に指導しようという教育者としての資質を全く保持していない人物であり、そもそもこの映画は教育や命の大切さをテーマにした映画ではないと思います。 追記:NHKBSで放映されたのを改めてみて、劇中で語られる女子中学生が家族4人を毒殺したというルナシー事件。当時はまあフィクションの世界のお話と思って特に記憶に残っていませんでしたが、何年か前に佐世保や名古屋で起きた女子高生、女子大生による異様な殺人事件。その加害者が同級生などに毒物を飲ませた過去があるという話を聞いて、もしやこの映画に触発されたことはないのだろうかなどと思ってしまいました。大人でもかなりインパクトのある内容の映画なので、子供が見たらどう感じたのでしょうか。劇場公開時はPG13の規制がかかっていましたが、見ようと思えば誰でも見れたのでしょう。 【キムリン】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-07-01 18:44:10) (良:1票) |