23.もしかすると有名な話なのかもしれないけど、中盤でマルチェロがうるさいと言ってラジオを止めさせた「天使のような少女」が聞いていた曲は、ラストのストリップの音楽と同じ“パトリシア”だったのね。その曲に導かれて怪魚の海岸に「天使のような少女」が戻ってきたとも取れるわけか。この二つのエピソードは対照されているよう。少女もやがて喧騒の中でタダレていくぞ、という幻滅の予感なのか、あの曲にいざなわれてもまだ少女はなんとか怪魚の腐臭からは隔たっているぞ、という確認なのか。観るごとに発見のある映画だ。それはともかく、本作は以後続くフェリーニ・ワールドとでも呼ぶしかない偉大な山脈への習作って気がする。前作『カビリアの夜』までで、物語を語っていく才能は十分に証明された。しかし監督はそれに飽き足らなかった。ここから物語を壊していく映画群・真にフェリーニの世界が始まる。冒頭、キリスト像を引っ提げたヘリコプターの影が路上を滑りビルの壁面を這い上がっていき、物語ではなく映像で何事かを見せていく姿勢をはっきり示している。以後も、物語を語るまいという意志と、まだそれに代わるものが整っていない困惑とが、渾沌としたまま展開されていく。だからちょっとおとなしい。古邸探検のエピソードなんか、以後のフェリーニだったら人々のメイクがどぎつくなっていただろう(カラーだったらもっと青く)。スターに群がるパパラッチや聖母を見たという混乱あたりに、かろうじてフェリーニ的祝祭感が味わえるが、ラストのドンチャン騒ぎなどあんまりドンチャンしていない。早朝の噴水にあったような喧騒の後の静けさが、すでに疲れとともに忍び寄ってるみたい。だいたい海が本物の海だ。フェリーニ・ワールドへ向かう化学変化が起こり始めた作品って感じで、奇っ怪に変貌するかも知れぬ気配をみなぎらせつつ、かろうじて「普通」にとどまっている緊張、それが本作独自の面白さなんだろう。現代の馬鹿騒ぎの背後から忍び寄る古代ローマの影の静けさ、ってのは彼の重要なモチーフであり、ロータの音楽も何か古代ローマをほうふつとさせた(レスピーギ『ローマの松』の“カタコンブ”に出てくる五拍子の弦楽器の刻みに似たモチーフが聞こえたり)。『フェリーニのローマ』は、歴史を越えたローマ巡りという同じテーマに、カラーで再挑戦したとも言えそうだ。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-22 09:39:37) |
22.《ネタバレ》 何かを成し遂げたいと思いながらもズルズルと現実に流されて結局何もしない。この映画を見ている誰もが思い当たる事だと思う。作家志望の主人公は、そんな我々の姿を反映している。甘くない、苦い映画だ。 【amicky】さん [地上波(字幕)] 7点(2011-09-24 07:42:33) |
21.《ネタバレ》 これは、はっきりいって、よく解らない。というより、おもしろくないという形容のし方が、わたしのホンネです。(逆に2001年宇宙の旅はそういう意味では、解ります。)そして、コレの”映像の良さ”がわからない。 小学5年生の頃から、映画の年鑑みたいな本を持っていたので、”ナンジャコレは?”と意味不明でも、その年鑑に解説がされているので、さも、自分で理解したふうに、なってしまうのです。ローマの最先端の階層の混沌と退廃のせいかつ。ラスト、救いの少女からも、背を向けて、自分の行き場に帰ってゆく主人公。 最近、観て思ったこと。それがどうした??ということ。彼はラストで、なにも、地獄へ死にに帰ってゆく訳では、もちろん、ナイ!!じゃ、なにが悪いの?なにか、問題ありですか?もちろん、なにも、問題はない。マルチェロはそのまま、自分の生活をつづけてゆくだけだ。腐った魚になるわけでも、もちろんナイ!(少なくとも、映画のラストまでは)まあ、酒、たばこ、オンナ、夜更かしの生活は、あんまり長生きできないかもしれませんが。少なくとも、わたしが、主人公なら、映画でみるかぎりなら、苦悩はないし、問題ナシ。むしろ、仮にマルチェロが長生きしておじいさんになった時、ワシも若いころはちょいワルでな!なあんてフツウに、ほざくのではないか?”ローマのデカダン!”なんて、こう書くと、なんか、芸術チックでしょう?みたいな、、、、、、、?? マア、”宗教”も絡んでいるようなので、ワラヒにはサッパリ!! (ドルチェヴィータなんて言うから、訳わからんくなるのよ!すいーとらいふでよろしい!!) 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 3点(2011-08-03 01:35:51) |
