81.「火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護しろ!!」
映画のクライマックスで、自衛隊の師団長が言い放つ。
ふいにこの台詞のシーンを思い出すと、その度に無性にこの映画が観たくなる。
また思い出してしまったので、DVDを引っ張り出して、もはや何度目か分からないが「ガメラ2 レギオン襲来」を観た。
分かっちゃいたが、何度観ても面白い。
もう15年前の映画なので、特撮シーンやCGが現在の最新技術に比べて稚拙に映ることは確かだ。
しかし、それでもビジュアルの“見せ方”の巧さと迫力は“劣化”を感じさせず、怪獣映画として“類い稀”な世界観に没頭させてくれる。
この映画の何が素晴らしいかと言うと、「王道」を踏襲しているということに尽きる。
怪獣映画としての王道、パニック映画としての王道、ひいては娯楽映画としての王道をしっかりと表現していることが、この作品の価値を高める最たる要因だと思う。
日本の男の子なので、怪獣映画もそれなりに沢山観ている。
日本では長きに渡り数多くの怪獣映画が製作されているが、本当に面白い作品は少ない。
数少ない“良い怪獣映画”に共通していることは、「人間の目線で描かれている」ということに他ならない。
怪獣映画と言っても物語を進めていくのは人間なわけだから、人間の描写をおろそかにしては面白い映画になるわけがない。そして、巨大な怪獣を“巨大に見える”ように撮らなければ、怪獣映画としてのそもそもの意味が無い。
いずれにしても、「人間の目線」で描かれなければ鑑賞に堪える面白い映画になるはずがないと思う。
冒頭に挙げた台詞に表れているように、特に今作はその世界に生きる人間たちの活躍がめざましく、観ていて否応にも盛り上がる演出が冴えている。
ヒロインが科学館の学芸員だったり、主人公の自衛隊員も組織下の化学学校所属だったり、NTTのエンジニアが活躍したりと、SFとしてストーリーに説得力を持たせるキャラクター設定も光っている。
そういう人間描写の巧さとそれに伴うストーリーの面白味が、より一層に怪獣映画としての娯楽性を高めていると思う。
こういう怪獣映画がまた観たい。