9.「彼岸花」での山本富士子と浪花千栄子のコンビを観ても明らかだけど、小津の様式化された画調に関西弁が加わると、なんか画面全体に弾みが出て演技も生き生きして見えてくるので不思議。それだけに何故か原節子だけが標準語なのが気になります。当時の東宝スター総出演といった趣で、芸達者な出演者たちを生かす為エピソードが分散化して何となく総花的になっちゃってるけど、これはこれで愉しめました。これ観るとあんな立派な日本家屋の廊下を素足で歩いてみたくなりますよね。煮ても焼いても食えない鴈治郎翁の存在感は抜群です。でもラスト近く、野辺送りのシーンで流れる観客の不安感を増長させる重厚な音楽は何だったんだろう・・・? 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-04-02 11:25:47) |
8.後期の小津の映画の中でも、あまり好きではない方です。中村鴈治郎と小津というのが個人的にはダメでした。笠智衆と原節子の間のある感じ、悪く言うとテンポがよくないのですが、そういう小津を好きだったので、物足りなかったです。 【omut】さん 5点(2005-02-22 09:10:31) |
7.実に美しく整えられた構図で、いくらでも眺めていられそう。京都の町家、風に揺らぐ簾、大小並べられた丸桶、開け放たれた襖越しの景色など等堪りません。造り酒屋の大旦那、女好きで競輪好きのデタラメ親父であっても一家をそれなりにまとめて束ねていたのはこの親父であり、彼の死と共に一家はそれぞれの方向へと進んでいく。その前途をなんとも重厚で重苦しい音楽が現している。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2004-10-17 16:43:05) |
6.中村雁治郎氏が出演されていると、小津映画でも軽快さが加わってなかなかとっつきやすい。雁治郎氏は歩くだけで、どこかユーモラスで味わい深い。笠さんはどこに出演しているのだろうと思っていたらラストの方にしっかり出演されていた。ほんのちょっとの農夫の役だったが、素晴らしかった。 【柴田洋子】さん 9点(2004-02-07 09:21:30) |
5.役者陣の絶妙な演技、各場面の鮮やかな色彩、人間臭さの感じられるストーリー…。登場人物が多く、複雑な人間関係を理解するのに少し手間取りましたが、実に見事に作られていると感じました。小津映画はともするとその平淡さが退屈に感じる作品も多々ありますが、この作品はビギナー向けというか、分かりやすく楽しめると思います。 【プミポン】さん 6点(2004-01-16 00:57:06) |
4.中村雁治郎氏の息子さんがお父さんそっくりなんです。この間息子さんの写真を見て、中村雁治郎さん、いまだご健在かと一瞬思ってしまいました。 【ロイ・ニアリー】さん 9点(2003-12-12 12:19:23) |
3.とにかく絵の綺麗さに唸った。家の中や路地や自然のなんと美しいことか。鴈治郎の旦那振りもいいね。あの雰囲気はやろうと思ってできるもんじゃないス。 【黒猫クロマティ】さん 7点(2003-12-10 15:44:55) |
2.人生の無常こそ小津のテーマでしょうがこれにも現われています。人間の生死をさらっと描いているところなんか小津の人生観が集約されているんじゃないでしょうか。 【たましろ】さん 8点(2003-11-27 22:33:16) |
1.《ネタバレ》 今見ると名優・スター俳優がぞろぞろ出ていて、さながら俳優博物館のような感じ。中村鴈次郎、浪速千栄子、杉村春子、森繁久弥などなど・・大旦那の鴈次郎と小早川家の人々、その他多くの関係者たちの人間関係や日常生活を軽いタッチで描いていく。軽快な話がラストは主人公の死で終わるが、墓石にからすのシーン、葬列のラストシーンなど音楽も不気味な感じ。この作品完成の翌年に母の死、2年後には監督自身の死がある。そんなことを予感させるような感じがもする。農民で第三者のちょい役の笠智衆と妻の望月優子が火葬場の煙を見て言う。「若い人でなければいいが」「死んでも死んでもまた生まれてくる」「うまいことできてますなぁ」とつぶやいて、繰り返される人の生や無情をストレートにセリフにしている。 【キリコ】さん 7点(2003-11-03 14:30:13) |