124.TV番組の宣伝で、三谷監督が「最高傑作です。」と言っていたが、まさに映画の三谷作品では最高傑作といえるだろう。
前作"有頂天ホテル"も大好きだが、有頂天ホテルは人物像の描写よりも、シチュエーションを重視していたような気がする。
それはそれで、場面ごとに笑えてよかったのだが、今回は前作よりもさらに深い人物描写がされていて、ストーリーに重みが増していた気がした。
加えて今作は、マフィアが絡んでくるので、今までの映画の三谷作品にはなかった緊迫感"生きるか死ぬか"があり、観客も手に汗握りながら見ることができると思う。
もちろん、ギャング映画ではないので、バタバタと人が死んでいく…なんていうことはないのだが。
設定としては、三谷監督お得意の"勘違いから巻き起こる喜劇"なのだが、今作ではあまり笑わせよう、笑わせようとはせず、人間の汚い部分や、どうしようもない性を描いていたように思う。
だけど、それでも人間という生き物が愛おしいという、監督の思いが伝わってきた。ラストはそんな監督の優しさにあふれたものになっている。
全編を通して、三谷監督の日本映画への愛情が伝わってきて、昔からの映画ファンの方にも見て欲しいなと思った。
可笑しくて笑って、そして人間ドラマに少し涙させられて。
笑いと感動のバランスが絶妙の、老若男女誰にでもすすめられる映画だと思う。
役者たちもいい仕事をしていたと言えるだろう。特に主演の佐藤浩市は、絶妙な演技を見せてくれた。
監督も言っていたが、彼の新しい引き出しを開けたのではないだろうか。
余談だが、各所で出てくる豪華キャストをチェックするのも楽しみの1つ。前作"有頂天ホテル"からのキャラもいたりと、サービス精神旺盛だった。