20.《ネタバレ》 近年、フェリーニの評価がだんだん下がってきた様な気がしますが、50年前に撮られた本作を観直して改めてため息が出ました、「あんたやっぱり凄いよ、フェリーニさん」。 ストーリーなぞあってなき様なものですが、ひとつひとつのエピソードが独立して一編の映画に出来そうな濃厚さです。 マストロヤンニを見てると、50年経とうが500年過ぎようが人間の本質は変わらないのだなと思います。 きっと誰もが腐った魚と隣り合わせで生きているけど、なかなかそれに気づかないものなのですよ。 【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2010-08-04 20:48:12) |
19.オープニングのざわめき、退廃的なエンディング。その間をつなぐ断片的なストーリと映像美、所々に目に飛び込んでくるローマの街並み・・・冗長とも思える。しかしその余剰と思われがちなシーンがこの映画の醍醐味。ストーリー性重視で見ると足元をすくわれる。 【円軌道の幅】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-28 16:53:16) |
18.セレブな方々のお話では、貧乏人の私にはピンと来ません。酒は飲めないしバカ騒ぎは嫌い。それと長い。スタイナーや父親とのエピソードはよかったので、その辺を中心に2時間程度に収めたら、印象が変わったかも。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-11-03 17:34:18) |
17.ゴシップ記者のパパラッツォがパパラッチの語源って本当? 私には理解できない上流社会、しかもストーリーも難解。 でもこれだけ自己中心で退廃的、厭世的、刹那的な作品も珍しい。こちらの気分が悪くなる。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-16 18:07:41) |
16.長かったが、当時のイタリアのセレブ階級の人たちのドキュメンタリーをみているよう。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-08-09 22:06:19) |
15.フェリーニの描いたローマ。 さまざまなイメージが観る者の頭をかすめてゆく。 ヴェネト通りの喧騒、突然田舎から訪ねてきたマルチェッロの父とその背中、死んだ友人、、、。刺激的な様々の出来事が、パズルのピースを組みあわせるようにローマとマルチェッロを形作ってゆく。 それを見る俺は、ローマを知らないのでわからない、どこまでが本当で、どこからがフェリーニの頭の中なのか。そういう映画の曖昧さにピッタリなのが「甘い生活」であり、フェリーニの映画たちなのだ。 2011/02/10 全文改訂。 【kagrik】さん [映画館(字幕)] 10点(2008-12-16 23:07:28) |
14.《ネタバレ》 これは物語というようなものがあるようであり、ないと言った方が良い。はっきり言ってハリウッドの大作にしか興味のない方は観ない方が良い。観たら間違いなく退屈で眠くなり、二度とこの監督の映画など見るものかとなること間違いなしです。色んな国の映画に触れてから見ることをお薦めしたい。それは他のヨーロッパの監督、例えばヴィスコンティやベルイマンの映画と同じでけして、楽しい映画ではございません。この監督らしい人間の孤独のようなものをイタリアはローマの美しい街並みとそこに流れる空気、それはこの映画の場合だとだらしのない主人公とそんな主人公に関わる女達、流れる空気はけして、甘くはない。むしろタイトルとは反対に人生は厳しく辛いものであるとこの映画を観ると思わずにはいられなくなる。厳しいこと、辛いことが多いからこそ人は幸せを求めようとするものである。主人公マルチェロは甘い生活を求め奥さん以外の女とも関係を持とうとするが、それにより自分も奥さんも別の女も不幸へとなっていく。人生に甘さを求めれば求めるほどどんどん苦しくなるというまるで映画のタイトルを皮肉ったかのようなどこまでも惨酷であり、ラストのあの魚の眼の不気味なまでの表情にこの映画の怖さが描かれているようであり、また、この映画の前半のグラマー女優シルビア(アニタ・エクバーグ)とマルチェロのやりとりなどはフェリーニ監督からのワイラー監督へのオマージュ、あの名作「ローマの休日」を思わせる。この監督のローマに対する拘りのようなものも感じることが出来る。何度も言うように笑ったりワクワクしたりと楽しい映画ではない。そういう楽しさだけを求める人には向かないということを覚悟の上に観ないと絶対に途中で見るのを止めたくなります。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-10-25 19:35:03) |
|
