46.《ネタバレ》 家族として機能していない家族、これは現代のアメリカが抱える最大のテーマなんだろうと思います。なんだかヤケに元気な奥さんと、魂を抜かれたサエない中年男、全ての迷える中年男性にとってレスター・バーナムこそ等身大のヒーローなのでしょう。ケビン・スペイシーはソーラ・バーチやウェス・ベントレーのみずみずしい存在感に圧倒され気味で、「なんだ、この程度だっけ?」と観ている時にはちょっと落胆したんだけど、よくよく考えてみたらこれこそレスター・バーナムという男だったわけで、そういう意味でケビン・スペイシーって本当に上手い、わきまえた役者なんだなあと納得。若手を食ってしまうこともやろうと思えば出来ただろうけど、レスターという男はそういう男じゃないんですよね。私自身は、冴えない中年のアメリカ人男性だったことは今まで一度もないんですけど、彼の痛さはとってもよくわかる気がした。映画は時代を映す鏡だ、という言葉があるけど、この映画はたった3人の非常にミニマムな世界を通して、少なくともこの映画が作られた時点でのアメリカという国を徹底的に描き切っていると思う。国際紛争でも政治でもなく、ホームドラマという形でこういうことも描けるんだということを伝えてくれたという意味でも、評価したい作品だと思います。 【anemone】さん 9点(2003-11-22 20:13:22) (良:1票) |
45.父親という存在は、「あなたは私の父親だ」と母親が子供の前でそれを認める態度を取ることで、子供は父親を承認できるわけで、あんな母親では、それは不可能だ。娘に軽蔑される親父は最悪だ。しかしケビンスペイシーは最期の最期で人間らしさを取り戻した。 【花守湖】さん 9点(2003-10-14 15:23:09) |
44.展開に派手さはなくて、地味ーな男の家庭を描いているだけなのに、変な人ばかり でてきてそのマニアックさが面白い。 ついつい見入ってしまうタイプの映画。 ラストシーンのあとどうなったのかを考えるとちょっと怖い。 みんなが不幸になったのではないかな? テーマは違うけれど、テンポや雰囲気や、暗さ加減とコミカルさのバランスが「バッファロー'66」と 妙に似ている気がする。 【るいるい】さん 9点(2003-10-12 01:08:56) |
43.アメリカの病んだ部分を赤裸々に暴露したリアルな映画などとよく言われてるけど、この映画の中の個々の問題は、そこいらの普通のハリウッド映画にだっていくらでも出てくるし、暴露されたところで、今更びっくり!っていうわけでもない。登場人物や設定はカリカチュア的で、映像も美しいんで、その点でもあまりリアルさはない。でもこの映画がリアルなのは、そういう問題に対して、取ってつけたような前向きな解決策を与えてない所ではないかと思います。醜く見える現実の中で、いかにして自分なりのビューティーというか幸せを失わずにいれるかというのがこの映画のテーマで、それは映画や本や人から教えられるのではなく、自分で考えるしかないということを言ってるのでしょう。アメリカ人じゃなくても、中年じゃなくても理解できると思います(私はどっちでもない)。 【羊飼い】さん 9点(2003-10-09 21:48:11) |
42.ケビン・スペイシー、共感できます!でも最後には自分の愚かさ知るところがまたまた熱いと思いました! 【のりまき】さん 9点(2003-09-30 11:21:30) |
41.《ネタバレ》 淡々とした流れの中に役者一人一人の個性が光っていて、終わってからもひとりで考えてしまうような映画です。アカデミー賞受賞らしいけど、カンヌっぽい気がする。この映画が近所のビデオショップで「コメディー」コーナーに置かれているのですが・・・。この悶々を解決するには私がビデオ屋定員になるしかないのか? 【キュウリと蜂蜜】さん 9点(2003-09-19 22:04:38) (笑:1票) |
40.《ネタバレ》 意味わからないと言う人は考えるのが嫌いなタイプの人だろうか?素直にとても美しく前進していく映画は類まれだ。登場人物が自分にとってのビューティーに向かっていくさまがわからないだろうか?あのオヤジは死んでもなお幸せだったのだろう。ありのままに生きる事のすばらしさをしったのだから。 【とま】さん 9点(2003-08-17 02:15:09) |
