58.《ネタバレ》 結構グラディエーターと共通してるテーマの映画だと思いました。
主人公が王女とホイホイ結婚しないことがこの映画の一つのポイントと
なっていると思うが、それについては「不倫はヤダ」という単純なキリスト教徒的
理由ではなくて(その前に既に寝てる・・)「アホ夫を殺して→王女と結婚して→権力を得る」っていう流れが、主人公の思う「妻を失い、司祭を殺した自分を償う道」と矛盾しすぎていて、そっちに流されなかったんだろうな、、と私は思いました。
バリアンという人は、女の色香には弱く、自殺した妻の死を侮辱されたからといって
司祭をうっかり殺してしまうし、「完璧な男」ではないわけですが、
それでもいっちょまえの「罪悪感」があり「誰かの為に自分をささげる場所を探している」という無欲な求道者な部分が、みんなを引き付ける、という設定なのかな、、と
なんとなく。
リドリースコットはたぶん・・・ですが、イラク戦争についての批判的な意味も
こめてこの映画を作った所もあると思え、あくまで、「権力を得る為(たとえそれが
防衛的な意味でも)に誰かを殺してのしあがる主人公」は描きたくなかったのかな。
権力欲のない主人公・・といった意味ではグラディエーターのときのラッセルと
同じだなぁと思いました。
まあ、どちらも、「お前が王女とさっさと結婚しとけば、国民の犠牲も
もっと少なくすんだんちゃうんかい」というジレンマがあるわけですが、
でも、私も本当のヒーローって「自分は地位は要りません」的な人かなあ
とも思うので、今回のバリアンもでしゃばらない部分はまあ好きですよ。
でも、オーランドくんにはやはりラッセル程の「ヒーローオーラ」が全くなく、
そのせいかストーリーがどうも淡々としてしまいましたね。
戦闘シーンも迫力があっていいし、敵役や脇役もとっても魅力があるのに、
どうも薄味な感じの主ストーリーが、それを生かせてなかったようです。
いっそのこと、エルサレムに着いた所からのストーリーにしてしまって
(回想でなんとかする)、もっと王や王女や父親とのエピを濃いもんにしておけば傑作になったかも。惜しい感じ。