2.《ネタバレ》 ビフォア3部作のファンとして鑑賞しました。
一言で言えば、やはり3時間弱ともなると長いです。主人公のメイソンが6歳から18歳になるまでのストーリーですが、けっこう時間経ったかなーと思ってもまだ15歳でまだ中学生のシーンだったりします笑。
一方である意味では、人が成長していく過程っていうのは、3時間で語れるものではないということなのかもしれません。ビフォアシリーズもそうであったように、この作品でもリンクレイター監督は、人生のドラマチックな「場面」を映画にするのではなく、ドラマチックな場面を経た「人」を作品にしています。シーンが切り替わるといつの間にか登場人物たちの関係が変化していたり、そうした変化がセリフベースでそれとなく観る者に知らされたりする展開が、映画的というよりは人生的でとても自然です。映画はいつも人生の山や谷を大げさに描こうとするものですが、人生の中のほとんどは抑揚を欠いた平穏な時間のはずで、リンクレイター監督はその事実に逆らわずにこの作品を作っているように見えます。
そのためこの長い作品を退屈に思う人もいるかもしれません。それでも主人公の成長の過程や、折に触れてやってくるライフイベントのシーンに感動してしまう人は少なくないはずです。主人公が複雑な家庭環境の中で大きくなっていく様子や、自分の意見を主張するようになっていく様子、自分の好きなものを見つけていく様子を見るたびに、観客は自身の幼かった頃を振り返ることになるでしょう。こうした描写が観る者に自然に響くのも、同一の役者が長い時間の中で演じていることでなせた技なんだと思います。その事実を思い起こすたびに、12年間にわたって継続して映画に関わってきた多くのキャストやスタッフに敬意を抱かないわけにはいきません。
そしてラストの母子のシーン、(あまり多くは書きませんが)私はかなり感動しました。子供を育てて社会へ送り出したことのある人、今子供を育てている真っ最中の人、あるいは私のように、愛のある親に育てられてきた人のすべてに見て欲しい映画です。