87.《ネタバレ》 原作は結構長いのですが、うまくまとめてわかりやすくしていたと思います。というか、むしろわかりやすすぎ。調べていくと最後には恩田幾三と神戸にたどり着くので、過去の事件については見当がつきやすいでしょう。そこから現代の事件もわかろうというもの。途中で観客に真相が見抜けるというのは、前作『犬神家の一族』と同じです。それにしたって、動機は弱いけど。 が、今回は、ストーリーを追うのに手一杯で、人物描写はそれほど深みがない。仁礼家と由良家の対立とか因縁もあまりピンとこないです。ドラマ部分に関しては磯川警部に一任したようで、金田一との交流とか(一緒に自転車に乗るシーンがイイ)、リカさんへの思慕とか、その辺りが見どころでした。若山富三郎をキャスティングすることで、ドラマとしても見られるものになったかなと。岸恵子があんな田舎の旅館の女将というのは、まったく合ってないと思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-05-12 20:17:10) |
86.《ネタバレ》 横溝正史と言いますと、何と言っても「獄門島」。俳句の通りに見立てられた3つの殺人、そこには様々なトリックが凝らされていて、まあ実に見事ですね。それから10年ほどして発表された「悪魔の手毬歌」で、歌詞通りの殺人というテーマがまた取り上げられますが、さすがにそこまでトリック三昧な内容ではなく、どうしても二番煎じの印象が拭えません。それでも「なぜそんなところにサンショウウオがいたのか?」といった魅力的な謎を提供しているのは、さすが、ですが。それに、3つの殺人というところまで「獄門島」と同じなのは、いわば作品自体が「獄門島」に対する見立て、とでも言いますか、一種の目くらましなのかも知れません。で、それを映画化した本作、市川&石坂シリーズでは犬神家に続く、第2作です。一にもニにも、古民家のもつ侘び寂びの雰囲気が、懐かしいようなコワイような感じがして、いいんですね。ですが、被害者でもあり容疑者でもある登場人物たちを、犬神家ほどうまくは描き切れていない気もします。登場人物の印象が薄いせいで、発生する殺人事件のインパクトも薄くなる(極端に言えば、「今回殺されたオマエ、誰だっけ?」とツッコミたくなる)。その分、若山富三郎演じる磯川警部に映画の力点が置かれることにもなるのですが…。あるいはこの、オドロオドロしい「悪魔の手毬唄」というタイトルをミスディレクションに使って、それとは正反対のロマンスを描こうとしたのがこの作品、なのかもしれません。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-04-13 10:07:35) |
85.《ネタバレ》 人が死んでも動揺せずに笑顔でヘラヘラしている岸恵子が犯人だろうなという事が、前半でわかってしまうのだが、これは岸恵子の演技の問題なのか?演出なのか?と悩んでしまう。 田舎の民話・因習的なおどろおどろしさのようなものは伝わってくるものの、ストーリーとしてたいしてオモシロイわけでもないし、ミステリーとしてはどうなんですかねえ。 |
84.これが白石加代子の映画デビューだとずっと思い込んでたが、今確認したらこの前に「さそり」シリーズの一本で出てるのね。なんか「王女メディア」を連想させるような凄まじい役で、見てないけど彼女の狂気演技が想像できる。で本作だが、当時私は動いて演技をする彼女を見るのが初めてだったので、おそるおそる期待とともに観賞した記憶がある。雰囲気充満だけど、意外におとなしい印象。「白石加代子」を突出させず、崑さんの作り物の世界にピタリはめた、と感じた。日本的怨念をジワッと過剰に滲ませる人で、崑さんがもっぱら日本的な装置にバタ臭い女優(岸恵子とか草笛光子とか)を配置する趣味なのに、さらに逆の方向からアクセントを一つ加えてアンサンブルに厚みを出している。草笛光子はこのシリーズを通しての助演女優賞ものだと思っているのだが、おどろおどろしい日本的情念の世界に和服の草笛光子を配置すると、全体の「作り物」感が際立つ。そこにさらに背景であったおどろおどろしさいっぱいの白石加代子を置くと、調味料に砂糖と塩を混ぜて入れたようで、コクが出るんですな。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-03-01 09:20:08) |
