295.《ネタバレ》 説教臭くなく、登場人物の心情に深く触れるわけでもなく、淡々と場面場面が描かれる。にもかかわらず、彼らがどっぷりと兵士になっていくことに違和感を覚えることなく鑑賞していた。それに気づいたとき冒頭の頭を刈るシーンが思いだされて、特別でない普通の人間が戦場で銃を撃っているのだと怖ろしく思った。 【Trunk】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-01-10 20:15:09) |
294.《ネタバレ》 横道から入りますが、米国兵士が戦場で敵兵と鉢合わせした際に銃の引き金を引く割合を語っている小説がありました。二次大戦では20%(低い!)。たとえ戦場でも、目の前の人を殺せる者は少ないってことです。それがベトナム戦争では95%に跳ね上がる。二次大戦の引き金率の低さを問題視した軍部が、改善(?)策を施したからです。前々から、ベトナム戦の兵士のPTSDを扱った映画はたくさんあるが、二次大戦には無いことが不思議でした。二次大戦の兵士がPTSDに罹らなかったと云うより、ベトナム戦の兵士に特筆されるほど多かったからでしょうが、本作の前半の描写がその疑問への回答です。戦闘マシ―ンの養成パート。内実は人格を奪うことです。出兵する前に、すでに心的外傷の因子を充分に植え付けられている。後半はその戦闘マシーンが実戦に配備されると何が起こるかの証明パート。引き金率の高さは勿論ですが、それ以外にも色々な異常が見られます。まず、言ってることがみんな変。前線にまともな会話はありません。ヘリから無差別にベトナム市民を銃撃する兵士を誰も咎めない。そして、あの少女狙撃兵ひとりを殺す為に何発の銃弾を使ったのだろう。1000発? 1万発? 散った命を含めて戦闘が極めて非効率です。戦果を実感できない戦闘に戦争の大義が失われて行く。キューブリックなりに演出されたドライな映像が、概念的な意味性を排除して愚かしいことをそのまま愚かしく見せる。心を蝕まれた兵士の後日談ではなく、「完全徹甲弾」になった兵士たちの戦場での「不経済」が描かれる。面白いかどうかは別にして、ベトナム戦を扱った映画の中では最も実像に迫っているのではないだろうか。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-01-07 13:26:45) (良:2票) |
293.キューブリックの描く戦争映画。 前半は訓練基地での新兵たちの描写、後半は前線でのシーンと、はっきり分かれた構成で、 前半の登場人物たちの、丁寧に描かれたキャラ描写が記憶に残っている。 かなりじっくりと見入ってしまって、思わず後半の展開にも期待感を寄せたのだが、 前半のシーンがうまく後半に生かされていたとは言い難く、ちょっと残念だった。 ノロマでデブな兵隊さんは、もっと観たかったなぁ。まあでも普通に良作の作品でした。 【MAHITO】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2011-09-04 17:17:38) |
292.《ネタバレ》 新兵訓練基地時代は素晴らしかったが、後半はただの戦争映画になってしまった。軍隊においては上からの命令は絶対だと思うが、無視して勝手な行動を取り、死んでしまった兵士を見せながら反戦を説くって一体どういう意味を持つんだろう? 何かプラスに働いた面があるだろうか? 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-07-07 18:30:20) |
291.ハートマン軍曹のインパクトが強すぎた。全体は悪くなかったけど、前半すごかった分後半退屈な印象だった。 戦争の悲惨さはもういろんなもので知ってるから、それほど考えさせられなかった・・ 【ラスウェル】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-06-13 19:15:13) |
290. 過去、映画館でも見たことがあります。今、もう一度見直してみてやはり傑作の一つだと思いました。戦争の狂気とリアルな緊張感が最初から最後までぎっちりつまっています。 【海牛大夫】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-04-18 21:28:06) |
289.《ネタバレ》 キューブリックのベトナム戦争映画ということでおおいに期待して見ました。メッセージ性は十分に感じとれます。銃撃戦もどきどきするものがあります。しかし、前半と後半でトーンが変わるので違和感を覚えたこと、主人公が意外にも活躍しないこと、よく考えれば小さな戦いであること、などストーリーにのめり込めないものがありました。ベトナムらしさが画面から伝わってこなかったのが難点でした。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-01-17 01:28:24) (良:1票) |
