65.《ネタバレ》 『雨月物語』は上田秋成の九編からなる怪異譚集だが、その中の二編をピックアップして再構築した脚本、モーパッサンの短編からもインスピレーションを受けているそうです。幽霊屋敷で男が女幽霊に好かれて憑りつかれるという原作『蛇性の婬』がメインプロットとなっていますが、これは『耳なし芳一』などの古くからある怪談のパターンで王道と言えば王道です。森雅之が体に梵字を書いてもらって危機を脱するところなどは、まさに『耳なし芳一』の影響を感じます。『雨月物語』は昔読んだ記憶ではもっと無常観というか辛口の語り口だったけど、全体的に教訓めいたお話しに落とし込んだ感が強いですね。これは溝口健二は人間の本性のダークな面を強調する脚本にしたかったけど、会社というか社長の永田雄一の要望でマイルドな方向になったらしい。その代わりというか撮影にはいっさいの妥協なしで、構図と言いカメラアングルも名手・宮川一夫のキャリアでも最高の仕事と言っても過言じゃない。田中絹代が落ち武者に槍で突き殺されるシーン、こと切れる田中の遠景の下方の田んぼでは落ち武者たちが奪ったおにぎりを喰らっているのがはっきり映っているのは驚愕のショットでした。はっきり言って日本人にはあまりインパクトは感じない題材ですけど、欧米人には絶賛され高評価を得ているのはなんか判る気がします。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-09-18 22:34:38) |
64.BS4Kシアターで鑑賞。(おそらく)綺麗に再現された映像は、モノクロながら驚きました。怖いタイプの日本昔話を見ているような話で、人間の欲望への戒めが描かれています。名作と云われていますが、なぜか私はあまり心に残りませんでした。京マチ子にもそんなに魅力を感じないし、映像ではなく内容に古さを感じたのでしょうか。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-06-08 06:33:31) |
63.とんだ通俗映画だ。どうしてこんなものを取り上げて喜ぶんだ。 雨月物語が泣いている。 【浅田荷葉】さん [DVD(邦画)] 2点(2019-03-25 14:55:56) |
62.《ネタバレ》 溝口の代表作で傑作。映像が凄い。これこそ、幽玄の美。京マチ子も凄い。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 9点(2019-01-04 22:56:37) |
61.もっと怪しげな雰囲気を期待していたんだけど。ストーリーも取り立てて面白くない。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-15 23:05:32) |
60.筋立ては皮肉と示唆に満ちていてなかなか面白いのだけど、場面進行があまりにもそのまんまなので、せっかくの筋が生きていない。今となっては、参考作品扱いだと思います。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-09 03:53:18) |
59.《ネタバレ》 出だしの古びた映像から始まって、主人公が謎めいた屋敷で怪しげな女のもてなしを受けるあたりまでは結構引き込まれます。しかし、武士になる夢を叶えた義弟が遊女になっていた自分の妻と再会して悔改めるあたりから、人間臭さが希薄になって教訓めいてきます。期待していただけにちょっと物足りなさが残ります。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-04 23:56:40) |
58.《ネタバレ》 家族との幸せが何よりも大事、というテーマに沿った映画だが、幻想的な面もあってなかなか見せるものになっている。 でも、古い映像が分かりにくさを助長しているので序盤は物語に入りにくい。 こういった分かりやすいストーリーは旧い映画の方が合う、とも言えるけど。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-05-01 23:13:11) |
57.地道に家族と一緒に暮らすのが一番、分不相応な望みは身を滅ぼすということか。 溝口健二監督の名作だが、琴線には触れなかった。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2014-04-26 22:18:32) |
56.ぱっと見で登場人物の外見の区別が付きにくく、途中で人物が混同してしまいます。 【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-03-26 20:10:30) |
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55.《ネタバレ》 溝口健二は好きな監督ですし、この作品も退屈せずに最後まで見れました。けれども「瀧の白糸」や「残菊物語」ほど惹かれるものは無かったです。少し説明的すぎる会話も多いですし、怪奇演出も「折鶴お千」などに比べると二番煎じ・・・なんて感じてしまいます。 時代は戦国時代ですが、おどるおどろしい雰囲気は平安時代の匂いが漂ってきます。真面目に焼き物作りに精を出していた筈の男女四人。でも肝心の男どもは妖艶な美女、成り上がりと殺し合いが魅力的に映る戦場へと行ってしまう。女たちは待ち続ける。ある者は娼婦に身を堕とし、ある者は夫の再会を待ちわびて死んで行く・・・この作品の男はみんな情けない。そんな中で本当に大切な物を思い出していく。そんな様子が人の心を打つのでしょうね。 妖艶な京マチ子よりも、常に献身的な田中絹代の方が美しく見える・・・溝口演出は恐ろしです。田中絹代の死傷率も恐ろしい。溝口健二は鬼です。悪魔です。でも大好きです。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-01-03 17:56:05) |
54.内容自体は多少おとぎ話っぽい雰囲気はあるが、予想以上にシナリオの出来が良かった。 この監督さんは演出にとても安定感があるし、キャスティングに関しては言うことなし。 田中絹代の地味で堅実なキャラと京マチ子の妖艶なキャラとの対比、しっかりと描かれたテーマ、 幻想的な映像とともに完成度の高さを感じずにはいられない。この世のはかなさを描いた秀作。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-04-12 12:02:07) |
