285.《ネタバレ》 「自分の人生が誰かにデザインされている」というのは多くの人が一度は考えたことだと思う。私にも覚えがあって懐かしく感じた。その「つくられた人生」を生きるトゥルーマンの姿が全世界に中継されてスポンサーも多くついていること、番組プロデューサーを神に見立てて、その保護と安全な世界から脱出して自分の意志で生きる人間のストーリーにしたことなどは流石ハリウッド、日本の男子中学生のものとは格が違うハイレベルな妄想だと感じた。「神」の部分を会社、仕事、親などに置き換えれば日本人にもグッと身近で理解しやすい話になると思う。 以前私はあまりのつらさに耐えかねて仕事を辞めることを決意、上司にその意思を伝えたことがあった。無職の期間に夢だった日本一周をし、達成後はバイクの整備士にでもなろうと考えていた。あとは期限まで勤め上げるだけという段になったとき、実家の両親に説得された。「お前が新しい仕事に就いてまっとうに働いてる姿は想像できない、引きこもられたら困るから頭を冷やして考え直せ」。確かにそうだと思った私は急に将来が不安になった。すぐに上司に謝罪して辞職を撤回、何事もなかったかのように働き続けて今に至る。私も私の両親同様、自分自身の能力や可能性に何の希望も持つことができなかった。だからなりたい自分や達成したい夢について考えることを放棄して、収入のある安定した今の生活に縋りつくことを決めた。「思い直してくれてよかった」と笑う両親の顔を見て、「本当はやりたいことがあったのに」と一生言い続けながら終わっていくのが私にふさわしい人生だと理解した。 クリストフに一礼して退場するトゥルーマンを見てなんて無謀な、と思うと同時に、それ以上にその姿が眩しい、羨ましいと感じた。思わず置いていかないでと言いたくなったが私にはそれを言う資格がない。なので代わりにトゥルーマンと、それから新しい環境に飛び込むことを決意した人たちに言いたい。 ホント頑張ってください。チャンネルを変えずにあなたを応援している人、自分の踏み出せなかった一歩をあなたに託した人たちがきっと大勢見ています。 |
284.《ネタバレ》 30年に及ぶ壮大などっきりカメラのようなもの。人の人生をひたすら覗き見して何が楽しいのか理解に苦しんだが、彼がどうやって真実に辿り着くのかが焦点になっていく。覗き見を楽しんでいたはずの視聴者の興味がそっちに逸れていくのが面白い。巨額の金が動いている分、仕掛け人が必死の抵抗を見せるも、さすがに長くやり過ぎてスタッフがダレてきて粗が見え始めたり、情が通ってしまった共演者がネタばらしに走ったり、同居人役が精神的に追い詰められたり、熱心だった視聴者が終了後にあっさり別の番組に興味を示したりとなかなかのリアリティではあるが、何億人もの視聴者の中からなぜ人権問題が噴出して来ないのか不思議。まあ基本コメディなのでツッコミ所は満載だが、それにしても変わらぬ友情・愛情を注いでくれていた周囲の者達が全て演技で接していたのかと思うと少々気の毒ではある。美人で明るく理想的な妻が会話の途中で唐突に商品アピールを始める様は、自分的にはコメディというよりはかなりホラーだった。 【にしきの】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2017-01-22 02:37:07) |
283.《ネタバレ》 シナリオは面白いと思う。中盤以降のトゥルーマンが真相にたどり着くまでの 過程がイマイチかなあ。エドハリスはいい感じだった。 【あずれも】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-05-15 13:01:59) |
282.《ネタバレ》 シナリオが斬新で本当に良くできた話。面白い。でも、よく考えてみると産まれてから、30いくつまで国に飼われてる様な、非常に怖い話。ジムキャリーの演技も秀逸で、いつも明るく振る舞い、気付いてからも同様に明るく振る舞う。可哀想で泣けてきます。10点つけたいですが、シナリオがエグ過ぎるのと、残酷すぎるので各マイナス1点です。でも超オススメです。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-04-03 23:32:45) |
281.《ネタバレ》 2回目の鑑賞。 トゥルーマンはプライベートも無い酷い扱いを受けていたと思うが、小さな時から親友役を演じていた俳優や結婚相手役を演じることになった女優も同じくらい人間的な扱いを受けていないなと思った。 特に妻役はそりゃ精神がおかしくなりますな。 評価としては、つまらなくはなくそこそこ練られた作品だけれども、胸糞悪さとジム・キャリーが苦手なこともありこのくらいか。 【たんたかたん】さん [インターネット(字幕)] 5点(2015-11-22 15:46:50) |
280.《ネタバレ》 かりそめの世界の方が、自分が理想と思ってつくった世界こそが本当の世界である。 という一つの全世界に失望した男が、自分の理想と感動をたくす形で一人の人間を役者に仕立てる。 太宰治の人間失格は、世の中に失望してから演技をして生き延びていくパターン。 トゥルーマンショーは、本物と思う世界で自由に生きていたのが実は周囲が演技でしたというパターン。 仮想現実(とまではいかない、文字やスマホの画面が支配する世界)において、 本当の世界を拒絶し始めたこの世の中から、 いつか本当の世界を探すために世界を囲う壁を越えようとする人間が、 そう遠くない未来に現れるかもしれない。 【元祖】さん [インターネット(字幕)] 8点(2015-10-10 18:07:13) |
