13.《ネタバレ》 ファーストシーンは、船から降りてきた大勢の群集の中から主人公ゆき子が姿を
現す所から始まる。そして、ゆき子は富岡の家をたずねるが、老齢の女性、中年
の女性と出てくるがなかなか富岡は出てこない。ゆき子が農林省の使いだと言う
とやっと富岡が出てくる。 いったいどういうことなんだ?訳がわからんと思っ
ていると、灼熱のインドシナでの二人の出会いのシーンが回想され、ファー
ストキスの場面まで行くと、重なるように現在の日本でのキスシーンに戻ってい
く。こうして、二人の関係の謎が明かされる。この後も、最後まで意味深で緊張
感に満ちたシーンが続くので、重苦しく暗いドラマにもかかわらず不思議と飽き
させない。説明的なシーンが少なく、そのときの状況や男女関係の心理模様をゆ
き子(高峰秀子)の顔の表情や目の動きが巧みに表している。音楽も、意味深で
印象深い効果を発揮している。サイコメロドラマ、あるいはサイコラブストーリー
と言えるような映画だった。