288.決して家族で見てはいけない。戸田奈津子に字幕作らせなくて正解。最高に下品で最高に面白い。 【どちて坊や】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-01-01 22:27:01) |
287.《ネタバレ》 海兵隊とは、ハートマン軍曹にPT(しごき)される。というイメージを植えつけられてしまった作品です。同じくベトナム戦争映画としてプラトーンがありますが、こちらはなんというか、リアルな感じがします。そこにドラマとか思惑とか無く、一兵卒の視線で仕事で人を撃って、ジョークを言い合ったり女を買ったり、油断するとおっ死ぬ。そんな兵達にとって地元じゃ味わえない笑えないけどエキサイティングな日常。いかにもキューブリックの戦争映画って感じですね。音楽もファンクで時代を感じていいっす。劇中のジョークもいいです。I see little on TV. 【warrabit】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-18 04:26:21) |
286.言葉による暴力が引き起こす人間性、それによる崩壊が何とも凄まじいほどの狂気を見せ付けられることになる。「博士の異常な愛情」が核戦争による狂気とすれば「2001年宇宙の旅」が機械による文明、コンピューター社会によって生まれる狂気とすれば「時計じかけのオレンジ」が暴力というものの持つ恐さだとすると、この映画もまた同じように言葉による暴力映画として捉えることが出来る。戦争そのものの狂気よりも人間が同じ人間なのに人を人とも思わないような差別的な言葉や態度で死に追いやる。それこそが一番の恐さ、やるせなさであるようなとにかくこの映画もまた色んな意味で狂気に満ちている。私にとっての監督、スタンリー・キューブリックはこの映画が本当の意味での最後の映画である。 【青観】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-10-22 20:46:44) |
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285.《ネタバレ》 兵士となるまでの(戦場に赴くまでの)地獄、兵士となってからの戦場での地獄・・・。 ベトナム戦争ものにしては珍しく市街地戦による戦争描写。 構成の巧さとセリフの攻撃性、そして音楽の使い方も抜群である。流石はキューブリックと思わせる作品。 【円軌道の幅】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-10-07 00:02:44) |
284.《ネタバレ》 「楽しくて面白い映画ではない」ことだけは確かです。 ファミコンウォーズが出ーたぞー、はこれだったんだね。 【虎王】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-09-24 21:13:14) |
283.この映画はハートマン軍曹の魅力に尽きる。ハートマン軍曹に一度でいいから口汚く罵ってもらいたいw。ほほえみデブの切れ具合もよかった。 【doctor T】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2010-09-23 21:09:08) |
282.《ネタバレ》 平均点が意外と高いので驚きましたが、冒頭の海兵隊の訓練シーンのセリフから吐き気がするという人も沢山いると思います。 私はキューブリックのファンなので偶然再生されたパソコンテレビで、この映画の世界観に、すぐにのめり込めました。二度目の観賞です。 前半の訓練シークエンスと後半の戦場シークエンスは別々の物語のようですが、改めて観直すと両方存在して初めてこの映画のテーマが見えてくるのに気付きました。 それは、この作品で描写された戦闘シーンが、あまりにも小さいステージにも関わらず、無残な戦争をしっかりと描いているからです。 実際に起こった戦争にも関わらず、この映画にはエンドマークをつけずに終わらせているところに不気味さを感じます。 【クロエ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2010-09-19 05:38:48) |
281.private pyle! 前半は目が離せません。うまいこというなぁ、と妙に感心する瞬間もあり。 ハートマン軍曹にだんだん愛着がわいてくるのと、育てる側の愛情みたいなのがちらりと見えるのがいいです。超怖いですけど。 後半は、皮肉とどうしようもない絶望?、あきらめ、そういうものであふれていますが、 なんというか、前半があるからこそ生きてくる、そして前半も後半があってこそ、ハートマン軍曹がなくなったことを悲しく感じました。 【しゃっくり】さん [インターネット(字幕)] 8点(2010-08-21 13:47:38) |
