18.《ネタバレ》 静かな緊張感に包まれながら、160分強の時間があっという間に過ぎていきました。 ただ、宗教の問題は本当に難しく、この作品についても都合の良い解釈で消化することはできても、本当の意味で理解することは難しいなと感じました。 日本がキリスト教を禁教にしていたのも、異教であったというよりも、キリスト教の伝道が当時のヨーロッパ諸国の植民地主義の一端を担ってたことが大きな理由であったと思うのですが、そういった面はあまり描かれず、単に日本はキリスト教が根付かない国であるという感じで終わっているのでその点はやや残念でしたが、素晴らしい映画であることに変わりはありません。 【TM】さん [DVD(邦画)] 9点(2017-09-28 00:24:45) |
17.《ネタバレ》 世界的感覚なら、9点10点を付けるべき名作なのかもしれない・・。 しかしながら、原作小説自体に、感銘も感動も無く、感慨はあるという程度の内容で、 それを、長々と映画にして見せられるのは、自分の映画嗜好とはベクトルが違いました。 キリスト教の思想が、当時の社会構造を引っくり返しかねない危険な物だとされたのは、 あの時代だから仕方ない事。宗教戦争や弾圧は世界中で繰り返されたのだし・・。 なんか、これ見ると(読むと)日本人として悲しくなってしまう。 日本は沼ですか・・ 現代の日本人は、キリスト教も浸透せず、仏教にも無関心になり、葬儀ですら形式だけだ。 よくよく話してみれば、神の存在を信じない無神論者のカミングアウトも少なくない。 神は何故沈黙を続けるのかを、悩む前に「居ない者に何を期待しているのかの疑問符」 今時の日本人には、他人事ポカーン状態だと、スコセッシは認識しているのだろうか・・? キリストの布教活動を、中国・インド、そしてイスラム圏で実行したら何が待っているかなあ それらが上手く進展するのなら、世界平和も夢物語では無くなるのかもね。 形だけで一瞬軽く踏むだけでいいぞと言う一方で、首チョンパでゴロンゴロン・・ 世界に宗教が一切無かったら、どんな世界だったかなあ? 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-09-25 00:04:05) |
16.《ネタバレ》 江戸時代のキリシタンの苦悩が、痛いほどに伝わってくる作品。 「踏み絵」について、学校の教科書では知りきれない悲しいドラマを味わった。 自分と他人の死が迫ったときの苦悩。過去のリアルな日本の姿を感じられた。 【カジノ愛】さん [インターネット(字幕)] 4点(2017-07-28 21:42:06) |
15.《ネタバレ》 虫が飛んでいるシーンがやたら多い。これは人間の営みに対する神の沈黙の象徴だと思う。 映画はほぼ原作通りに進行する。原作の最後は、ロドリゴの後日談が候文で書かれておりよくわからなかったのだが、映画ではスペイン人の日記に改変することで非常にわかりやすくなった。ラストの「神は沈黙していない。ロドリゴやキチジローのように負けた者、弱き者にこそ神は祝福を与えるのだ」というテーマがより鮮明になった。 【爆裂ダンゴ虫】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-05-30 00:01:18) |
14.《ネタバレ》 ごめんなさい。僕全然ダメです。かなり期待していたのでハードルが上がりきってたせいもあるかと思います。心に突き刺さる様なシーンが無く、終始ダラっと流れるのっぺりした作品という印象です。スコセッシの描く死ってとても偽物感があるなと感じてるんですが、例えば『カジノ』のデニーロ爆死シーンなんて笑っちゃう位で好きなんです。ただ加瀬亮の斬首シーンの作り物感はちょっとダメで。アダムドライバー溺死シーンの軽さにもちょっと物足りなさを感じました。こちらと少しだけ距離感を作りながらテンポ良く見せてくれる方のスコセッシは好き(『グッドフェローズ』『ウルフオブ〜』あたり)なんですが、本作の様にこちらにグイグイ迫ってくる必要のある作品とは相性が悪い気がします。演者の中で印象に残ったのは塚本晋也。この人の出てくるシーンはどれもこちらに迫るもの感じました。窪塚洋介はオーバーアクトが持ち味だと思いますが、この作品では変な浮き方をしていた様に感じます。浅野忠信は相変わらず表情では何も語る事のできない役者でした。過大評価されている俳優の代表格だと思います。塚本晋也さんとオープニングタイトルよカッコ良さにこの点数です。 |
13.時代考証などがしっかりなされており(たぶん)、洋画にありがちなヘンテコな日本が出て来ないので安心できる。俳優達の演技も凄いし見応え充分。ただ、テーマがあまりにも重厚かつ宗教がテーマなため、信者でない私にはそこまで入り込めなかった。人気若手俳優だろうと関係なく容赦なく殺されるのが素晴らしいと思った。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-03-28 00:17:23) |
