54.《ネタバレ》 シェイクスピア劇と言っても、要は因果応報の話であって、登場人物の誰にも感情移入できないのが痛い。霧の中から城が現れる幻想的なオープニング、動く森、降り注ぐ矢など、画的には凝っていて印象に残る。が、黒澤時代劇では、『用心棒』や『七人の侍』のような娯楽作の方が個人的には合っている。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-23 11:45:14) (良:1票) |
53.《ネタバレ》 妖怪の声が三輪明宏の声に聞こえた。白黒ゆえにか、まばゆい光の白色が記憶に残る。スピルバーグ映画での光に似た印象。歴史に残る矢のシーン、名作アニメの「サムライ・ジャック」エピソード7で引用されていました(というか、このアニメは黒澤映画からの引用だらけと言ってもよいですが)。 【解放軍2003】さん [地上波(邦画)] 8点(2007-06-07 21:37:29) |
52.本物の城の様なセットにまずは圧倒させられ、人間の持っている欲望を恐ろしいまでに演じて見せた俳優陣、特に山田五十鈴の演技にはビックリさせられました。本当に何とも恐ろしい映画だ!黒澤明監督作品としては特別に凄いとは思わないけど、現在の日本映画のレベルに比べたら明らかに上をいく作品であることだけは間違いないと思う。 【青観】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-03 16:04:11) |
51.《ネタバレ》 シェイクスピアの『マクベス』を翻案した本作ですが、見事に日本風にアレンジされています。野心や強欲から身を滅ぼしてしまう愚かな人間。物の怪に唆された訳でもない、ただ心の底にある願望が実現すると言われただけで足を踏み外してしまう様が恐いほど鮮明に描かれています。そんな人間の心理を演じる役者さんが素晴らしいですね。三船敏郎はもちろん、それほど乗り気でない武時に対して、山田五十鈴さん演じる浅茅が無表情で冷酷に指示する姿が不気味です。『マクベス』の「女から生まれた人間に殺されない」というのは省き、最後の壮絶な絶命シーンにしたのは、舞台では到底できない映画ならではの演出ですね。矢の雨の中、目をひん剥いて逃げ回る三船敏郎の強烈さは見物です。冒頭ではまるで昔話を始めるかのように、終りでは無常観が余韻となるように写る城跡も雰囲気を醸し出します。ただ惜しむらくは何を言っているのか聞きづらい事。やや人物関係が入り組んでいるので、誰と戦をしているのか一回観ただけでは良く分りませんでした。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-28 18:20:02) |
50.《ネタバレ》 自分の欲のために身を滅ぼすお話。武時をそそのかす浅茅の怖いこと!武時夫婦は強欲に囚われて道に外れたことをして、最後はその報いを受けるのだけども、そのとばっちりを食らった人々側についての描写がなかったせいで、武時の罪の深さというものがイマイチ伝わってこなかった。そのせいか、武時は奥さんにそそのかされて身を滅ぼした可哀想な人に見えてきてしまった。ただ、思うのは蜘蛛巣城に関わる全ての人は武時と同じなのではないかと。武時は主君に背いたわけだが、映画のラストで武時を裏切った武士たちも自分かわいさに主君に背いたことになる。武時の次の城主は三木の息子という予言だったが、前城主の嫡男も生きているのでまた争いとそこで渦巻くであろう強欲の予感がする。前城主も主君を殺してたっけ。蜘蛛巣城という存在自体が強欲という蜘蛛の巣に絡め捕られる人間そのものを表しているのでは。 【思込百遍】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-11-26 08:49:26) |
49.人間の強欲さを露呈していますが、同時に奥さんや物の怪にそそのかれた武時が可哀想にも思えてきました・・・。支配欲にとりつかれた強引な手腕の武時役を演じた三船先生の演技は凄いとしかいいようがありません。ただその周辺の人物の描写、三木義明の息子の葛藤とか、大殿殺害の罪をなすりつけられた小田倉則保の憎しみ等がイマイチ伝わってきませんでした。あと劇中、歌舞伎や物の怪の唄う詩の中に、かなりこの作品の中の鍵となる部分が隠れていると思うので、是非東宝のDVDで字幕付でご覧になる事をオススメします。1つの強欲がもたらした大罪、それに対する罪悪感から狂ってゆき、徐々に味方が離れていく様子は本当に丁寧に描かれ面白いです。ただこの作品は演出面で芸術性を狙った部分を感じる所も多く、黒澤監督の時代劇に純粋に娯楽を求めるのであれば「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」の方をオススメします。 |
