45.ところどころ綺麗なシーンはありましたが(湖上の舟のシーンは良かった)、なんだかうまく入り込めませんでした。少し時間を置いてから再見してみようと思う。上田秋成の原作は好きなんだけど。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-07-09 15:19:50) |
44.《ネタバレ》 映画を見ていて、「どうしてここでカットが変わるんだろう」とか、「何でこのポジションからの構図なんだろう」などと思う時がある。もちろんぼくは映画を撮ったこともない、ただの観客だ。けれど、この場面ならロングショットで見たかったな、とか、ここはぜひこの女優のクローズアップを見せてほしかった! という、たぶんに勝手な物言いもまた、「映画を見る」者にとっての権利ではあるまいか。 もっといえば、こっちが思いもかけない画面を見せてくれた瞬間から、その作品に惚れ込み、心底から評価したくなるのである。 この、「世界のミゾグチ」の代表作の1本を最初に見たのは随分と昔だけれど、見る前はいささか気負っていたのが、見終わってまず思ったのは「めちゃくちゃ面白い!」ということだった。それまでにも、それ以後にも見た他の溝口作品と比べても、この映画は単純に「面白さ」において際立っている。何よりそれは、ここに実現されているのが、天才的というより職人的な部分において「完璧」な映画づくりだということに他ならない。 ・・・映画の終盤近く、森雅之の主人公はようやくわが家へと帰る。妻の名前を呼びながら人気のない家の様子をうかがう夫をカメラは追い、もう一度戸口へとパンした時、さっきまで火の気のなかった囲炉裏に火が入り、そこには田中絹代扮する妻が煮物を炊いているのだ。この場面をワンカットで実現してみせたその技巧は、確かに驚くべきものがある。けれど、それはあくまで、すでにこの世の者ではない妻を描くという「物語」の要請ゆえに実現されたワンシーンワンカットなのである。 その他においても、溝口作品に対して誰もが口にする流麗な移動撮影の長回しというより、この場面を描くならこれしかあるまいと誰もが納得する映像(=ショット)をムダなく編集していく鮮やかさはどうだ。だからこそ、この映画が100分足らずの極めて簡潔な(「B級映画的な」と言いかえてもいい)上映時間におさまったというべきだろう。 『雨月物語』は、溝口健二監督が何より優れた職人的技量をもった「物語映画」の担い手であることを、どの作品にもまして雄弁に告げるものだ。実際、映画の歴史上これほど「面白い」作品も、世界中探したってそうはないのだから。 【やましんの巻】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-04-26 19:02:13) |
43.二度見て、ようやくこの作品の真価が分かってきた。 隅々まで計算しつくされた構図と宮川一夫の流麗なカメラワークが生み出す崇高な画面にもう脱帽。 幻想。死。欲望。妖気。が溢れ出てくる。 溝口健二が巨匠中の巨匠だということを改めて理解しました。 【せかいのこども】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-16 13:52:27) |
42.《ネタバレ》 約半世紀前にも関わらず、男達の業と欲望、それに忠実に生きた為に身を滅ぼす姿を描いた異色の作品。その魅力は兎に角、京マチ子の怪演につきます。その演技の妖艶なこと、妖艶なこと……。原作「蛇性の婬」の妖怪を見事に演じきっていたと思います。彼女が舞う姿は本当に美しいとしか言いようが無い。その他、溝口健二監督が描き出した美しい純日本の姿は本当に素晴らしく、外国人に日本映画を一本だけ薦めるとしたら本作を推しますね。唯一、惜しむらくは前半のパートがややダレることでしょうか。街に陶器を売りに出てきてから物語が急速に進むのですが、それまでやや退屈に感じてしまいました。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-11-23 21:52:23) |
41.映像について少し勉強した後に見ると、カメラワークや陰影など、確かに巧みだなぁと思わされました。船上のシーンとかね。ただ他は正直あまり印象に残っていません。台詞が聞き取りづらかったからなのか、それともいまいちのめり込めなかったからなのか。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-09-12 10:59:34) |
40.長回しを多用した構成により、極上の舞台劇を見ているような印象を受けた。幻想的な画によりストーリーの妖々しさに磨きがかかっている。個人的には湖上で舟をこいでいるシーンが心に残っている。 【円軌道の幅】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-12-25 23:43:59) |
39.《ネタバレ》 御伽噺を思わせる内容の中で、幼子が食べる前に母の墓に供えて手を合わせるラストシーンにハッとさせられました。宮木への供養はその思いを汲み取って生涯を送る事であり、誰にもあてはまる事なのだと痛感させられます。映像と和楽によって、妖艶かつ物悲しい世界に惹き入れられます。ご参考までに、ビデオの台詞は幸いにしてクリアでした。 |
38.もう、退屈のひとこと。どうでもいい話がダラダラと続き、台詞が聞き取りにくい(音楽はちゃんと聞こえるのに)。これなら台詞だけ消して、字幕を使った方がまし。映像に見るべきところもあるけれど、このつまらなさを帳消しにするほどでもない。早坂文雄の音楽がなかったら、最後まで見ていられなかったでしょう。 それにしても、この台詞の通りの悪さは、録音のせいなのか? それとも監督にトーキーを作る気がないの? 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-09-16 20:33:29) |
37.見事なカメラワークと映像の美しさ、日本昔ばなしのようなストーリー。 京マチ子さんも相変わらず美しい。 【eureka】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-27 12:10:25) |
