1.《ネタバレ》 『ハリー・ポッター』最後の物語の前半部分。当然、この一作だけで理解できる部分は一切ない、完全にファン向け映画。そのファンとして、これまでの感慨にふけり、そのドラマの行き着く先に胸を締め付けられる思いをする・・・のも最初のうちだけ。原作が見せ場→ダラダラとしたドラマ→見せ場→またダラダラを繰り返す、あまりデキのよろしくない状態だったものを、映画の方も今回は前後編に分けて余裕があるものだから原作通りに見せ場→ダラダラパターン。どう考えても引っ張り過ぎ、2時間以内にまとめられます。この前半部分はシリーズで唯一物語がホグワーツから離れ、ほぼハリー、ハーマイオニー、ロンだけを追うという特殊な展開なのですが、その3人だけのドラマはテンションを持続できてないなぁ、って。全体的にゆっくり過ぎる一方で、とても大事に思えたハリーとダドリーのエピソードをバッサリと。ほんの数十秒で描けるであろう部分を切るセンスがよく判りません。ヘドウィグもマッドアイ・ムーディの描写もあっさりし過ぎ、ドビーだけはさすがにキッチリ描きますが。でも、続きにどーん!と引っ張りきれずに、それで終わりかい、って感じの幕になりますし。まあ、原作がアイテム探し中心の下手なロールプレイングゲームみたいな物語になってしまったゆえに、映画はそれでもまあまあ頑張ったと言えなくもないのですが。『不死鳥の騎士団』以降、トーンが統一されてまとまっている感があるものの、初期のわくわくするようなファンタジーの世界は影を潜め、ひたすらダーク。みんなが望んでいたのって、こういう世界だったのかなぁ? もちろん、これまでずっと好きで10年間追ってきたものを頭から否定するつもりは毛頭ないですけど。なんだかんだ言ったって、愛着がありますしね。あとは最後の一作を残すのみ、シリーズに対する結論はそれまで保留ですね。