12.《ネタバレ》 原作未読・予備知識ほぼゼロで鑑賞。 満員(!)の映画館で濃密な時間を堪能。 良かれと信じて赴いた異国の地に於いて経験した筆舌に尽くしがたい出来事の数々。 幸せにしたいと思う市井の人々が、自らのアイデンティティとも言える信仰の存在により命を落とす。 私だったら間違いなく発狂してしまうだろう。 この地球上に様々な国籍・人種が存在する様に、信仰/宗教も多種多様に存在する。 その意義は一様に「人を幸せにする事」である筈。 形では無い、ましてやお布施や寄付額の大小でも無い、信仰=自らの心の中に存在する「何か」と、 人それぞれどの様に相対するのか? 貴方ならどうするのか?? 私はマーティン・スコセッシから強く問いかけられている様に思えた。 私は信仰・宗教に対し特に敬虔な人間では無いが、人間に取って「心の拠り所となるもの」とは何なのか? と言う事を強く・深く考えさせられた。 ロドリゴは死出の旅に出るまで、あの様な辛い体験をしながら、祖国に帰れない運命をも受け入れ、 心の奥底で自らのアイデンティティである信仰/宗教を失わず、文字通り周囲にその事を「沈黙」し続けて生きてきた。 日本式に火葬されるラストシーン、私には棺を燃やす炎よりも強く、静かに燃え盛るロドリゴの内なる焔を垣間見た思いがした。 このラストシーンは賛否両論有る様だが、私にとっては身体が震えるほどのものだったと明言しておきたい。 登場する俳優陣は皆、素晴らしい演技をされている。 2016年を代表する映画の一つで有る事は間違い無い。マーティン・スコセッシに感謝。 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-02-21 18:09:01) |
11.《ネタバレ》 私は歴史には素人だが、たしか切支丹たちは寺社仏閣を破壊し、人々にキリスト教を強要し、信じない者を殺したり奴隷としてヨーロッパ商人に売り払っていたのではなかったか。宣教師たちは信徒たちが殉教すると大いに喜び、本国に報告していたとも聞く。 史実はそうであっても、どうせキリスト教を美化するだけの映画だろうと思って、見る気はなかったのだが、世間の高評価につられて、ついつい見てしまった。見て大いに後悔した。 キリスト教徒でない私にも共感できるような、人生の苦悩や救いが描かれているのではないかと期待したのだが、村人たちへの責め苦と主人公の喚き声が延々と繰り返されるだけで、とにかく退屈なのだ。日本人は何を考えているか分からない薄気味の悪い奴、或いは陰険で残忍な奴として描かれ、しまいには、日本は何物も根付くことのない沼だと決めつける。これはもう、新手の人種差別ではないだろうか。 ただ、日本人俳優たちの演技は素晴らしかったと思うし、リーアムニーソンもさすがだ。しかし、ガーフィールドはいただけない。ただ喚きまわるだけで、雄鶏よりやかましかった。 【駆けてゆく雲】さん [映画館(字幕)] 0点(2017-02-18 22:06:39) |
10.これは、中島みゆきさんの「背広の下のロックンロール」思い出したよ。 うまく化けてるね 見分けがつかない程に 怒り 願い たくし込んで 誰に見せる為じゃない 己れの為だ・・。 【タケノコ】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-02-14 15:56:45) |
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9.《ネタバレ》 ないものねだりの感想です。今回、禁教となった日本への潜入を宣教師の視点から描くために、徳川時代の日本がひどく暗鬱に描かれています。公平さに努めながらも、宣教師のフィルターにかけられた日本を、監督も意図しているのでしょう。クリスチャンの監督には地獄ですからね。 ですが、当時の長崎の、迫害と関係ない人々から見ればその地の美しい自然と景観を楽しむことができたはずなのです。それこそ「神に祝福されている」ように。眩しいほどの美しさの中で踏み絵が行われているほうが、イエスへの疑いに苦しむ様子をさらに恐ろしく演出できたかもしれないな、と思いました。 パンフレットによると、監督は「自然をクローズアップで撮りたいと思っていますが、私にはどうしてもできなかった。」と述懐しています。 今作ではBGMはほとんど使われず、虫の声や風雨の音を多用しています。監督はこれを神の声が聞こえない虚無・雑音と捉えたのか?それとも神の声そのものと捉えたのか、知りたくなります。 【みみ】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-02-14 11:13:06) |