36.四回目ですが、見るたびに細々ながら見落としてるような部分が発見につながり、だんだん良くなっていく典型的な名作でしょうか?亡霊との接触部分は、何とも気だるく見事な雰囲気を醸し出してくれています。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-06-16 23:50:58) |
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35.《ネタバレ》 この映画は死霊の女性2人が主役です。妖艶で能のように仕草が美しい京マチ子と、母性豊かな賢妻の田中絹代。共通点は好きな男とのささやかな幸せを望んでいることと、上品で言葉遣いが丁寧なこと。対照的に遊女に堕ちながらも、強かに生き抜いた水戸光子が人間臭く、対比が面白かったです。一方、男2人ははっきり言って狂言回し。彼らの望みは、金儲けと立身出世、なんとも解りやすいです。改心に至る過程もすごく解りやすいですね。何にせよ、つきあわされる女たちは大変です。 あと、この映画で素晴らしいのは、墨絵のような画面の美しさとカメラワークです。特に霧の琵琶湖でのシーンと、誰もがよく撮れたなあ。と思ったはずの、源十郎が宮木を捜して家を一周する長回しのシーンです。源十郎が荒れた家を一周して戻ると、火が焚かれ、鍋と酒を温める妻がいる。ほっとして安らぐ夫のそばで、こちらに背中を見せる彼女はどこか不気味な黒い影に見えます。少し夫を責めるような視線を投げたり、やはり嬉しいと涙を見せたり、ここはもう田中絹代の抑えた名演技に引き込まれっぱなしでした。やがて、彼女は朝日の中へ消えていく。一方、1人の男性を獲りこむために存在した朽木屋敷も美しく幻想的な怖さがいいし、闇に消えた若狭と右近も魔性そのもの、素晴らしかったです。海外受けした理由がよく分かります。ただ、惜しむらくは宮木や阿浜の台詞が、ちょっと説教臭く感じてしまったこと。特に宮木はお金なんかなくてもいいのにと、ちょっと悲しげな目を見せるだけでよかった気がします。あと、どうせなら「吉備津の釜」もぜひ映像化してほしかったと思うのは、あの兄弟のような僭越な望みでしょうか?最後に藤兵衛に一言、全部戦のせいにしないで下さい。 【くなくな】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-31 01:19:17) |
34.《ネタバレ》 (当時の映画メモをもとに編集) 日本の美しさというものを思い知らされました。 特に沼を船で渡る場面は美しいです。深い霧が渦巻いていて、凄く幻想的な感じがしました。 まるであっちの世界に繋がっていそうな、消えてしまいそうで異様な感じです。 “美しい女”は、とても怪しい美しさでまた異様です。 ああいう黒髪を見ると、日本人の深い何かを感じて怖いです。 付き添いのおばあさんも、怪しい感じがとてもよく出ていたと思います。 主人公の陶工の奥さんがとても母親みたいに優しくて、とても悲しかったです。 現実と幻想を描き男と女の違いが身に染みた圧倒的な物語でした。 (男とは現実を見失うものかもしれません) とても深くて異様な美しさです。 (以前は悪意に取り憑かれた心を害するレビューをしてすみませんでした。) 【ゴシックヘッド】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-13 18:16:47) |
33. 溝口健二監督の入門書と考えてもいいだろう。面白い作品の3大要素、「愛」「欲望」「裏切り」が子供でも理解できる範囲で描かれている。 このサイトでの8点は「出来としてはよい」という意味になるらしいが、上から目線で評価しているようで、もう1点つけようかなと考えてしまったりもする(苦笑)。 【クロエ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-01-02 01:51:53) |
32.女っていう生き物は本当にすごい。これからも我々男をよろしくお願いします。 【オニール大佐】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-10-15 20:30:37) |
31.『蜘蛛巣城』などもそうですが、時代劇にホラーの要素が組合わさると(「怪談」という枠に限定せず)言いようのない独特の不気味さが醸し出され、現代のそれとはまたひと味違う怖さが味わえる気がします。話自体はそれ程面白いとは思えませんでしたが、この「怖さ」を堪能するだけでも一見の価値アリかと。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-09-15 09:24:44) |
30.演出、特にカメラワークが素晴らしい。 船上のシーンはウマいの一言につきる。 【norainu】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-09-06 02:07:24) |
【michell】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-07-04 11:58:19) |
28.《ネタバレ》 二組の夫婦の顛末と女幽霊の存在感がものすごい。とくに幽霊になった女たち、見た目が絶世の美女だった姫君の妖艶さ、理想の良妻賢母だった宮木の、じつは亡くなっていたという現実の恐ろしさ。立身出世や快楽を夢見る男の性。登場人物たちの熱演もさることながら、ストーリーの意外性も相俟って傑作と言われるだけのことはある。人間の本質をかいまみせられる。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-04-02 12:25:43) |
27.《ネタバレ》 二組の夫婦愛を描いたオカルト昔話。怖いところは怖く、そして切ないところはどこまでも切ない。古臭く冗長な場面も多いが、不穏なBGMと丁寧な映像と役者の熱量のレベルが高く、見入ってしまいます。人間、欲をかきすぎるといかんというお話。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-19 18:30:30) |
【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-03-08 22:50:42) |