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278.《ネタバレ》 脚本を担当しているアンドリュー・ニコルの主張が炸裂している作品。その主張はどこまでも真っ直ぐに「新しい自分の知らない世界に飛び出せ!」と訴えてきます。その主張の説得力に一役買っているのが主演のジム・キャリーで、彼の演技はどこまでも子どもっぽく(その役柄によく合う)、安らかな寝顔は正に主人公が只の子どもに過ぎないことを象徴している。そして彼は人生の全てを番組ディレクターであるクリストフにコントロールされている。子どもは基本的に親の庇護下にいるものですが、いつか大人になり危険な外の世界を冒険せざるを得ない時がやって来る。まあニートにならない限り大抵の人にはやって来ます。しかし大人になったらなったで新しい世界に進むのには勇気がいるもので、そう言う意味では本作は大人に対しても、大人になり切れていない子どもに対しても強いメッセージが込められているのではないでしょうか。 まーそれにしても中盤の父親との再会シーンで、制作者側が「良いシーン撮ってやったぜ!」って感じで喜んでいる姿には本気で吐き気を覚えた。私が『あいのり』とか『大家族スペシャル』とか『24時間テレビ 愛はどーたらこーたら』等のリアリティTV番組を極端に嫌ってしまうのは、こういうところに嫌悪感を強く感じるからだと実感しました。誰もが当たり前の日常を生きているのに、その一部分だけを切り出して恣意的に感動的なドラマとして演出することの傲慢さ、そのような作り手の身勝手な姿勢をこの映画は批判している様にも思えました。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-20 23:15:52) |
277.《ネタバレ》 自分の人生がすべて番組の作り出した世界で演出されたものだったというアイデア勝負の作品。 SF的で突拍子もないが、身近なテーマを含んでいて考えさせられる。 安全な虚構の世界を捨て、何の保障もない外の世界に飛び出した主人公の選択は頷ける。 その選択を熱狂的に支持した視聴者がすぐにそのことを忘れたかのように別の番組にチャンネルを変えるラストが、ブラックテイストで皮肉が効いていた。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 6点(2013-06-15 23:52:14) |
276.国際線で機内鑑賞しました。メッセージ性に富むし、しっかりと作りこまれていると思います。役者陣もがんばっています。しかし、残念ながら、肝心のお話がそんなに面白くありません。見る価値はあると思いますし、考えさせられるところも多々あるのですが。ピーター・ウィアーもエド・ハリスも、実力がありながらなかなかアカデミー賞に手が届かないですね。 【ジャッカルの目】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2012-12-16 10:40:44) |
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275.《ネタバレ》 4か月ぶり2度目観賞。誕生以来の人生=リアルタイムのTVドラマ。斬新な設定。終盤になるにつれて前半の不可解なドラマの意味が明かされていきます。もし自分自身も“そう”ならと思わず考えさせられてしまう重く深い小品です。「こち亀」で麗子に対してこんなエピソードがあったような…。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-14 00:24:03) |
274.《ネタバレ》 究極のドッキリ、ってところでしょうか。それに違和感を覚えた主人公がカラクリの解明を試みる。その世界からの脱出は、主人公にとってヌクヌクした暮らしを手放すことでもあったが、彼は真実を取ります。でも、当たり前だよね。その選択でドッキリの継続を取る人はいないでしょう。プライバシーをのぞき見ていた奴ら(視聴者)が、彼の選択を祝福したことが救いでした。 ちなみに、世界中にネットされて驚異的な視聴率を誇れば、万里の長城並のセットを作ることは可能かもしれませんが、そんな企画が成立するならすでに誰かがやっています。ドッキリ系の番組自体を「悪趣味」と思っている私には、あまり愉快な作品ではありませんでした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-11-11 01:49:46) |
273.オチ知っちゃったから長いこと敬遠してたけど見ておくもんだなあ。生きるとは?自由とは?度が過ぎたメディアへの警鐘。コメディと銘打ってはいるけど扱ってるテーマは重く重厚で笑えない。アイディアが凄いわあ。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-10-03 15:34:19) |