【よしふみ】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-27 00:28:02) |
【ホットチョコレート】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2006-05-21 07:40:55) |
46.黒澤監督の作品の中ではつまらない部類に入る作品だと思います。なにはともあれ、三船の演技が怒鳴り調子ばかりでうるさく感じてしまいました。それと、物語の内容が少し薄いというか、人間の欲というかエゴをただただ醜く描こうとするがあまりに行動の一つ一つに深みを感じさせないのです。黒澤監督作品ですと、「生きる」「七人の侍」「天国と地獄」「用心棒」「椿三十郎」をお薦めします。 【たにっち】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-04-24 20:31:33) |
45.《ネタバレ》 ちょいコメディなんかな?戦国時代が舞台で、幻想に翻弄されて身を滅ぼす武将を描いた作品。常に周りを疑い、誰も信用できなくなっている戦国の世をシニカルに上手く表現できていた。三船が扮する主人公がすげぇ情けない感じで、だんだん精神的にマイってくる所は三船敏郎の演技力の高さはうかがえた。ただ、キャラクターが大雑把に描かれ過ぎてるように思えた。奥方役にしても、最初はすげえ残酷な事するくせに、ラストの方は罪の意識に耐えられん・・・みたいな事言い出すし。何か全部のキャラがストーリーに引っ張られててる感じが否めなかったかな。まぁラストが面白かったからいいや。三船が弓矢で狙い撃ちされるシーン。矢の量が多すぎる!思わず笑ってしまった。ずりぃわ。全部持っていかれたかな。 【ハッシーふりかけ】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-04-19 03:46:49) |
|
44.完璧だと思いました。「息を飲む」とはこういう作品のためにある言葉なのではないでしょうか。鬼気迫る美しさでした。見終わったあと、しばらく胸がざわついて、ぽかんとしてしまいました。 【藤堂直己】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-02-12 03:51:22) |
43.あの「間」がおどろおどろしさを強調していたように思う。三船のイッてしまった目が印象的。もちろんラストの弓矢も。あれは文句なしの名シーンですね。蜘蛛巣城っていういかにもエンターテイメント爆発かと思いきや「そっちかー!!」みたいな(笑) 【ようすけ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-13 22:13:27) |
42.《ネタバレ》 序盤はやや冗長と感じたのだが、鬼気迫る終盤でささいな瑕疵など吹き飛んだ。これほど壮絶という形容がふさわしい作品はない。運命に絡めとられるように破滅へと突き進む武時の姿から一時も目を離すことができなかった。『七人の侍』などに比べるといささか寓話めいてはいるが、もっと知名度が高くてもいいはずだ。 森に棲む妖婆の怖さは『妖怪百物語』の置いてけ堀の下りを思い出させる。が、はっきりいって怪奇映画であるあちらよりも怖い。そして皆さん言及しておられますが、なんだかんだいっていちばん邪悪な奥方、山田五十鈴さん。あんた怖すぎるよ! 夢に出てきちゃうから! あんまり怖いので森の化生が憑依してるのかと疑ったくらいだ。 何の前知識も無しに観たために、三船敏郎が矢の雨のなかでの絶命する場面には口があんぐり。かっこいい決め台詞を言わせたり堂々とした態度をとらせたりせずに、みじめに悲鳴をあげて這いずり回るのが非常にリアル。すさまじい迫力だった。『俺たちに明日はない』のボニーとクライドが銃弾の嵐を浴びる場面に勝るとも劣らない名場面でしょう。 個人的には『七人の侍』よりも好きかも。登場人物に温かみがない分、白と黒だけで映される荒涼とした風景が胸に沁みる。なんともいえない虚無感が閉幕後もしばらく後を引くのです。 【no one】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-06 15:43:27) |
