42.誰もが通る道なんだよなぁ。 思春期の痛々しい行動と台風が近付いている時の謎の高揚感。 ほぼ中学生達によるドラマが展開されるが、そこには青春の清々しさなんてものはあまり無く、ひたすら鬱屈とした窮屈な感情や性的衝動なんかが正に台風の如く吹き荒れる様を描いている。 彼らの生態をカメラは窓の外からや、教室の外側からなど、まるで覗き見をしているかのように映し出していて、長回しの多用によってよりリアルな風景に感じられた。 台風の到来と共に己を解放していく彼らの行動はなんとなく共感できた。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-02-07 19:39:29) |
41.《ネタバレ》 幼心に衝撃だった。歌う愛憎、性と死。清志郎の声。厨二病以前の中学生の性的衝動はここに発露する。少年は愛に死んだ。深夜のアーケードには愛は無かった。 【よこやまゆうき】さん [地上波(邦画)] 10点(2017-05-26 04:17:06) |
40.《ネタバレ》 台風が過ぎ、青空が広がる朝が来ると、あの高揚感も何もかもが次第に薄れていく。たぶんあの後あの少年少女たちは何もなかったように鬱屈した日常に戻っていくんだろうな。誰一人三上君の死について理解できないで進んでいくんだろうな。 誰も変容したように感じなかった。三上君の死さえ、変容の結果だとは思えなかった。彼は自己を正当化するために、教師との喧嘩や彼女に連絡がつかないというだけで浅はかに哲学を装って死んだだけだと思った。ピーターパン的に。 つまり、青春時から青年期への通過儀礼的なものではなく、もっと衝動的な中学生特有の集団ヒステリーのような一瞬を、台風のくるドキドキワクワク感とともに描き切った作品であると感じた。 主題ははっきりとあるものの、登場人物の変容が感じられないから、観る人によっては「なんだこの映画、何が残るんだ?」という気にさせられるかもしれない。でもこの映画は、人生に一度しかない中学校生活最後の年の、大人でも子どもでもない彼らの一種の抵抗や反乱や狂気を写真のように切り取った作品なので致し方ない。 台風のひと時だけで人間がそんなに成長してたまるか。 故相米監督の大傑作。 【JF】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-06-05 09:24:00) |
39.○この世には、暴走や狂態では払拭できない鬱屈がある。その鬱屈をいちばん持て余すのは中学生の頃だろう。人生における台風の時代は、過ぎ去ってしまえばすぐに忘れてしまう。この映画は、その時代をまざまざと思い出させてくれる大傑作。全編、アルバート・アイラーの即興演奏が鳴り響いているようだ。○この映画ほど好き嫌いが分かれる映画はないだろう。嫌いな人が冗長と感じる場面も、好きな者は飽くことなく魅入ってしまうのだ。○思春期の頃の痕跡かな?台風が来ると、フリチンで暴風雨の中へ跳びだしたくなる。60歳を過ぎたいまでも。。。。。 【火蛾】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-11-03 17:13:25) |
38.《ネタバレ》 相米慎二監督作品。 思春期の中学生を台風を通じて描いた作品。 子供の頃は誰もが感じたであろう台風が近づいてくる際の高揚感に着眼し、それを契機として中学生の日頃感じている不安や性的欲求、苦悩を見事に表現している。 冒頭から通じて身近に水があり、やけに湿気のある空気感で、それがまた彼らの不安定さを演出しており良い。 健のドアを何度も蹴るシーンや三上の机を積み上げるシーンなどかなり長い長回しが使われているがこれがまた彼らの狂気を引き立てている。 これこそ青春映画である。 【こしち】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-07 21:43:13) |
37.中学時代って人生の台風みたいな時期で、生と死、正義と悪、そしてエロスが嵐のようにイッキに押し寄せてくる。 この時代をどう過ごすかで、その後の人生というか人格が決まるような気はする。 私は何とか台風をやりすごしたとは思ってはいるが、その爪痕は大きく、良くも悪くもあの時代あってこその現在なんだろうと思っている。 誰もが自分の中学時代を思い出しながら見るのだろうが、自分はこの時代の鬱屈さに共感するにはちょっと年をとり過ぎたかな。 |