53.《ネタバレ》 9篇から成る江戸時代の怪談集みたいな「雨月物語」から2編をピックアップして脚色した作品。兄弟とそれぞれの妻の物語。日々の暮らしとその総体としての人生の意味を感じさせる脚本だが、特に説教くさい感じはしない。外国の映画祭で賞を受賞している作品。外国から見ると「とても日本的」なのだろうと思える描写が随所に見られ、その部分の映像の完成度が高いことが評価に繋がっているのだと思いました。霧の湖上で船を進めるシーンの趣きや、あかりが灯った幽霊屋敷の不自然なほど端正な美しさなど。あんな情景を「幽玄」って言うんですかね。宮川一夫氏の撮影技術に恐れ入る。戦国の世で、身近に戦があることが農民・市民に取ってどれほどの災厄だったかを改めて教えられた気がしました。築いてきた「暮らし」が不条理に壊される恐怖みたいなもの。他の作品で何度も観ているようなシーンだけど、本作で殊更そこに意識が留まったのは、陶器の窯焼きシーンを丁寧に描写していたからか、「親子三人が楽しく暮らしていければ…」という台詞が耳に残ったからか…。江戸の「読み物」の映画化として、私には比較的サラッと観られた作品でした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-03-17 00:57:00) |
52.《ネタバレ》 白黒なのに美しい構図、ライティングを駆使した映像美で暗い幻想的なストーリーを効果的に表現したのが凄い。芸術性が高く当時の日本映画のクオリティを世界に知らしめたのもうなずける。アメリカに比べれば圧倒的に資金、機材が不足しているのに、緻密で繊細な職人芸で世界レベルの映像を作り出しており、今の「はやぶさ」に通じるものがあると思った。 【nobo7】さん [試写会(邦画)] 6点(2012-02-05 14:55:42) |
51.2011.7/28鑑賞。暗く重い作品のようでず~と敬遠していた。スタッフも充実、脚本:川口松太郎、依田義賢、撮影:宮川一夫、音楽:早坂文雄。意を決して観る。 印象として黒澤の「羅生門」と重なる。一言で言うと「羅生門」はカンカン照りの乾いた感じで、「雨月物語」は霧がかかった湿った感じ。よく感じが似ている。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-07-29 21:42:09) |
50.《ネタバレ》 溝口の映画では舟が出てくると、しっとりとした空気が漂い悲劇が起こる。『残菊物語』の舟乗り込みのような賑やかな舟も、けっきょく悲劇の進行を強調する背景でしかない。行方定まらぬような心細さが、悲劇を引き込むのだろうか。とりわけ本作は、此岸と彼岸の掛け渡しのような存在で、それ以前と以後の世界の違いを見事に表現していた。向こうの世界の幽玄、侍女たちが燭台を持ってくる朽木屋敷の空ろさと、こちらの家の囲炉裏の火の確かなぬくもりとの対比。欠点は小沢栄太郎の芝居のクサさと彼がらみのエピソードの浅さで、あの夫婦のあっさりした決着は投げやりと言われても仕方ないだろう。公開時の観客にとってはつい最近まであった戦後の世相が重なり、「戦地から帰ったら妻がパンパンになっていた」という身の上相談への回答といったレベルで受け止めた人も多いのではないか。しかしそれを補って余りあるほどに森=田中夫婦のほうのエピソードは見事で、森帰還のシーンが素晴らしい。こちらだって戦地から帰ったら妻が空襲で死んでいた、という現実と重なるが、それ以上の普遍性に達している。夫の帰りとともにフッと現われる宮木、そして朝日が差し込むまで家を守って消えていく。彼女はいっさい個人の無念も恨みも述べないが、より深い無念へと観客を導いていく名シーンだ。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-07-29 10:07:53) |
【ホットチョコレート】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-07-24 20:15:11) |
48.《ネタバレ》 昔の日本の作品らしいストーリーを日本らしさで装飾されていて好きな作品になりました。欲に惑わされ傷つき、やがて自分が本当にすべきことを認識するという話はありきたりですが胸に沁みます。宮木の最後の心の声に源十郎が戻ってきた嬉しさが籠っていて、それが伝わってき感動しました。またこの映画で使われている雅楽が良かった。どんな場面にも馴染んでいて音の幅の広さとか深さみたいなものを感じます。とにかく日本らしさに溢れる素晴らしい作品。 【さわき】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-07-22 00:38:49) |
47.《ネタバレ》 NHKでやってる「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本・家族編」の作品リストを見て、一番楽しみにしていたのがこの「雨月物語」だった。変に期待しすぎた反動か、多少、物足りない気持ちはあるが、貧しくとも家族そろって暮らせれば幸せだとか、人間の欲の愚かさ、虚しさだとか、言いたいことはよく分かった。(でも阿浜が娼婦に成り果てたのを、夫・藤兵衛のせいにするのはちょっと可哀想…) 溝口健二ならではの芸術性、宮川一夫のカメラワークも素晴らしいが、この映画はなんと言っても京マチ子だな~。笑うにしても、怒るにしても、その演技、そして表情一つ一つが強烈に印象に残る。この人は「羅生門」の頃から既に完成された女優だったというイメージがあるが、妖艶さに磨きがかかって一層、大女優の名にふさわしくなった。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-07-19 18:30:47) |
46.《ネタバレ》 京マチ子扮する良家の幽霊に見初められた男の怪談です。この世のものではない幽霊というものを、テクノロジーに頼らずとも表現し演じることができることの証明が本作であり、映像表現を貫徹する意志の強さを感じます。 【さめがい】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-07-19 12:55:31) |