280.この映画の主役はハートマン軍曹でしょ?ww シュールなキューブリック臭が比較的薄いので、彼の監督作品の中では一番観やすいのではないでしょうか。 前半は満点です。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-13 18:49:27) |
279.今年度はゆとり世代が初めて社会に出ることとなりました。中間管理職にはハートマンを目指してもらおう。 【くまさん】さん [インターネット(字幕)] 8点(2010-08-11 23:20:46) |
278.《ネタバレ》 ああ、ハートマン軍曹、可哀そう…。せっかくどんくさい肥満児をあそこまで鍛えたのに、あんな悲劇が待っていたなんて…。新人を教育するのは、どんな組織でも大変なことデスね。この映画は何度も観ていますが、「微笑みデブ!」ってハートマン軍曹に罵られてみたいとだんだん感じてきた自分が怖くなってきました。 ベトナムに行ってからの戦場シークエンスは結構評判が悪いですが、キューブリックらしいひねった戦闘シーンは癖がありますね。まずジョーカーとカウボーイだけがなぜか眼鏡をかけているのが下品な海兵隊らしくなくて、キューブリックの意図が感じられます。部隊をテト攻勢で攻撃されるフエの街にして、ベトナム戦争なのにまるでスターリングラードみたいな市街戦を見せてくれるのも、キューブリックらしいひねた視点ですね。ただベトコンの女スナイパーがAK47を狙撃銃に使っているのは、現実にはあり得ないでしょう。全般的に戦場シークエンスは私たちがイメージしているベトナムに比べるとリアリティがないのですが、却って悪夢のようなシュールな世界でもあり、引き付けられてしまうのです。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-28 00:58:21) |
277.《ネタバレ》 最初の訓練シーンは下品な言葉(字幕)が出るわ出るわで苦笑しつつもそれに引き込まれた。ただ後半は戦争シーンが淡々と進んでいくだけ。なんか物足りないなぁと思ったのも事実。しかし皆さんの感想を見て、戦争の虚しさ、無駄さをあらわしているとするなら確かにそうだな、と納得させられました。 全く知らずに見たけど、どっかのAAで見たようなシーンが出てきて笑った 【ほかろん】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-04-17 20:20:05) |
276.戦友がバタバタと死に、その度に物語が生まれる戦争というおいしい題材を手にした時、映画監督はドラマや哲学を語ろうとします。プラトーン然り、ディアハンター然り、地獄の黙示録然り。しかしキューブリックは本作においていかなる主張もせず、戦争とは何か、ベトナム戦争とは一体何だったのかという断片を切り取ることのみを行っています。かつて「突撃」でベタベタの人間ドラマをやった以上、同じ題材で同じことはやらんという巨匠ならではのこだわりなのか、それとも天才たる先見性の為せる技なのか、ともかく前述の作品達よりも二歩も三歩も先を行った作品となっています。公開当時、あまりのショックから「これは軍隊の非人間性を描いたものだ」と勘違いされた前半の訓練についても、あれは海兵隊の訓練を忠実に再現しただけのものであって、あらためて見ると非常に客観的です。ハートマン軍曹は新兵達の前に立ち塞がる脅威ではあるものの、ヒールを演じているだけということを匂わせる描写がいくつも存在しています。人種差別はせず、クズとして全員平等に扱うと発言したり、「神を信じない」と言ってハートマンに楯ついたジョーカーを「根性がある」と言って認めたりと、決して個人的な感情から新兵達を罵倒しているのではなく、無茶苦茶に見えて実は訓練に必要な言動をとっていることがわかります。海兵隊に集まるのは徴兵された者ではなく、志願して軍隊に入ってきた者達です。そんな英雄気取りの若者を、わずか8週間の訓練で生きて祖国に帰還できるフルメタルジャケットに育て上げねばならない。いったん彼らの人格やプライドを粉々に壊し、真っ白になったところで生きて帰るための行動パターンや思考様式を流し込んでいるのです。ちなみに私が一番驚いたのはトイレの様子で、個室や仕切りはなく、便器がズラっと並んでいるのみというシンプルにも程がある作り。海兵隊はう○こも人と顔を合わせながらするのかと、そこまで徹底したプライドの破壊には心底恐れ入りました。後半は前半と比較すると平凡になりますが、それでも視覚的な見せ場は充実しています。カメラワークが秀逸で、戦場を走る兵士の背中をローアングルから捉える、戦争映画でお馴染みのショットなどは、本作が初めてではないでしょうか?かねてから素晴らしかった音楽の使い方にはさらに磨きがかかっており、こちらはタランティーノに多大な影響を与えたことが伺えます。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-28 22:12:56) (良:3票) |