36.《ネタバレ》 黒澤監督はこれが遺作だともちろんわかって撮っていたのだろう。題名が題名だもの。人生の最後にきて内田百閒。それでも、天下の黒澤監督をもってしても、内田百閒の魅力を描くのは難しすぎたのかもしれない。内田百閒は難しいなあ。どうしてまたあんなに頑固で我儘で、鬼のような怖い顔をした子どものような男をみな愛するのであろうか。内田百閒を読破してからこの映画を観たら、楽しくて楽しくて仕方ないだろう。だがそれでは映画としては成立しているとはいえない。ただノラが失踪して、先生が捜してくれた皆に礼を言う場面。先生の言葉に奥さんが思わず泣き出すシーンが秀逸だった。こんな繊細な感情を私は言葉では説明できない。このような感情を、果たして、たとえばアメリカの人は理解できるのかな?と思った。やはり黒澤…と寒気がした。マニア向けの映画ということで、この点数を。 【はちかつぎひめ】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-02-14 19:12:54) (良:1票) |
35.《ネタバレ》 ユーモアへの回帰。「まあだだよ」と言って優しくなった。あの4人の中に所ジョージがいることで、TVっ子の僕としては非常に見やすかった。『影が怖い』『猫がいなくなって尋常なく落ち込む』という、人間の、生物の原初的な感覚を優しく描いた映画だと思う。こう…「姿三四郎」から「まあだだよ」まで。一気に観て(幾つか未見アリ)感じたのは、黒澤明って感覚の王道をいってるなあと。若いときはオラオラのガンガン。力強いメッセージ性をエンターテイメントに封じ込めるという、20代の僕としては「やったぜ黒澤!」的な作品。なんていうのかな。徐々に社会に訴えることから、人を認めはじめるっていうんでしょうか。「なんとかしようぜ!」ってところから「まあそれもそうかなあ」にシフトしていく、みたいな。ヒューマニズムの表現方法が変化していくのが興味深く、それが僕にとっての黒澤作品の楽しみ方だったと今感じています 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-12-09 23:32:01) (良:1票) |
34.どうも、松村達雄がワタシ的にはまずかった。渋い演技達者というよりテレビの「ちょっと頑固ないいお爺さん役」って印象が強すぎるんだよね。(例えばキョンキョンの「少女に何がおこったか」の学園長先生役とか)。というわけで、どうして教え子たちがあんなに先生を慕うのか皆目理解できずただただ退屈するだけでした。 ・・・しかし、いくら自分が大の黒澤ファンだからってかつての初デートにこの映画を選んだ夫にゃ驚かされましたな。相手(=ワタシ)の好みなんてどうでも良かったってことかね?その程度の女だったってことかい? 【ぞふぃ】さん [映画館(邦画)] 3点(2007-10-17 17:09:16) |
33.《ネタバレ》 僕も含めた猫愛好家の方にとっては、ノラ失踪事件にはきっと胸を締め付けられることでしょう。でも、個人的にグッと来たのはこのエピソードだけ。あとはどれも中途半端というか…。あと、教え子たちの過剰な反応も気になります。特に酒の席でのあの大袈裟なウケ方や笑い方がどうしてもワザとらしく感じられてしまい、どうもリアリティが感じられない。ただラストはよかったです。あのエンドロールへの入り方は凄くよかったと思う。全盛期の勢いは確かに失われてはいるものの、巨匠の遺作としては決して悪くはない作品だと思います。 【とかげ12号】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-07 15:32:19) |
32.《ネタバレ》 こんな先生いたら楽しそうだなぁ~と思える名物先生と生徒のふれあいを、黒澤映画常連俳優が演じた作品かな?(笑)個人的には泥棒の入り口を作ったあたりは好きかも。全体的にはマッタリ♪ 【うさぎ大福】さん [DVD(邦画)] 5点(2007-05-11 19:12:40) |
