5.《ネタバレ》 問題提起としてはいい、でも映画としてみるとどうだろうか。出演している日本人の役者はみな使命感を背負った熱い演技をしているが、その熱が空回りしている印象を受ける。へたれカメラマンの妻夫木君、正義感が強いだけの宮崎あおいちゃん、などが妙に浮いていた。原作では淡々としていたキャラクター達に肉付けしたためにそうなってしまったのだろうか。
映画なのでストーリー上決着をつけなくてはいけないのだろうけど、売春宿が摘発され、ボランティアによる劇的な救出もあり、村に帰された子供達が楽しそうに遊ぶ妙に希望を持たせたラストシーンがぬるく感じて仕方なかった。
問題は現在進行形であって、摘発されてもマフィアと警察の関係は崩れず、子供を売ったはずの親は子供のやり場に困り、小児性愛者はどこにでもいるということが見る者に伝わったであろうか?
新聞記者である江口洋介の疑惑を持たせるシーンの数々、謎の最期が「人身売買された子供の行く末」という映画のテーマを見る者の頭からポーンとすっ飛ばしてしまう感じがして仕方ない。劇場の外で「江口洋介は結局・・・」と口々に言い合う人の多さ。
しかし性的虐待シーン、生きたまま臓器を奪われる子供、承知でそれを子に与える先進国=日本の親、など衝撃的なシーンは考えさせられる。
報道の力、映画の力を信じたい。