41.マクベスの内容をしらなかったので、予備知識はDVDパッケージの裏面だけでした。序盤の森のシーン。物の怪の笑い声がこだましてるんですけど、恥ずかしながら怖いと思ってしまいました。それから山田五十鈴演じる鷲津の正室浅茅も不気味な空気を醸し出して、まさに圧巻!!表情を変えずになぜあれだけの表現ができるのか、浅茅こそ物の怪なんじゃないかと思うほどでした。終盤の手を洗うシーンも本当に恐ろしくて、完全に作品の世界につれていかれました。終盤の森が動くシーン、なにがあるんだろうと思って緊張して見ていたし、実際森が動いているのを見て少し怖くなりました。そしてもちろん一番印象に残っているのは、クライマックスで矢を嵐のように浴びせられたシーンです。その迫力に本当に驚いて興奮しましたね。そして首に矢の刺さる瞬間、思わず声をあげそうになりました。後にあのシーンは弓道の有段者数人に至近距離から射させたと聞きましたが、怖いったらありゃしない。森が動いた種明かしには、う~んなるほど。物の怪の予言というのに責任を負わせて権力欲をあからさまにしていく人間の描き方は完璧と言っていいと思います。見終わった後は「すごかったなぁ」というのがずっと心に残りました。 【アンダルシア】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-30 02:24:57) |
40.『七人の侍』よりはこっち派。時代劇なのにシェイクスピア原作ってのがまた凄いわなぁ。本作のように、目ン玉ひん剥いてソワソワと動き回る鷲津を観ていると、「やっぱ三船敏郎はこうでないと!」とつい思ってしまいます。『赤ひげ』の様に落ちついてしまった壮年期の作品にイマイチはまれないのもそのせいかも。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(吹替)] 9点(2005-11-20 18:25:46) |
39.とにかくセリフが聞き取りずらかったです。字幕なしにはみれませんねーこれは、、、和製”マクベス”としてのできばえはいいのですが、、、 【maemae】さん [地上波(吹替)] 7点(2005-10-30 02:05:55) |
38.《ネタバレ》 僕にとってのこの作品はあの飛来する夥しい数の矢こそがすべて。結局人はかなわない。そして、霧が晴れれば、あとにはなにも残らない。 【馬飼庄蔵】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-08-25 15:44:40) |
37.せりふが聞き取りにくいので字幕を入れてみると、せりふを言う前に字幕を読み終わってしまい、それでも面白みが減ってしまうような気がした。ラストに近くなってきたところでは映像にひきつけられたがそこまで集中し続けるのは少しつらかった。 【HK】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-06-12 09:41:07) |
36.芸術性にも娯楽性にも長けた黒澤監督、屈指の名作だと思います。まず目に付くのが大迫力のセット、城の荘厳さというものこれほど感じさせてくれた映画はこれが古今東西の数ある映画のなかでも五本の指に入ると確信しております。そしてやはり三船の演技、今回も冴えに冴えまくる。あの怯えた顔、絶命する顔、もう完璧でした。しかっ~し!今回のMVPは(我ながら何言ってんだか)山田五十鈴だと確信しています。三船扮する鷲津武時を見事に操っていました。あの怪演今の女優さんで出来る人いるのでしょうか? 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-03-30 01:51:37) |
35.《ネタバレ》 どんなに誉れ高き人でも、所詮、己の欲望には勝てない、それを見事な演技とカメラ・ワーク等で描ききった傑作。徐々に私欲にとりつかれていく主人公の三船敏郎、後半、狂気にとりつかれついに発狂してしまう山田五十鈴の演技は並みの役者では演じられないと思う。そして後半、矢が雨霰と飛んできて、次々に三船先生に刺さるシーン…ここまで壮絶なシーンはそうはないと思う。 |