272.怖い話だったなあ。こんなTV私はなんかいやだな 見ないな。ドッキリだって好きじゃないのに。これからトゥルーマン大丈夫なんだろうか。世界中の人にプライベートが筒抜けだったわけで えーあんなこともこんなことも流されてたの?って思い返すと羞恥で気がふれちゃわないだろうか。あとローラ・リニーのぺらぺらな作り笑顔も怖い。あんなに情の伝わってこない貼りつき笑顔めったにお目にかかれない。身近で誰かがやけに商品をほめるようなことがあったら気をつけなくては。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-08-22 00:22:42) |
271.《ネタバレ》 「ガタカ」に続いて”人間の尊厳とは?”というテーマを扱っており、実にアンドリュー・ニコルらしい脚本となっています。空から落ちてくる照明器具、おかしなタイミングで挿入される広告宣伝、セットの裏で休憩しているエキストラ等の小ネタも面白く、脚本の仕上がりは上々です。問題に感じたのはピーター・ウィアーによる演出が堅過ぎたことで(当初はニコル自身が監督する予定だったが、ジム・キャリーが主演に決定したことで製作費が倍増し、監督経験の豊富なウィアーに交代させられた)、本来は毒のあるコメディであるべき本作が大真面目な人間ドラマになっています。。。 公開当時、本作はメディア批判の映画として評価されていました。これこそウィアーによる真面目な演出の結果なのですが、本作をメディア批判という視点で鑑賞するとあまりにも穴が多すぎます。万里の長城に匹敵する超巨大セットが組まれ、小国の経済規模に匹敵する製作費が投入されているという基本設定はあまりに荒唐無稽。クリストフにはテレビマンとは思えない行動が多く(ハプニングこそが視聴者を引き付けるのに、ハプニングが起こると放送を打ち切ってしまう)、そもそも「トゥルーマン・ショー」という番組がまったく面白そうではありません。これらの点が本作を中途半端な出来にしており、もしメディア批判の映画を観たいのであればロン・ハワードの「エドtv」をおすすめします。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 6点(2012-06-24 22:08:07) |
270.人生を内側から生きる、とはどういう意味か。仮にこのトゥルーマンのような生き方を送っていた人は「内側から生きている」と言えるだろうか。自分で決めているように思うことも、実はシナリオ通りだった。だからこそ最後のセリフは、シナリオに従ってある意味「言わされていた」セリフを、自分の言葉として発しているという意味で感動的なのである。自由やプライバシーどころか、生きるという意味を強調する映画であった。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-02 22:18:42) |
269.《ネタバレ》 アハハ 水平線にも行き止まりってあるんだね (≧∇≦)アハハ! しかし、素直に遠くに行かしてあげましょうよ 海で必死にもがく彼に対して 吹けよ風、呼べよ嵐って あんた鬼か アブドーラ・ザ・ブッチャーか! そろそろ彼を自由にしてあげなよ それなのに、なんでいちいち 吹けよ風、呼べよ嵐って あんた鬼か タイガー・ジェット・シンですか! みたいな。 鬼のような監督、クリストフことエドハリス。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-31 13:02:51) |
268.《ネタバレ》 あらすじに惹かれて期待して見ても 全く裏切られませんでした! なんと言っても設定がおもしろい。 コメディだけどシリアスなところもあって、 ラストはそこで終わるか!という感じ。 ほぉ~っと思いました。 それにしてもセットがすごいですね! スタッフの数も尋常じゃない。 海や太陽、天候まで操れるなんてテレビってすごいと改めて思いました。 【らんまる】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-25 00:04:03) |
267.《ネタバレ》 ○設定はなかなか面白い。ただ、話の展開自体は陳腐。○テレビにおける擬似現実よりも、テレビは視聴率のためなら何でもやるという方を風刺しているように見える。○クリストフの役柄がいつものハリウッドの如く極端に悪役過ぎる。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-03-20 20:43:28) |
266.《ネタバレ》 まずなんといっても題材が良いですね!これなら面白くなることうけあいですが、それにおごらず世界観をキッチリと作っていましたね。まぁ劇中でも実際世界を創っていましたが。この壮大なドッキリ(っていっちゃぁなんですが)の世界から主人公が旅立つまでの物語。10000日以上トゥルーマンのプライバシーを侵し続けたマスコミは恐ろしいですね。ジム·キャリーの軽いノリとユーモアでコメディタッチの演出が表だっていますが、その実、如何に恣意的な放送というものが恐ろしいものか、切実に訴えてきます。とは言え劇中のトゥルーマンショーは事の顛末をキチンと放送しました。果たして実際のマスコミにかような良識があるのか考えさせられますね。 【ろにまさ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-03-05 23:45:25) (良:1票) |