31.最後のほう、家の窓から木が見えるシーンがあります。 ここまで見てきて、この木が写ったとき、ものすごくその木が美しく見えました。 【ほ~り~ぐれいる】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-10-13 02:12:24) |
30.《ネタバレ》 淡々と進むストーリー、ほのぼのとした雰囲気、多少眠気を誘う映画だったが、一気飲みの時はドキドキした。 【ビンセント】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-10-01 19:56:33) |
29.でたでた月が丸い丸い真ん丸いお月様♪~ まさに角が取れて丸くなりすぎた 黒沢監督の映画でした。 【月読】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-02-10 21:31:28) (笑:1票) |
28.《ネタバレ》 自分の死期を予感した黒澤監督の「遺書」。全盛期の力強さはもうない。誕生日会の寒い演出は萎える。だが、死を前にした人間のやさしさが随所に感じられる。特に少年時代のシーンは、黒澤監督にとっての市民ケーン、「薔薇の蕾」なのだろう。決して傑作とは言えない本作だが、巨匠黒澤の遺作としては相応しい。「まあだだよ」と粘る監督に労いに意味を込めて「もういいよ」と言ってあげたくなる作品です。 【STYX21】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2005-04-29 11:34:05) (良:2票) |
27.《ネタバレ》 しみじみ良かったです。最初の教室に漂うタバコの煙になんとも言えない迫力があります。戦後の焼け野原を再現したセットも素晴らしい!(低予算のはず)。何もかも空襲で焼け、どうにか建てたバラックに住んでいる先生を、訪ねた時に月を見ながら所さんが言うセリフが秀逸。宴会の場面では生徒、皆活き活きしていて黒澤監督のこだわりが随所に見られるとても見ていて気持ちいい。それに楽しい宴会は進駐軍すら追い払う!!先生の事を尊敬してやまない生徒にユーモアにたけた先生いい関係ですよね。う~んなんだかいろいろ言われてる作品ですけど黒澤明、最後の会心の一撃と言ってもいいのでは? 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-03-30 02:04:42) (良:2票) |
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26.完全主義者と言われながら、実は観客という「他者」と、「自己」の芸術表現のいずれをも満足させたいという葛藤こそが、黒澤明作品に複雑な陰影を与えていた…と、ぼくは思う。そんな彼が、たぶん最も純粋に「自分」だけのために撮っ作品が、この『まあだだよ』じゃないでしょうか。本来なら、会話のニュアンスや視線、小道具などで表象する登場人物たちの関係や心理のあやが、ここでは徹底的に欠落している。誰もがバカ笑いし、泣く時にはワンワン泣き、すべては「笑う」「泣く」「怒る」…という《記号》に還元されている。でも、それこそが黒澤監督が到達した境地というか、「人間観」だったのではないか。つまり、愛だの何だのといっても、人の世なんてものはすべてこういった「型」でしかないのだという、無常観こそがこの映画の主題だったのでは…。それは、一見まるで正反対の地点から出発して、小津安二郎(!)と同じ「場所」に到達してしまったということに他ならない。この、いずれ劣らぬ稀有な映画作家同士の、正反対のベクトルからの思いがけない結びつきこそ、「映画」というものの不可思議さであり、深淵さでしょう。ともあれ本作は、ぼくにとってまたとない“スリリング”なクロサワ作品でした。 【やましんの巻】さん 10点(2004-08-17 18:10:12) (良:2票) |
25.ドラマチックなことは何もない淡々とした作品だが映像は美しい。緑一色の中の小さな家での妻の香川京子とのシーン。雨の中の一軒家。でも先生と師弟達との深い絆の過程がよく分からないので、最後の宴会シーンなど麗しい師弟愛などといわれてもピンとこなかった。 【キリコ】さん 5点(2004-08-02 18:07:32) |