83.映像は古くて不気味。話は分かりづらく、方言が聞き取りづらい。それでもこのなんともいえない雰囲気が好きなら楽しめるのかもしれない。自分には無理だった。 【もんでんどん】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-02-28 13:40:01) |
82.《ネタバレ》 この雰囲気、胸を衝く音楽に絡め取られて痺れる。日本の鄙びた田舎の因習がもたらす妖気。色の無い山道を、金田一が歩く印象的なシーン。真っ黒でまっすぐな杉が愛想無く林立する山。ラストでわが子を殺した岸恵子が半狂乱で走る、彼女を取りまくのがまた山だ。ずっしりと暗くて陰気な。怖い、怖いです。女たち、母も娘もみな哀れで切ない。岸恵子の嗚咽、呆然自失の若山富三郎、目を丸くして困惑顔の石坂浩二。娘たちの死に様とか、半分あざで覆われた顔とか、今ではお祭りのお化け屋敷のようにしか見えないけれど、人物たちの織り成す人生の哀しさが、興味本位の猟奇を凌駕する。怖いといえば居るだけで怖い白石加代子も強烈。あと、字幕で“総社”って出るだけでぞくっとするのは何故だろう。 【tottoko】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-10-11 00:25:54) (良:1票) |
81.オカルトの要素がないのに、こんなにも気味が悪いなんて。 【センブリーヌ】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-05-20 04:09:57) |
80.《ネタバレ》 原作は「八つ墓村」に次いで好きだったけど、映画は(新旧の「八つ墓」より)こちらの方が良く出来ていると思います。市川崑のカット割りは芸術的というより職人技を極めた趣きです。矢継ぎ早に台詞を繋いだり、意味が無いような短いカットを挿入したり。それらが面白い味になって、この監督独特のリズムを生み出しています。それと、岸恵子の存在感が際立っています。映画化された横溝作品の真犯人は女性が多いけど、その中でもピカイチだと思います。金田一耕介って実はたいした働きをする探偵じゃない。事後に顛末を説明する解説者です。だけど、このシリーズは探偵の快刀乱麻ではなく、猟奇的な連続殺人の描写が見どころになっていて、探偵は事件の裏にある事情を斟酌する人間味で勝負しています。かなり珍しいタイプの探偵さんだけど、不満は無くてむしろ好き。石坂浩二はハマリ役でしょう。ちなみに、異母兄妹が魅かれ合ったからって、片方を殺すことはないと思いました。兄貴の方に事情を説明すれば済む話かと…。その兄貴役の北公次だけが、どうしてもダイコンに見えました。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 6点(2012-04-30 21:14:40) |
79.金田一シリーズはこれが初めての鑑賞。前半は登場してない人物の名前も含めて次々に情報が出てくるので頭の中で整理しきれなくなり一時停止をして紙に書いて整理しながら見ました。何気なく観ていると流れについていけなくなり置いてきぼりを食らってしまうかもしれませんのでご注意を。(まあ途中で金田一が紙に書いてくれるのでわかりますけど)推理がどうのというよりインパクトのあるストーリーが面白いですね。金田一と依頼した刑事のキャラクターもなかなか味があってよいです。 【映画大好きっ子】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-04-25 18:30:56) |
78.《ネタバレ》 金田一耕助というのは、追っかけ追っかけ事件を解決する「防御率」の低い探偵として知られている。全部とは言わないが、彼の事件解決法は多くの場合、昔の事件の資料や証拠を現場ではない場所へ行って調べてくる、というもので、他の名探偵と比べると論理によって「コレコレこうだから、それしかありえない!」という推理の見事さがない。そこの所はミステリの醍醐味の一つだから、原作を選んだ時点での大きなハンデといえる。前作『犬神家』の場合は、そんなもの無くても、事件そのものに魅せられるドラマ(愛という普遍的テーマ)が有ったが、今回の事件は状況があまりに特殊で、そういう部分で感動を得るのは難しい。息子が異母兄妹と結婚する羽目になりそうでさあ大変、というのではちょっと心動かされない。 また、これを言ったら酷かもしれないが、事件とその周辺事情が前作ほどシンプルでないため、これだけの時間を使ってもまだ、描き足りない感じが残る。殺人を手毬唄になぞらえる意味とか、里子が入れ替わる部分とか。なにかバタバタとイベントをこなして、事件が解決したような感じ。まあ、それだけ原作に無駄が無いという事かも知れないが、2時間半の映画にするなら、それなりの収拾選択というか脚色・潤色が必要だったろう。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-04-23 17:57:55) (良:1票) |