39.「この国はあなたが思うほど悪くなってないよ」というリベラル派からのメッセージだったのかな、って気がする。911以降のアメリカでは絶対に作りえない映画。(以下ネタバレ)ついでにマジでお答えしますが、撃ったのは大佐です。 【じゅんのすけ】さん 9点(2003-07-22 22:08:00) |
38. 先日TVで放映されたのを観たら面白かった。最初に観たときと評価が変わった。犯人がわかった上で観た方が面白かったのはなぜか?それは、ケヴィン・スペイシー演じるレスター・バーナムの“演技”だった。ケヴィンは映画の中で偽りの自分を演じるレスターを演じている。それに気づいたらハマッた!無気力なレスター、娘の良い父親を一生懸命演じるレスター、娘の親友に恋したエロ親父なレスター、好条件の退職を“勝ち取って”有頂天のレスター、勢いをかって妻を挑発するレスター、妻の浮気現場でニヒルになるレスター、そして、最期に我に還ったレスター。ケヴィンは、いろいろと「無理している」レスターを演じた後「最期のレスターが本当のレスターだよ」としっかり印象付けて演技を終えている。同様に妻役のアネット・ベニングもずぅ~と無理したキャロラインを演じて、ラストのうろたえて拳銃を隠した後、クローゼットに倒れこむシーンで本当のキャロラインを演じている(もし、本当に殺意があったならレスターの死を見て自分が手をくださなくて済んだことを喜んだだろう。人が見てないところでうろたえる演技はあり得ない)。その他にも無理していた登場人物が二人、クリス・クーパー演じる隣人(彼だけは真実の自分を否定されてしまった)とレスターに優しくされるまではつっぱりねーちゃんを演じていたミーナ・スバーリ。ラストのバスルームで化粧を直すシーンだけは可愛く見えた(笑)。無理から開放されたラストの爽やかなこと(笑)。一度観て面白くなかった人も二度目は面白いかも知れませんよ!? 【さとし@快投乱打】さん 9点(2003-06-26 15:56:14) (良:3票) |
37.観終えた後、あらすじを回想すると、飛び抜けた印象はないんです。なのに、めちゃくちゃ面白かった。何故なんだろう? 【kntr】さん 9点(2003-06-22 16:36:37) |
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36.はじめは何だコレ?ってかんじで途中でみるの止めようかと思った。でも最後まで見ると、なんともいえない切ないような悲しいような、ちょっとジーンときてるような、例え様のない変な気分になったので、もっかい見てみる気になった。2回3回・・・何度でも見る気になりました。レスター、妻、娘、娘の友達、隣の男、その妻、その息子、みんな悲しい。ただ、レスターがまるで我に返ったように娘の友達を抱くのを止めたところから、映画のテンポが変わる。普通の映画なら何の珍しいこともないシーンにすごく感動してしまった。レスターが愛しそうに家族写真を眺めたり、娘が幸せかどうか聞いたり、死ぬ間際娘や妻を想ったり。レスターが死んだあと余韻を長引かせることなくサッと終わるし、音楽だって泣かせる気まるでなしの淡々とした変なのだし、あとは自分で考えなって感じで、あてつけがましく無くて良い。 【ジュモSP】さん 9点(2003-06-19 19:26:16) |
35.奥の深い、考えさせられる映画でした。表現方法は賛否両論ありますが、正常、異常とは何か?ほんとうの幸せとは何か?を観る人に痛烈に語りかけている映画だと思います。また、競争社会をマジメにがんばって生きている人には理解し難い感性の映画と映るかも知れませんが、本当はそういう人達にこそ観て貰いたいんでしょうね。主人公が死ぬ寸前に回想する日常の何気ない風景。泣かせます。 【lafish】さん 9点(2003-06-18 02:50:52) |
34.紅色の使いどころが効果的、タイトルだから当然か。 男性俳優陣の顔の表情が印象的だが、TVでもう一度観たらあの「アネットの足」に笑えなくなっていた、あれが心情。彼女の各所の歩き方さえ表情、キレ具合も巧い。父がオトコになるのを嫌う娘役の彼女もスゴイし。 「普通なふりした偽装」「頼りのなるの自分だけ」、あんなに極端に走らずとも、日常に思い当たる所多すぎて”ブルーな安心感”に浸ってしまった。 【かーすけ】さん 9点(2003-06-18 00:57:17) |