36.《ネタバレ》 こうしたストーリー性よりも感覚的なものを重視した映画は苦手。 哲学的、象徴的なところがあってシュールでわかりにくい。 夜の学校、台風という非日常で不思議とテンションの上がる状況で、抑圧から暴発するようなエネルギー。 台風の中を中学生が裸で踊っている場面は奇妙な高揚感が出ていてインパクトが強い。 思春期に特有のわけのわからない衝動、それをコントロールできない未成熟な思考、狂気を帯びたかのような暴走。 好きではないのに、なにか引っかかる映画ではある。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-12 00:22:29) |
35.ずっと昔にテレビで観た時に、とても胸が高鳴った。今観ると内容は結構めちゃくちゃだけど、(当時の)この年代の危うさと台風接近の高揚感を見事に描いている。 【noji】さん [地上波(邦画)] 9点(2012-07-01 21:23:11) |
34.中学生の内に秘めたる狂気を描いた、ちょっと変わった青春映画。 核となるようなストーリーはなく、彼らの鬱屈した心情を台風で表現させるといった構成。 決して重たい流れではなく、コミカルなシーンも用意されているのだが、 ラストは結構ショッキングだった。どちらかと言えば、感性で観る映画。 【MAHITO】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2011-08-19 08:50:58) |
33.子どもたちのイライラを描く。「イライラ」という不定形なものを描いてこれだけ迫力を出せた映画というのも珍しい。ただ、たしかに子どもたちはイライラしてるんだけど、イライラしたふりをして防衛している「何か」もあるわけで、そこらへんの子どものずるさをも描くだけの距離があったら、もっと良かっただろう。台風に閉じ込められたふりをして、立て籠もった子どもたちという設定なら、もっと校舎を使いこなすべきだった。職員室のドアを蹴るとこと、机を積み上げるとこがいい。カメラが蹴った穴を通って外に出たりする。物語から離れるところで、この監督はイキイキしてくる。何かが持続するところを描くと気合いが入ってくる。商店街でマッシロな男女がオカリナを吹いてるのはシラけた。大西結花が、三上君と工藤嬢が仲良く話し合ってるのを見てて、こちら(窓)を向き、背伸びを二度ほどやって風が吹く、なんてとこがいいんだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-07-06 10:44:27) |
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32.《ネタバレ》 25年前に観た時には、若者の「何かが始まる予感」、台風の来るそのざわめき感とも言うものを感じさせて、感心したものだが、今見るともうダメ。 物語の中で起こる理不尽に、自分が耐えられない体になってしまっている。 あの「おかえり、ただいま」の奴なんて、単なる精神疾患にしか見えないし、あれを放置しておく周りに憤ってしまう。 パンフレットには、まあ立派なことが書いてあって、「この物語は(中略)日常の台風を探す物語」だと。しかし、台風で閉じ込められた(実際には外に出れたじゃん)一夜の、その先に探し当てたものが、「死を見せてやる」って若者の物語としては、ちょっと面白くないし、だいたい彼がそこに行き着くほどのものを、見せてくれていないと思う。 彼がどう悩んで、どう感じて、周りの事件がどう影響したのか、かなりわからない。 工藤夕貴の可愛さと下着姿に、3点。(当時若者だった自分も、まあエロじじいになったものだ) ところで、佐藤浩市、どこに出てた? 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-05-17 15:54:00) |
31.深夜放送のテレビで初めて観たとき、衝撃が走った。それまでは邦画なんてつまんないのしかないと思い込んでた。それをこの映画がぶち壊してくれた。それ以来ことあるごとに観返してきたが、未だに心のベストテンの上位ランカーとして健在、というか、もはや心の永久欠番である。 |
30.《ネタバレ》 三浦友和がいい。「ああ、台風来ないかなあ」(大西結花の台詞だった?)もいい。ラストの「あ、金閣寺」(工藤夕貴)もいい。しかし、なぜ「犬神家」になってしまうのかがわからない(ぶち壊し、でも8点)。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-03-23 10:30:23) |
