76.《ネタバレ》 和製マクベスってことなんだろうけど、現代人から見るとありきたりに見えてしまった。また黒澤にしては不必要なカットが多いように感じ、したがって展開が遅いなーと思ってしまった。演技はすごい。 【なす】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-07-24 15:39:26) |
75.この作品のために作られた城のオープンセットをはじめとして、多くの馬や役者などからは、時間や手間、お金をかけているのが伝わってくる。こういった点は、黒澤作品ならではのゴージャス感として高く評価している。また、ラストでの、矢で串刺しになる主人公、鷲津武時の死にざまは、壮絶で美しく、そして迫力満点で、強く印象に残るものだ。しかし、その他の面においては、多くの不満が残る作品だったのも事実だ。まず、ストーリーに関して、理解はできるのだが、物の怪の妖婆の登場で見方が分からなくなってしまった。おとぎ話として観ればいいのか、実際にあったことのようにリアルな視点で見ればいいのか、それが僕の中で定まらないまま、作品が終わってしまった。つぎに、映像面に関しては、重厚ではあるのだが、シーンによってはバッサリ切れるだろうと思われるカットがあったり、明らかに間延びしているカットがあったりして、映像の流れと気持ちがシンクロ出来ず、気分が高揚しなかった。この原因としては、ゴージャスに作りすぎたために、編集段階で切り詰めることができなかったのかな、と勝手に想像している。それから、能などの伝統芸能を演出に取り入れていることに関しても、それが映像作品としての完成度を上げているかと考えると、疑問が残る。上記の、不要と思われるシーンやカットと同様に、その演出が、作品と僕の心のシンクロを阻んでしまったからだ。もっとも、これに関しては、伝統芸能に対する僕の素養が足りないのかもしれないし、この作品の公開当時と現在とでは、いわゆる一般大衆の、伝統芸能に対する経験値が違うのかもしれない。あと、人物描写で言えば、主人公の妻の浅茅には、最後まで強いままでいて欲しかった。主人公に主君の殺害を吹き込む前半と、殺害時に付着した手の血の幻を洗い流そうとする後半で、その描写が、明らかに齟齬をきたしてしまっている。最後に、音響面に関して述べてみたい。作品鑑賞の前にこのページを読んだところ、セリフが聞こえにくいとあったので、最初から字幕をつけて観ることにした。字幕によって、画面全体は観にくくなったが、ストーリーが追いやすくなったのは良かったと思う。それにしても、一番聞き取りにくかったのが三船敏郎の声というのは、意外と言えば意外だったかな。 【はあ】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-05-05 00:55:31) |
74.2015.04/23 3回目?鑑賞。第一印象は暗いなあ、重いなあだった。でも流石それでも段々画面に引き付けられる。なんと言っても矢を射掛けられるシーンの迫力には度肝を抜かれた。英国・シェークスピア「マクベス」 対日本・黒澤「謡・能・踊・舞・吟を含む日本文化」の感、強し。文学対映像の対決か? 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-23 21:53:29) |
73.《ネタバレ》 まさに演者の凄み、ラストの場面は壮絶。というか矢が次々に突き刺さるのはホント危ない。あの三船さんでも怖かったという話のようだけど分かるなぁこれは。結構無茶なことをしてると思う。演技半分素の恐怖半分、鬼気迫る表情は観る者を圧倒する迫力。そこを狙ったとすればさすが黒澤監督。お見事でゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-03-27 10:51:45) |
72.《ネタバレ》 オーソン・ウェルズの「マクベス」には及ばないが・・・あの怪奇幻想的な雰囲気が登場人物たちのドロドロした情念みたいで面白いんだけどさ、霧の中突っ走る場面は長いし、盛り上がりも少ない。 淡々と一つ一つ事を片付けていく感じだな。 一人の男が栄華を極め、そしてあっけなく滅んでいく。 こんなところに住みたい民はいねえだろうな。 だって城下町が無いんだもん。 夜逃げでもされた? ただラストシーンは壮絶! もうそこだけは何回も見たくなるね。 動くはずがない森が動き出し、絶望に暮れ始める鷲巣たち。 円谷英二の怪獣映画さながらの技法が、このおどろおどろしい映画を一気に盛り上げる! いままで散々上司や仲間を裏切ってきた男に、真の忠誠を示す部下は一人もいない。 一方で、苦楽を共にしてきた小田倉と義照には心で結ばれた部下を率いる。 いつも対照的な役柄を演じる三船敏郎と志村喬が魅せる光と影が如実に現される。 そして矢の雨が横から降り注ぐ凄まじい絵! マジで本物の矢をドカドカ撃ちまくる! 矢が首に刺さって苦悶の表情をする鷲巣。 まるで往年のサイレント映画さながらだ。 映画は鷲巣が崩れ落ち、強者どもの夢の跡を映す城跡が映り幕を下ろすが、撮影後に三船が本気でブチギレて散弾銃を武装して押しかけた話はあまりにも有名である。 いやあ、本気で監督を殺しにかかれる俳優、今の時代にいるかい?(何を言ってんだ俺は) 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 04:32:11) |