8.《ネタバレ》 悲劇なのですが、誰も立場立場でまっとうに生きようとしているんですよね。 ミクロな場面では拷問があり惨殺があり目をそむけたくなる場面が多いのですけど、日本全体を考えれば当時の日本なら異国からの侵略を防ぐために必要な措置だとも言えます。 キチジローにも不快感があるけれど、では誰の気持ちが一番理解できるかと言えばキチジローだったり・・観て何かがわかる訳ではないけれど見ておくべき映画だとは思いますね。 【東京ロッキー】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-02-02 16:03:54) |
7.《ネタバレ》 弱さや醜さの象徴となっているキチジローの存在(踏み絵はすぐ踏むが、神は信じていて、その都度自責の念にかられる弱き者)が、現代の日本に生きる自分に一番近いような存在に感じた。 この話では一人浮いている彼がいる事で、この物語が遠い世界の話ではなくなった。 それは言葉で言ってしまえば簡単である、「信じ抜く事」の困難さを彼を通じて改めて見せつけられるという形にも繋がっていた。 オープニングとエンディングを自然の音(人間の営みに振り回されず、存在する意味に悩む事も語る事もせず、ただそこに存在する海、鳥、風、草など)で包括したのも興味深い。 牢屋の柵を使い限定された視野を通して、ロドリゴそして観客が拷問を見せられるシーンは、視界が良好でない彼の心情描写にもなっていただろう。 気になる点で言えば、ロドリゴが踏み絵を行う場面。第三者(神かロドリゴの内なる声か)のボイスオーバーを被せる、足のクローズアップ、スローモーションで地面に倒れこむという一連の流れは少し鈍重で直接的すぎる表現だったように感じた。 ラストの十字架への極端なクローズアップも、意図的すぎるように思える。 【ちゃじじ】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-01-29 00:48:56) |
6.《ネタバレ》 ●題材からして明るいはずがない作品を覚悟して鑑賞しました。実際、雰囲気の暗くない場面は、わずかに序盤の本国(ポルトガル?)での会話と隠れキリシタンに初めて出会うシーンくらい。それ以外はず~っと異国で孤独に勝ち目のない戦いを強いられる司祭の苦難が続きます。観ているこちらまで主人公の苦しみ・葛藤がダイレクトに伝わるようで息苦しかったです。●クライマックスで聞こえた「神」の声。本物の神はあくまで沈黙していたのであって、絶望的状況で救われたい主人公の思いが幻を作ったのだと思いました。●ほぼ3時間の長編ですが、長さを感じませんでした。380年ほど前にきっとこんなやりとりがあったのだろうという大変なリアリティがあります。キリスト教や日本の歴史文化に興味のある人が観たら、心に響くのではないでしょうか。傑作です。 【次郎丸三郎】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-28 19:06:10) |
5.原作既読です。楽しみにしていました。原作が個人的に映画のように光景を想像しやすい作品だったのですが、スコセッシ監督は原作にかなり近い形で映像化していると思います。宗教であったり、政治的な問題が延々と出てくるわけなんだが、ロドリゴが最後に決断した理由など、(原作も映画も)神の沈黙という問いに一つの結論を結び、一人の人間を描き切った所が素晴らしいと思っています。 また、この作品は日本人の宗教観(日本人は人間を超えた存在を考える力ももっていない。基督神の実体を変えている)であったり、幕府側の認識であったり、普段日本人には取っ付きにくい問題を説得力のある描写ではっとさせられます。 あとは個人的にスコセッシ監督がリスペクトする溝口健二監督を思い起こすシーンがいくつか出てきました。 雨月物語の小舟で移動するシーンへのオマージュ?や処刑する所を遠くから俯瞰する司祭二人のアングル、カメラをパン(水平に旋回)するシーンも多かったです(なんでも溝口にみえてしまってるのはいかん)。あと日本人の演出がしっかりしていた(ラストサムライのような違和感がない)のも良い。 音についても極力無駄を省いており、これもハリウッドなら演出のために意図して省くということはあると思うが、スコセッシ監督は音も重要な描写として考えている点が非常に好感が持てました。 最後に自分は原作を読んでいなかったら、映画の意図する処を理解できぬまま終わっていたかと思います。あと、欧米の方は理解できたのか?どういう感想を持ったのか興味深いですね。 【サーファローザ】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-01-26 17:39:47) |