24.雰囲気としては嫌いではないのだが、やはり全体的に退屈ではある。猫に絡んだ人情話の部分は素直に見入ってしまったが、その後の盛り上がりに欠ける印象。ストーリーにもう一工夫必要なんだと思える。 【もとや】さん 4点(2004-05-25 06:11:54) |
23.英文字幕付のDVDで見ました。こういった作品は劇場で見るのではなくて家庭でお茶でもすすりながら見るのが合っていると私は思いますが、黒澤映画独特の美しい画面はもちろん健在です。師弟間の情感がたっぷりと描かれているのはもちろんのこと、師弟の間で交わされる会話に方丈記あり、ファウストあり、李白ありと知的に豊かで、また別棟の書斎を「禁客寺(キンカクジ)」と名付けるなどの言葉遊びが豊富だったのでその都度DVDを戻して「英語はどうなっているのかな・・・。」と詮索してしまいました。終わり近くのシーンの「このくそ坊主!」「まだ、俺の出番じゃない・・・。」なんて英語、覚えて使うきっかけあるのでしょうか・・・? 【かわまり】さん 7点(2004-02-25 03:28:14) |
22.昔、教師と生徒はこんなに信頼しあっていた。たぶんそうだと思う。名物教師の話、どこにでもあったんじゃないかなぁ。ただ、猫がいなくなったエピソードがやたらくどくて、彼があそこまで落ち込む理由が描かれていないので理解不能。夫婦には子供がいなくて子供のように可愛がっていたとしても、彼の妻よりも愛していたはずもなく。しっかりせいよおじさん、と言いたい。まわりの奮闘ぶりもややマンガチックではないか。そう「サザエさん」のようである。主人公は波平といったところか。誰もが歳をとる。現実はこんなに甘くはないだろうが、歳をとるのもそう悪くないものだ、そう思わせる作品でしょう。 【wish】さん 8点(2004-02-22 18:55:15) |
21.黒澤映画にはいつもどっしりした「核」のようなものがあって、それを中心にさまざまな粒子がうずまいたり反発しあったりするのが魅力なのだが、この作品についてはそれに該当するものは「内田百閒」そのものと思われるが、それ自身の主体性というものがほとんど見て取れない。少年時代を思い出すことと、そこまで2時間で見せたエピソードが必然性を持って結びついているとは思えない。故人を偲ぶ、ゆかりの人間達のインタビュー映画のようだ。しかも、ドキュメンタリーならまだしも、演じている周りの俳優が、黒澤組の中でもへたくそ、または手垢にまみれた人ばかりがチョイスされているために、とてもウソ臭い。寺尾明、油井昌由樹、井川比佐志が、根津甚八など別の俳優だったら、もっと違う百閒のあぶり出しかたも出来たのではなかろうか。周りがこれだから所ジョージも個性を出すには荷が重く、周りに同調した面白みのないキャラになってしまった。「オイチニの薬」のとても地味なスペクタクルシーンに、映画人としての意地を感じたのでプラス1点。 【神谷玄次郎】さん 6点(2004-02-16 01:05:19) |
20.悪い人間が全くいないって事がこの映画の内容を退屈にしている気もするけど、そのおかげでのびのび見ることが出来たので個人的には良かった。オイッチニもなんか好きだし。 【ボーリック】さん 8点(2004-01-14 21:37:30) |
【TU】さん 6点(2003-12-24 07:00:23) |
18.実はあたしはこの映画が黒澤のカラー作品としては「どですかでん」と肩を並べる傑作だと思ってる。内田百 【奥州亭三景】さん 10点(2003-12-23 15:24:58) |
17.内田百けん(門構えに月)という人物自体が一般的にはさほど有名ではないけど、映画の中では松村達雄が好人物を演じていましたね。毎年の同窓会のシーンがメインになっているように感じますが、さほど感銘を受けるようなエピソードもなく、歌って踊って冗長な感じしか受けません。ただ唯一気になったのは、あの猫を探すエピソード。観ていてガッカリしている先生が可哀想になりました。 【オオカミ】さん 5点(2003-11-30 17:56:14) |