71.《ネタバレ》 凡百の日本の時代劇とは一線を画する哲学的なストーリーと、それを彩る陰鬱とした映像美はさすがに見事としか言いようがない。後の傑作「乱」を髣髴とさせるダークな世界観と、ラストそれを切り裂くかのように画面狭しと降り注ぐ矢の雨あられ。本当にその独特の幽玄の世界はとても良い余韻となっていまも心に残っている。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-08-16 17:19:14) |
70.《ネタバレ》 霧がたちこめ鬱蒼としたした感じ、最後の森が動くシーン、白黒ながらも 血の色や緑色を感じてしまいました。 ミステリアスなところがお気に入りです 【KINKIN】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-05-20 20:47:56) |
69.《ネタバレ》 黒澤映画としては最も重厚な作品。全編を貫く陰惨で怪異で重苦しい雰囲気。鷲津は権勢欲の虜となり主殺しと裏切りの罪を犯した。森の物の怪が未来を予言し、妻が謀反をそそのかしたということがあるが、根底には人間不信がある。戦闘と裏切りと死を繰り返す戦国の修羅の世に生きる武者にとって、人間性を失わずにいるのは難しい。人を信じることが出来ないで過ごす人生は、心が休まることがなく、灼熱に焼かれるような苦しみの連続だろう。物の怪の予言は戦死した武者の亡霊が復讐を企てたもの。鷲津が特別野心が大きく、心が弱かったわけではない。たまたま欲望の陥穽に落ち、魂が悲運の蜘蛛の巣に絡み取られてしまったのだ。 ◆原作では主人公は華々しく戦闘に討つて出て戦死するが、本映画では裏切りにより、刀を抜く間もなく惨めに射殺される。より惨めな死に様を提示することにより、道を踏み外した人間の愚かさ、因果応報の恐ろしさを見せつける。原作の洞窟の三人の魔女を糸車の老婆と武将の亡霊に改変したのも成功している。日本人にしっくりくるのだ。 ◆次の場面が省略されている。①北の館の前主が謀反に失敗し、自決して、部屋が血染めになる場面。②鷲津が眠っている主を槍で殺害する。③鷲津の使いの暗殺者が僚友三木を襲って殺す。④鷲津の妻の死産と狂ってゆく様子。最後にどうなるのか。⑤最終戦闘場面。何れも死を描く場面。考えて見れば、死が直接描かれるのは鷲津の矢だるま場面だけ。それでもいたたまれないほどの陰惨な印象が残るのは映像の力によるものだろう。白黒なのに血が夢に見るほど怖ろしく見える。凄惨な場面をあえて排除したのは監督の観客への配慮だろうが、どこか物足りなさを感じる。鑑賞後。どこかぶつ切り感が残るのだ。想像させるのは重要なこどだが、バランスが難しい。 ◆独特の映像美には讃嘆するしかない。それだけで十分鑑賞の価値あり。もし監督がホラー映画を撮ったら、とてつもなく怖いものが出来上がっただろう。 ◆違和感を覚えたのは、鷲津と三木の二人だけで森を抜けて城に向かう場面。いくら戦闘が終了したとはいえ、準戦闘状態にある中で大将が単騎で行動するはずがない。しかも別々の場所を守る二武将が揃って登城などありえない。二人だけ本隊とはぐれたなどの設定にすればよかった。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-01-24 22:03:36) |
68.《ネタバレ》 セットのスケールの大きさや、土の匂い、泥臭さは黒澤監督そのものなのだが、アップショット、静寂、間を多用して、まるで舞台劇を見てるかのような展開は、他の時代劇とはかなり異質に感じてしまう。 シェークスピアの舞台劇マクベスが原作で、原作の持つメッセージ性や雰囲気をそのままに、黒澤流の日本時代劇に仕立て上げましたという名作。 映像表現はさすがの一言で、監督の見せたい表現したいものが、ダイレクトに伝わってくる。 「映画」としては文句無く一級品なのだが、最初から最後まで、重い、暗いで、私好みの映画ではなかった。 やっぱ他の黒澤監督(とその仲間達)のオリジナルの脚本のほうがいいな。 【nobo7】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-11-23 18:47:32) |
67.最後の矢のシーンが印象的なだけで、よくわからない話だった。 【doctor T】さん [ブルーレイ(邦画)] 5点(2010-11-16 01:48:29) |
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66.矢が飛んでくるシーンは思わず声が出た。CGがない時代によくやるよなぁ、、三船敏郎が「俺を殺す気か!」と怒鳴るのもしょうがない。そんな命がけの三船さんには悪いが、蜘蛛巣城は山田五十鈴の映画なのかなと思う。「俺の心には何も無い」と言う武時に「それは嘘です」と返す浅茅。ここにこの女優の凄さが凝縮されている。「取れやしない・・・ 嫌な血だね~」 怖や。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-08-09 23:19:26) |
