146.《ネタバレ》 まず皆さんが言われるように突っ込みどころ満載でやはり外人製作の限界を感じた。
何も知らずに観にいったので、商業性・娯楽性が高く、合戦シーンの多さに驚き。
もっと武士道の精神性について描かれた硬派な作品という期待があったので。
渡辺・真田コンビは「独眼流正宗」でも義理の親子関係で共演しているが、
「独眼流正宗」の方がシビレルぐらい断然カッコイイし、
武士について知りたいなら断然「独眼流正宗」が上。
ただし、本映画作品での2人の存在感は光ると思う。
シーンとして良かったなあと思えるのはトムクルーズと小雪家族との交流。
そもそもダンナ・オヤジの仇を受け入れるという設定がキツイのだが、
勝元にたまたま偶然助けられたその辺の異国人が
日本での生活を通じて武士道に目覚める程度にしておけば、
未亡人小雪とデキようが、子供の父親代わりになろうが
無理が無く、もっと深みのある相互理解を表現できたと思う。
子供の最後の台詞「行かないで!」なんかは
ちょっと「シェーン」みたいだなあ、って思いましたが。
忍者襲撃程度は盛り上げシーンとして許容しても
その後の合戦シーンは映像的な迫力は認めるけど、いろいろ無理・無茶があるよ。
「NOと言える明治天皇」もちょっと軽すぎて、受け入れ難い。
いろんな設定を全く無視して単純に娯楽映画と割り切って楽しむならよいが、
この作品が流行る事によって、また変な誤解を国内外に与えるのが心配。
<追記>16年ぶりに再見。その後、色々とモデルがある事を知れば知るほど設定や表現方法のデタラメ具合が目に付いてしまうのは仕方のない事ではあるが(合戦シーンはもはや『戦国自衛隊』を思わせるファンタジーの世界と言ってもいいレベル)、その根底にあるオリエンタリズムをどう考えるか?という厄介な問題は西洋人が日本を描く時に留意しなければならないという事にあらためて気づかされる。