1.《ネタバレ》 ラストのネタバレすんな、という注意メッセージが冒頭に出てくるので、なるべくそれに則って。全く触れずに感想を書くのはさすがに難しいのですが。でも、そのメッセージの書体からしてふざけてるような感じで、本編でもちょくちょくおふざけが顔を出し、ああ、やっぱり私の嫌いな堤幸彦作品だよ、と。
まず、ラストに明かされる真相、アレは「そういう事なんじゃないの?」って仮定して見てたらその通りだったので、意外性も何もなく、あーあ、やっちゃった、って感じで。やっちゃったのは映画側じゃなくて私の側ですが。ヘンにアレコレと読み過ぎて面白さを消してしまうっていう。
でも、見終わって考えると、その真相を隠すためのテクニックが随分とあざといんですね。映画のセオリーを破ってまで騙そうとしてます。ルール違反状態。
そして、もっと気になったのが堤幸彦って人の毎度の不真面目っぷりが結果的に映画を疑問や不信感たっぷりなものにしてしまう事。
ラスト、あっちゃんが随分と・・・に思えるような描き方になっているわけですが、でも、女性としてかなり一方的に傷を負ってるんですよね? そこをラストのアップで「でも、それはそんな大した事じゃないよ」って帳消しにしちゃってるように思えるんですよ。男が男なら彼女も彼女、みたいな扱い、オチを付ける事で軽い笑いへと転化されてしまうような無責任な姿勢。そうじゃないでしょうに。異様なテンションやバカくさいエフェクトも含めて、この人いつもそう。
80年代を舞台にした青春映画って事で、世代的には私はどストライクだったりするのですが、そのノスタルジーですよ、って要素は「だから?」としか言い様がなく。これ見よがしに並べ立てられたところで恥ずかしいばかり。シーンに合わせて流れる当時の歌なんかは特にそうなのですが(イントロちょっと聴いただけで曲名がすぐ判るレベルの歌の数々)、これは原作由来なようで、そっか、原作からして恥ずかしいのか、と。
全編、騙しのための細工と懐かしネタで散りばめられた映画、だけどその陰に隠されてしまった痛みや切なさ、そここそが本来は大切なんじゃないの?と思うのでした。世代的に、ちょっと馬鹿にされた気分。あっちゃんは良かったんですけどねぇ。