29.《ネタバレ》 とても褒められたものではない退屈な映画。ストーリーもへったくれも無い。十代半ばの女子が水着・下着・裸で踊るのを眺める官能映画である。台風の中、踊りながら下着を次々と脱いで放り投げ、いつしか全裸になっていくそのシーンのみで5点献上。渕崎ゆり子の裸踊りという大変貴重なシーンを拝めただけでさらに+1点差し上げる事が出来てしまうのだ。 【にしきの】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-01-18 06:51:53) |
28.シュールな映画。その奇妙な雰囲気が中学生の不安定さを映し出していて良かったです。これを中学生のときに見てたら変な奴等だな~、としか思わなかっただろうけど。 【Trunk】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-10-17 13:30:21) |
27.相米監督の作品で、しかも1980年代の青春モノとくれば、おおかた予想がつく内容。 その予想を裏切らないのが、相米クオリティ。 好みの作品ではないが、思春期のはじけた一夏の思い出を、画面いっぱいに発散させたその内容は、なかなかもって素晴らしく、台風の中、ずぶ濡れになりながら屋外ではしゃぎ回るシーンに、それは凝縮されている。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-17 02:01:44) |
26.可もなく不可もなく感じた。が、受け手に背伸びを求める作りは少しイラッとする。 正直、冗長さに耐えられない演出は当時の日本映画独特の間ではあるのかもしれないが、それを技法である、というところまで持って行けているだろうか。そう思えない。 せっかく動画フォーマットなのに、文字で書かれた情景をそのままの時間換算で動画にしただけではないのか、と思えてしまう。閉塞感や鬱陶しさのような感覚は生まれるが、生まれてしまったそれらが、生もうと思って生まれているような感じがしないのは、どういう訳だろう。 うまく受け手それぞれの記憶に、進んでいく物語をシンクロさせようという試みなのかもしれないが、その思惑にうまく乗っかることが出来なかったら大変な苦痛を味わうかもしれない。 【黒猫クック】さん [地上波(邦画)] 5点(2009-11-15 20:32:31) |
25.おそらく企画書の段階で、これほどの映画が完成することを想像した人間は、監督を含めて、一人もいなかったのではないでしょうか。ひとつ間違えば、ただの青春映画や、ただのお芸術映画になってしまうようなコンセプトを使って、「人間」と「世界」の関係を見事に描き出しました。とは言っても、まったく哲学的な映画ではなくて、非常にリアルな映画です。ひとつひとつの映像が訴えかけてくるものがまさにリアル。校舎のにおいや、体にまとわりつく雨の感覚、登場人物の体温までもが、こちらに痛いほど伝わってきます。 【コウモリ】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-10-30 00:09:17) |
24.《ネタバレ》 誰が言ったのかは忘れましたが「考えるな!感じろ!」という台詞がピタリと合う映画ですね。まあ、内容を言葉で説明するのが非常に難しいです。 急激な成長期を迎えている中学生なら誰しも持っているであろう激しい衝動のようなものを、台風とともにアヴァンギャルドに描いています。(しかし、「オカリナは朝吹くもののなんです」のシーンは何だったんでしょう?) ハチャメチャなんだけれども、不思議な魅力を持っている作品でした。 【TM】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-02-18 19:25:30) |
23.まず言いたいのは、相米監督万歳。見終わってメメント・モリという言葉がよぎった。三上君にとっての台風は、あの純粋すぎる魂を前触れなく奪っていってしまう類の死神だったのか。死でさえも消費の対象になっている時代にとっては彼の決意が遠すぎる(世の中に目を向ければ、死を実感してこなかった子供たちがそれを実感できないままに殺人を犯している)。そして居るはずなんだけど見えない家族。家族の不在というか家族を願望の中でいびつに歪めている感じを受ける。この物話は、都会でなくて郊外を舞台にしたのが大きい。性格がすれてないだけに彼らが味わう特別が日常として当然あるような、そういうあやうさが郊外とはとてもマッチする。台風は時には閉塞を生み出し時には開放的な気分にさせる。これって思春期の子供たちそのまま。台風はそれともつまらない大人になる為の通過儀礼だったのか。自分にも中学3年生という時期があったのだと素直に驚く。大切にしたい映画である。 【Qfwfq】さん 9点(2004-08-05 00:26:23) |