4.《ネタバレ》 ドラマの流れは篠田正浩版(1971)同様、ほぼ原作に忠実だが、冒頭のポルトガルの場面やエピローグの「切支丹屋敷役人日記」の章が映像化されたことで 長尺となっている。特にスコセッシ流の解釈が施されたラストの十字架のショットは映画独自の表現となって印象深い。 1600年代を再現するランドスケープも厳選されており71年版に引けを取らないし、波音をはじめとする環境音の演出も充実している。 浅野忠信、塚本晋也らも安定の好演だが、イッセ―尾形はエキセントリックすぎて嫌味な印象だ。 岡田英次のほうが、穏やかな凄みがあった。 原作のクライマックスシーンは現国の教科書にも採用される有名な箇所だが、 その文章のもつドラマティックな迫力は、「白い朝の光が流れこんだ。」「朝方のうすあかりの中に」「黎明のほのかな光」「鶏が遠くで鳴いた。」などの 極めて映画的描写の充実にもよる。 篠田版は宮川一夫を撮影に起用してそれらの光を忠実に導入し、壁の「LAUDATE EUM」の文字を、踏み絵の図柄を、ロドリゴのシルエットを崇高に浮かび上がらせた。 遠藤周作が強く意識して描写しただろうその肝心な「夜明け」の光をなぜかスコセッシは映像化しない。 その代わりに、篠田版が賢明にも省略した「あの人」の声を聴かせてしまうという、この辺の感覚は違和感を抱かざるを得ない。 あるいは、スコセッシがあえてそのように処理して安易な審美性を拒んだというのは、現在の世界は未だ夜明けには至らないという諦念ゆえだろうか。 溝口的な、濃霧の中に浮かぶ小舟のショット。その視界不良で不穏な様も、全編を覆う曇天とともに何やら現実世界を連想させて、ぞくっとさせる。 異教と民族を巡る分断と排他主義が拡がる現在、時宜を得た公開ではある。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-01-22 11:29:49) |
3.エンドクレジットで流れるのは、自然の音、虫の音。日本人はそれらに風流を感じ情緒を刺激されるが、欧米人などはノイズだといって忌みきらうと聞いたことがある。 本作は感情に訴えかける常套句的な音楽がほぼ皆無のために、ダイナミックな欧米的な映画ではなく、静的で堅実な作品となっている。 そもそもタイトルがサイレンスなのだから自然といえば自然なのだが、このようなわびさびを呈するような映画をよく日本人ではない欧米人監督が撮れたものだと感嘆しきりであった。 内容も内外どちらかに比重を置くことなく公平に描いてるのも素晴らしく、エンターテイメント性を追い求めることなく、深い人間性をえぐり出す実直な作品に仕上がっている。 そして物語の骨子が宗教であるため、否が応でも宗教について考えてしまうが、得てして多くの日本人は宗教の存在を軽んじ忌み嫌う節がある。そのような人はこの映画を観ても、上から目線でしか見れず退屈と疎ましさで嫌になるだろう。 宗教には実に多種多様な要素が含まれており一概に決定論的に語れない複雑さがあるため、ある種のタブーがある。それは相手の宗教観に自分達の宗教観を持って対峙しないこと。当然ながらどちらが正しいなどと決められないからだ。もちろん無宗教も立派なひとつの宗教観だ。 このような扱い難いデリケートな宗教観の対峙をこの映画は避ける事なく真摯に描ききり、この相克が作品にリアルと説得力を生みだしていた。 この映画を見終えたあと、今までに感じた事のない妙な感慨深い気持ちになったのは、ひとえにこの作品の特異性なのだろう。 【クロちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-21 23:42:03) |
2.《ネタバレ》 原作は読んでいないどころか、この映画で初めて存在を知りました。監督の名前と大作の匂いを感じて見に行ったのですが、すごい映画をみてしまいました。とにかく重い、暗い映画ではあるものの、考えさせられることの多い内容でした。苦悩の連続や拷問などもあり、もう一度みたいとは思えませんが。いつの日か気が向いたら原作を読んでみたいと思います。 日本の俳優陣たちの好演が非常に印象的(特にイッセー尾形と浅野忠信が印象に残りました)なのもありますが、邦画をみているような気がします。それだけ違和感が少なかったということでしょう(撮影は台湾だったそうですが)。格子の向こう側からのカメラワークなども印象的でした。 ラストのシーン、なぜ妻が茶碗を割ったのかがわからなかったのですが、そういうことだったのか・・・ 虫の声と波の音が印象的な映画でした。 【jcross18】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-01-21 22:19:05) |
1.原作は読んでいません。長い、そして暗い! そして宗教は面倒くさい。映画としては悪くなかったですけど。。。 【kaaaz】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-01-21 18:36:16) |