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77.《ネタバレ》 前作「犬神家の一族」などのインパクトはないものの、これはこれで面白く拝見致しました。岸恵子がやはり美人でいいですねぇ。殺人だなんて、一番縁遠そうなキャラが、実は犯人であるというオチ。いや~読めなかったです。ヴィジュアル的に、葡萄酒に入った死体とか、人形みたいなのが手まりしてるシーンとか、ぎょっとするような怖さがあります。そしてとても切ないストーリー。あの息子さんが不憫でなりませんわ。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-27 17:05:50) |
76.《ネタバレ》 犬神家の一族に続き鑑賞。前作よりちょっと複雑な人間関係でしたね。出生の秘密が直接謎の核心に迫るので、なかなか全容が掴めませんでした。そんな中で興味を惹きつけるべき重要な役割が死体のはずなんですが、今回はそれほどへんてこりんな殺され方がなく、映画全体がちょっと冗長に感じました。とは言え役者さんの存在感はさすがのもので、若山富三郎さん、岸恵子さん、加藤武さん、みなさん画面映えするいい役者さんたちですね。手毬唄の必然性、殺人の動機などには不自然さが否めませんが、十分に楽しめる作品だと思います。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-24 20:16:17) |
75.横溝正史原作の映画の中では、一番好きな作品。 よくもまあ、あれだけの長編をうまくまとめたものである。 最高傑作と言われているのは後から知ったのだが、十分納得できるというもの。 文明社会から隔離された鬼首村、村に伝わる手毬歌の歌詞になぞらえた奇怪な連続殺人、 どろどろとした人間関係と、もう横溝節が炸裂。 原作自体が面白いこともあるんだろうけど、完成度の高い脚本、演出を含め、 映像化させた制作者たちに拍手を送りたい。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-21 06:26:57) |
74.《ネタバレ》 好き度合いは「犬神家」と甲乙つけ難いのであります。 久しぶりにDVDで鑑賞しました。 宿で待つ耕助の元へ磯川警部が訪ねてくるシーンだけで早くも泣きそうになります。 「やあ」とかけるその声と表情だけで,この二人がどれほど深い信頼関係で結ばれているかが表現されています。すばらしい演出だと思います。 横溝正史の一連の金田一シリーズに親しんだ者は「本陣」「獄門島」「八つ墓村」等の難事件で共闘した二人の久しぶりの再会という目で見てしまいますからなおさら万感胸に迫るものがあるわけです。 自転車に二人乗りしてゆるい坂を下りながら言葉を交わすシーンもたまりません。 【まきげん】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-07-25 13:39:29) (良:1票) |
73.原作は横溝正史作品の中でも一、二を争うほど好き。意外と御都合主義的な解決が多い横溝作品の中でもしっかりとロジックが練られているし、結末の余韻も良い傑作と思う。しかし、映画の方は、映像的にどうも犬神家の二番煎じ的な香りを拭い去れず、かつ、犬神家よりパンチが足りないように思う。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-07-09 14:12:35) |