65.《ネタバレ》 ■これから見る人は字幕を付けた方がいいかと思います。それくらい聞き取りにくい。実際どういう陰謀が起きてて、誰が誰と対立してるのかも一回見てもよくわからなかった。 ■最初は人柄のいい人だった鷲津が段々転落していく。しかし肝はあの奥さんでしょう。奥さんがそそのかして悪い方へと転がっていく。手を汚す身と、それにくっついていればいい身とでは判断も変わるのだろうか。こういう展開は他の映画にも多い。しかしああいう女は本当に怖い。。。 ■ラストの矢が降り注ぐシーンは圧巻。冷静にみるとあんなに近くにまとめて射ていながら全部そろって少し右とかではずれるというのはもはやコメディだが。 【θ】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-07-22 01:57:48) |
64.山田五十鈴、とてもとても恐いです。富士山腹のセット、とてもとてもすごいです。昔の森の姿、とてもとても深いです。お侍の世界、いまの勤め人とまったくまったく同じです。人がものすごく手に入れたいもの、すべてすべて、とてもはかないです。 【きのう来た人】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-05 06:11:27) |
63.内容は黒澤ならではの脚色はあるものの、基本原作「マクベス」とほぼ同じ。 映像の迫力、不穏な音楽が醸し出す不気味な雰囲気は良かったが、ラストシーンまで読めてしまう展開のさせ方が少し残念。もう少し驚きが欲しかった。 三船の壮絶な演技はまさに「マクベス」そのもの。素晴らしい。 山田五十鈴の演技も素晴らしいですね。 同じシェイクスピアを題材にした黒澤映画なら個人的には「乱」の方が断然好みです。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-03-19 05:08:54) |
62.《ネタバレ》 弓矢、馬、森、妖怪…。もう、戦国時代を象徴するかのようなシチュエーションのオンパレードで、それだけで全く飽きることがありません。そこに印象的なSE、音楽がぴたりぴたりと嵌ってくる。お話よりも寧ろ、勢いだけで観せられてしまったという部分は、個人的に羅生門と似た印象。しかし、音声の聴き取り難いこと難いこと…。DVDで観てください 【j-hitch】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-03-04 01:45:27) |
61.《ネタバレ》 この映画を最初に観たときの感想は、「弓矢怖い」でした。 あの、テグスを使った弓矢の技法は、「七人の侍」で開発され、他の映画でも よく使われるので、珍しくないのですが、これは怖い。城門前で矢が遠方からヒュンと飛ぶあたりから始まって、最期の恐怖の場面へと続くわけです。 カメラが視点を変えると、小屋や亡霊が消えるあたりのテクニックも面白かったです。 この作品は、黒澤作品の中でも音声が聴き取りにくい一本。最近「羅生門」を修復しましたが、次はこちらをお願いしたい。 原作の『マクベス』もおすすめです。 【みみ】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-02-08 18:14:26) |
60.《ネタバレ》 山田五十鈴の演技は鳥肌が立つくらいのものでしたし、矢がささるシーンも迫力があったと思います(繰り返しはくどい)。 ただ森が動くシーンやおどろおどろしい描写には斬新さがなく、特に「森が動く」時というのは一番の見せ所でもあり、期待していた部分だけにちょっと残念です。 「血がとれないぃ!」の山田五十鈴だけで5点分くらいあげたいです。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-12-08 00:12:06) |
59.うーん、、期待していたほどじゃなかった。 そもそも、黒澤明と相性が悪い私は、黒澤作品に期待をしても無駄なのか、とさえ思った。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-09-15 19:37:03) |
58.同監督の同じシェイクスピア翻案物なら、「乱」の方がずっと良いと思う。こちらは中途半端に定型的な時代劇の枠内に収まってしまっている。オカルティックな部分の描写も、今日では幾多の後続作品に抜かれている感じ。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-09-07 02:01:18) |
57.《ネタバレ》 物の怪の妖しい雰囲気、鷲津や浅茅をはじめとする主人公の葛藤、畏れ、欲望、狂気など人間の本質がよく出ていました。 手を洗うシーンの異様さや矢が刺さるシーンの迫力、森が動く大胆な発想など傑作と呼ぶにふさわしい作品でした。 欲を言えば、ほかの人も指摘されているように邦画にも字幕をつけてほしいです。ヘッドフォンをしていても台詞が聞き取れません。 (2020年3月再見。海外の古典的名作を題材にしており、ストーリー性は見ごたえ充分。とくに序盤の物の怪の異様さは傑作。 ただし馬が行ったり来たりするなど昔の映画にありがちな冗長さがかなりあり、早回しで見たくなってしまう。 BSでも邦画は字幕がついているので分かりやすく、DVD等でも字幕つきでの鑑賞をおすすめする。) 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-05 14:12:52) |