33.この作品は近年のアカデミー賞作品賞受賞作の中で、イングリッシュ・ペイシェントに並んで、ふさわしくないと捉えられそうな作品だと思う。しかしながらこの作品は適度に奥が深い。単純に言えば、大人向けの作品でありながら、若い感性も巧みに採り入れているし、死という重い結末を持ちながらも、作品全体はそうした結論を予感させながら、しかし重くなり過ぎていない。むしろ浮揚感さえ持ち得ている。この作品が受賞したのは、アメリカ人にとっての現実感が伴っているからなのであろうが、私にはくるまを高速で跳ばしている時に、百分の1で起き得る事故を許容できる様な気分になることへの共感に近い。歴史に残る傑作とは思わないが、CGを用いない作品で、時代を切り取り得た作品として、人々の記憶に残るものと考える。 【ももんが】さん 9点(2003-06-17 23:59:28) (良:1票) |
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31.笑ったという評が全然理解できん!むしろ泣いたがなぁ・・・。うまく言えんけど、無情とか虚無感みたいなものを覚えた。だいたいアカデミーがなんぼのもんじゃい!これがアカデミーとったから、アカデミー受賞作ってのもちょっとは信用できうようになったけどねぇ。人間関係の絡みが誇張して描かれてあったけど、基本的にはアメリカとかってのはカンケーないと思う。普通に日常的に抱えてる悩みやジレンマが見事に凝縮されていた。ちなみに、アメリカン・ビューティーてのは薔薇の品種名です。妻が一生懸命世話してたヤツだけど、夫はそれに埋もれる美少女を想像してるのです。彼女自身がアメリカン・ビューティーを体現してるわけでもあります。 【花代】さん 9点(2003-06-17 22:52:54) (良:1票) |
30.ケビン・スペイシーはどうしてあの様な表情ができるのだろう。つくづく凄い人だと思う。映画全体の雰囲気、ストーリーも含めて実に面白い。 【ヤスピ】さん 9点(2003-06-05 01:29:31) |
29.観る前まではなぜかほんとに作品賞の価値があるのか?と疑っていたんだけど、観終わるとこれはオスカーの価値はあると妙に納得してしまった。普通の人間がごく普通の欲望に盲進していく様を絶妙に演じたケビン・スペイシーが素晴らしかった。このおかしな話を美しい舞台のように描き出したサム・メンデス監督の力量にもただならぬものを感じた。 【スマイル・ペコ】さん 9点(2003-05-29 17:15:18) |
【如月CUBE】さん 9点(2003-05-10 03:39:23) |
27.Spectacular!現実社会からの様々な影響、制約によって、人生における成功や幸福の意味を履き違えた(或いは又疑問を感じているものの自らを解放する勇気が無い)人達が、やがて自らを解放し自分自身に目覚め本当の幸せとは何であるか、本当の人生の成功とは何であるかに気が付く。気付かなかった妻は常に不安にかられストレスに満ち、発散を求め浮気や射撃などの刺激に向かい続け、最後まで人生の持つ本当の美しさが判らない。ゲイのカップルは清々しく、自分自身を見出しリッキーに出会う事で勇気を得て自らを解放してからの主人公は如何にも人生が楽しそうだ。キーパーソンはリッキー(知らない俳優けど上手だった)。この作品の中で彼だけが(多分ゲイのカップルも)外界と折れ合いつつも自らのアイデンティティーを失わない術を知っている。ジェーンが「彼は自分を知っている。」言ったのはそういう意味に他ならず、だからこそ彼女は彼にひかれたのだ。この作品のテーマは既に使い古されたものだが、極めて美しい映像と秀逸なカメラワーク、リアリティ溢れる脚本、ケビン・スペーシー、アネット・ベニングその他の熱演などによって傑作に仕上がっている。この映画の良さが判らない人は、きっと幸せなんだろう。羨ましい限りだ。多分、外界に接している自分と内面の自分とのギャップなんか感じた事が無いんだろう。そんな人にこの映画を理解しろと言っても無理な話だ。何故なら彼らはアネット・ベニング演じる妻の側にいるからだ。 |