13.《ネタバレ》 どうでもいい人達のどうでもいい内容の話で全ての言動は、最後のポニーテールの少女の美しさや尊さを引き立たせるためだけの役目でしかありませんでした。入り江を隔てた隙間がマルチェロ達と少女の住んでいる世界の差。向こう側に行こうと思えば行けた距離と水位であったにもかかわらずマルチェロは行こうとしなかった。それによって、彼が友人の死や日頃の退廃的な生活によって人と向き合い会話をしようという、記者にとって大切なものを失ってしまったという事が表れていた気がします。また、死してもなお何かを見続けようとする魚と友の死から目をそらしドンチャン騒ぎをして現実を見ようとしなかったマルチェロの対比。悲惨な描写ばかりでしたが、ラストの少女の満面の笑みからはそれらの憂鬱さを全て吹き飛ばすほどの力強い美しさ、希望を感じ、それが唯一無二の救いになっていました。今作が初めて観たフェリーニの作品でしたが彼が「映像の魔術師」と呼ばれている理由が少し分かりました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-02-12 11:03:16) |
12.《ネタバレ》 「185分」という非常に尺の長い作品。 本来、私は長尺の作品は苦手としているのだが、本作品は例外。 退廃したローマの風俗を余すことなく味わうことのできる本作は、感動的ラストシーンを持って終焉を迎える。 不毛で乱痴気なパーティが終わった後、主人公は気だるい体を引きずって海辺へと向かう。 そこで顔見知りの少女と再会する。 その海辺における、「主人公と少女との再会シーン」はあまりに素晴らしすぎる。 そして、あまりに眩しすぎた。 やっぱりフェリーニは凄い。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-03 16:06:50) |
11.《ネタバレ》 馬鹿な大人のやるせなさ、何かストーリーあるの?って感じのよく分からない映画ではありますが、何故こんな長丁場をグイグイ引き付けるのか? とにかくオムニバスか?と思わせるほど、クールな映像(シーン)と音楽が完璧に並列だ。ある意味起伏の無い構成が現実的で余計に締めつけられるのだ。そして酒と女と婚約者、老いた父親と少女の瞳、爽やかな自然の光も時に眩しすぎて辛い。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-04-22 23:37:13) |
10.んー。。。これは合わなかった。確かに映像は美しくて艶かしいし、おもしろくないわけでもない。フェリーニが言いたいこともわかったと思うんだけど、「あーあ……。で?」という感じ。 これはまだ僕が21歳の若造だからでしょうか…。 |
9.《ネタバレ》 美しい映画です。映像も、音楽も、出てくる役者さんも全てが退廃的で美しく、約3時間非常に素敵な雰囲気に浸ることができました。(アヌーク・エーメいいですね。) 心の中ではそこから脱け出したいと思いながらも、退廃的・享楽的な生活を送っている主人公の姿には惹かれるものがありました。(マルチェロ・マストロヤンニの演技が素晴らしいです。) 【TM】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-04-16 21:40:02) |
8.《ネタバレ》 三時間弱はある映画なのに、これほど短く感じるとは思わなかった。あの少女が出てきた時、ラストでこの娘が救ってくれるに違いないと思ったんですけど、また退廃的な甘い生活に戻っていくわけですね。それにしてもフェリーニの映像とニーノ・ロータの音楽が組み合わさったときの麻薬性はすごい。まだまだケツの青い僕がこの映画の魅力を100%理解しているわけはないですが、ほんとに完全に時間を忘れて楽しめました。今なら81/2を前より楽しめる気がする。 【アンダルシア】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-02-01 06:16:24) |
7.退屈で退屈でしょうがなかった。この映画の良さが分かる人間に早くなりたいです。 【リーム555】さん 1点(2005-02-21 19:08:08) |
6.しまった、やられた(笑)。マストロヤンニ側で彼女を見つめちゃったよ~(TT)。 【ジマイマ】さん 5点(2005-02-19 21:31:59) |
5.いいなあ眠らない街ローマ!「甘い生活」でも良いけど、ドルチェ・ヴィータの方がなお良い。ビデオでしか見てないので自分にマイナス1。 【みんな嫌い】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2004-10-24 00:09:08) |
4.この映画に関しては芸術だと思います。 声が聞きたい。(ビデオ) 【zero828】さん 10点(2004-02-23 02:37:39) |