72.《ネタバレ》 映画化された金田一耕助シリーズの中では、この作品がダントツの1位です。その理由はやはり岸恵子の素晴らしい演技力。でも殺人の動機が・・・。気持ちはわからないではありませんが、ああいう理由で次々と人を殺しますかねぇ・・・? 【ramo】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2011-07-08 23:03:41) |
71.《ネタバレ》 一連のシリーズ観ましたが、やはりマンネリ化は否めない。石坂金田一は全5作品ですが、このくらいが丁度良かったのでしょう。個人的には「犬神家の一族」「獄門島」「病院坂の首縊りの家」「悪魔の手毬唄」「女王蜂」の順。ちなみに金田一の髪はカツラじゃなくて自毛だそうです。石坂浩二は撮影のために10日くらい洗髪しなかったとあるけど、本当かいな。しかし、今回のヒロイン(仁科明子)は出番も少なく影が薄い。「女王蜂」の中井貴恵よりはマシですが。全体評価は5点ですが、岸恵子と若山富三郎に+1点。青池歌名雄の配役に-1点(とても複数の女性に慕われるように見えん)。最後の金田一の質問に対して、磯川警部が聞こえぬふり、金田一を乗せた列車が走り出す、小さくなっていく磯川警部、その手前にさり気なくだが主張するように『駅名』が、つまりそれが答え(偶然か、いや偶然じゃないと思う)。そのエスプリの効いた演出に、大笑いさせてもらったので、+1点!! 【LORETTO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-05-27 07:59:53) |
70.《ネタバレ》 横溝正史の金田一耕助シリーズで、私の一番好きで作品で一番悲しい物語である。 この映画は市川崑、石坂浩二、岸恵子それに若山富三郎という名監督や俳優陣が勢揃いすることによって生まれたのだろうと思う。 最初見た時は、鬼首村の手毬唄と謎解きに興味を引かれたが、2回目3回目と回数を重ねて鑑賞していくうちに、青池リカの心情に引かれるようになった。 「歌名雄さん、どんなに好きであっても、兄妹は結婚できないのよ」と言えれば良かったのだが・・・。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-03-01 17:22:46) |
69.他の作品と観比べてロケーションが大人しい(といっても本作も充分美しいが)かな・・・?とか、「いョうし、わかった!」は多めだが、胃薬の舞いは大人しかったりで、全体的にやんわりとした印象。見立殺人も猟奇的・・・だったかな?ま、こんなものか、みたいな。然し、若山富三郎の存在感が凄い。甘めの善哉の塩の様な、ボケ気味のピントもクッキリ。やっぱ、このシリーズ、面白いです。常田富士男の汚れ役も、そういえば新鮮でした。笑。 【aksweet】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-17 00:04:48) |
68.《ネタバレ》 「犬神家の一族」の大ヒットを受けて翌年に公開された横溝正史原作による金田一耕助シリーズ第2作目となる今作も前作同様、奥の深い作品に仕上がっている。単なるサスペンスではないそこにあるのは明らかに家族の物語であって、市川崑監督らしい美しい映像の世界を作り出している。シリーズ史上最も切ない上に犯人、岸恵子演じる青池リカの悲しさが身に染みる。腹違いの子をも怨んで殺すことの苦しさ、そんな青池リカが自分を愛している男、磯川警部(若山冨三郎)の前で涙ながらに自分の胸の内を苦しみながら話す場面、「夫を心底憎めたらあんなことにはならなんだ。酷い男と解ってても好きやった。忘れられまへんのや」て言う場面、それを近くで見ている磯川警部、この二人の思いが物凄く悲しくて涙なしには見れない。岸恵子の存在感ある犯人像、映画史に残る忘れられない犯人像、観れば観るほどどんどんこの作品が好きになってくる。もう、この映画の影響からか?前屈みで歩いてる老婆を見ると全部、青池リカだと思えてしまうぐらい重症です。初めて観た時の強烈さ、インパクトでは「犬神家の一族」のが上かもしれないけど、物語としての完成度、犯人への同情、刹那さ、悲しさなど含めるとこの「悪魔の手毬唄」のが総合的に見て上のような気がしてならない。最初は8点にしたけど、今では満点にしたいぐらいこの作品が大好きでたまらない。よって8点から10点へと変更します。 【青観】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-07-16 19:58:51) (良:3票) |